【57話】恋愛双六5
雪音のアバターが、雪音の選んだ選択肢の結果として7マスも進んだ。
『え?7マスも⁉︎』
って思わず口に出てしまったのだが、その途端に俺以外の皆が、俺を除け者にして、何やらこそこそ呟き合い始めた。
「いや、あれは仕方ないよ」
「あれは、ないな〜」
「雪音ちゃん可愛そう…」
「鈍すぎだよね…」
俺には、何一つ聞こえなかったが、きっとルールの確認でもしていたのだろう。
…5分ぐらい俺は、放置された。
放置されるのって辛いね…。
『よし、次は、妹ターンだね!』
次は、雷花の番だった。
『お兄ちゃん!私、このコントローラーの使い方が分からないから教えて⁉︎』
雷花のやつ、さっき俺が、雪音に教えてたのを隣で見てたはずだが⁉︎
『さっき、、』
『私、女の子で、機械苦手だから、教えて?』
確かに女の子って機械苦手だからな。
仕方ない。雪音に教えて雷花に教えないのは、不公平だから教えてやろう。
『まず、』
『お兄ちゃん、口だけじゃなくて、身体も使ってよ!』
『わっ、わかった』
取り敢えず、雷花の後ろに回って、後ろから雷花の手の上に俺の手を重ねて、一緒にコントローラーを握って指導することにした。
『お兄ちゃん、私、初めてだけど、激しくしていいよ』
雷花は、厳しく教えて貰うのが好みらしい。
この時俺は、気づかないふりをしていたのだが、美水と雪音と乙女川さんのいる方から激しい殺気を感じていた。
振り返っちゃっ駄目だ。振り返っちゃ駄目だ。
本能が、俺に警告していた。
雷花のアバターは、サイコロの目の5を出して進み、案の定、止まったマスで質問が出題された。
『あなたのお兄さんに彼女が出来ました。あなたならどうしますか⁇[①別れさせる][②様子を見る][③祝福する]』
雷花は、この質問の答えとして、③番を選択した。
雷花は、何だかんだ言って兄想いの良い妹だな。
『この選択肢以外ありえないよ!』
と雷花は、口にしていた。
ボーナスとして、雷花は、10マス進んだが、ここは、多めに見よう。
なんて言ったって、妹がついに兄離れしたのだから…
兄としては、少し寂しいな。
『雷花ちゃん…いいえ、未来の私の可愛い義妹ちゃん!ついに私と恭弥様の仲を認める気になったのですわね⁉︎』
『え?いつ、私がそんなこと言ったのかな⁇』
『だって、さっき、恭弥様と彼女の仲を祝福するって…』
『お兄ちゃんの彼女になるのは、私以外にありえないし、だから私が祝福するのは、私自身に決まってるんだよ⁉︎』
『姉チョッープ!』
『妹真剣白刃取り!』
何やら向こうで、雷花と美水が、手刀を使って戯れている様だが、仲が良いのは良いことなので、暫く二人きりにして、そっとしておこう。




