【50話】専業主夫
『お兄ちゃんかくごー!!!』
『うわぁー!待て!待つんだ雷花!』
俺は、全力で妹を説得しようとしていた!
いや、どう考えても自分の妹に対して必死の説得…もとい命乞いなんてやりすぎだろと思うかもしれない。
しかし、そんなバカを言っちゃいけないぜ。
何せ妹の手には、鈍器に分類されるミートハンマーという歴とした凶器がしっかりと握られているのだから仕方がないに決まっている。
『こんなことで将来を棒にふるのか?』
俺は、雷花に語りかけた。
『将来?』
おっ、何やら効果がありそうだ!
『雷花は、お嫁さんになるのが夢なんだろ?』
『うん!お兄ちゃん!お嫁さんにして欲しいです!お嫁さんにして下さい!』
よかった!雷花の目がキラキラと輝きだした。
なんとか無事に危機を回避できたようだ。
それにしても雷花のやつ、気持ちが先走り過ぎて、お嫁さんにして下さいとか口走っちゃったよ。まったく気が早いな〜。
『お兄ちゃんもしかして!!!私の前で他の女の子の名前を出したのは、ワザと?ワザとなんだね⁉︎そうなんだね⁉︎』
『あっ、あぁ…』
雷花のあまり迫力に思わず肯定の意を表してしまった。
『やっぱり!他の女の子の名前を出して私に嫉妬して欲しかったんだね!やだなお兄ちゃん、私は、こんなことで簡単に嫉妬するほどお兄ちゃんが大好きに決まってるよ!あれ⁇でも、超を超えた神策士なお兄ちゃんがそんな簡単な思考で動くかな⁇……あれっ⁉︎あれれ?雷花ちゃん気付いちゃったよ!神お兄ちゃんの神意(真意)に気付いちゃったよ!この先、夫婦として過ごしていけば、仕事先や近所で旦那様が女性と関わることもあるよね。そんな時、妻としてきちんと平常心を保てるのかを試そうとしたんだね!まさに恋の試練!妻の試練!夫婦の試練!あれっ⁇でも、私が働いてお兄ちゃんを健全に家の中で養ってあげれば、他の女性と関わらなくてもいいよね⁉︎それで、根本的な解決になるよね?やっぱり、他の女のフラグ(お兄ちゃんの足)もきちんと折らなきゃダメだよね♪』
あれ?雷花の機嫌が直ったと思って油断して、雷花が一人で喋っているのをまったく聞いてなかったら、何か状況が悪くなっていないか⁇
いや、明らかに雷花が使命感や覚悟を持った熱意のこもった目をして、ミートハンマーを強く握りしめている。
なんで雷花さんは、そんなにやる気満々なの?
ちょっとタイム!
機嫌が良くなったところからロードさせて!
お願い!
人生にセーブポイントプリーズ!
『お兄ちゃん、専業主夫って知ってる?ニコッ』




