【46話】リーディング・クェスチョン(雷花視点)
『恭弥お兄ちゃんは、私のどこが好き⁇』
『雷花のことは全部好きに決まってるじゃないか!』
『そっかぁ〜全部好きなのかぁ〜やっぱりそうなんだぁ〜。えへへ。嬉しいなぁ〜。でも、バッドだよ‼︎お兄ちゃん!』
バチチチ。
少しだけ愛の鞭をお兄ちゃんにふるっちゃった♪
『アババババババ………こらこら雷花…こんなお茶目な悪戯をするなんて酷いじゃないか!』
『だって、お兄ちゃんが乙女心を全然理解してないのが悪いんだよ!彼女が「私のどこが好き」って聞いたら彼氏は、きちんと答えなきゃいけないんだよ!』
『ごめんな、雷花』
『仕方ないなぁ〜。今日のところは勘弁してあげるね!だってお兄ちゃんが私の好きなところを語ったら日付が変わっちゃうもんね!次に聞く時までにまとめてて!そうだなぁ〜6時間程度がいいかな!宿題だよ‼︎』
『雷花の好きなところを語るのにそんなに何時間もかから…』
バチチチ
『アババババババ………』
『駄目だよ、お兄ちゃん!照れるからって嘘はついちゃ駄目だよ!夫婦円満で素敵な夫婦生活を送るのに必要なことがお兄ちゃんは、まだ分かっていないみたいだねー。きちんと聞いて忘れないようにしてね⁉︎⁉︎忘れないようにしてね‼︎‼︎妻だけを見て、妻だけを愛して、妻に嘘をつかないことが必要なんだよ!それから、分かってると思うけど、絶対に妻を裏切っちゃ駄目だよ⁉︎もし、裏切ったら………うふふふ負負負負負負負負。あっ、でもお兄ちゃんなら心配ないか。えへへへ。』
『おっ、覚えとく…よ』
お兄ちゃんは、本当に照れ屋さんだなぁ〜。シャイなところもお兄ちゃんの魅力の一つなんだけどねぇ〜。
『じゃあ、次の質問!お兄ちゃんは、18歳になったら何がしたい?』
『そうだな…ひとり…』
バチチチ…
『アババババババ…』
『まさかお兄ちゃん、一人旅がしたいなんて言わないよね⁉︎一人で旅する前に私と新婚旅行に行かなきゃだよね⁉︎それから新婚旅行の前に18歳になったら、婚姻届を役場に提出しなきゃだよね⁇18歳のビッグイベントって言ったら、私とお兄ちゃんの結婚だよね⁇』
『……らっ、雷花との旅行楽しみだなぁ〜』
『うん‼︎温泉に行って、お風呂上がりの私の浴衣姿で興奮させてあげるね!』
『お話中、失礼します。』
急に後ろから声をかけられた。
振り返ると、常に笑顔を浮かべ、薄茶色の長髪を片側(右側)に垂らたメイドさんが一人立っていた。
この人は、理子さんって名前だったと思う。
お兄ちゃんを誘惑して私とお兄ちゃんの仲を裂こうとした悪者だ。
『私とお兄ちゃんのスィートタイムを邪魔しないで下さい‼︎‼︎』
『うふふ。スィートタイムは、お邪魔しませんが。長い間お喋りして、喉も渇いたのではありませんか⁇ここに紅茶とスィーツがあります。このスィーツでスィーツタイムにしませんか?』
理子さんというメイドさんは、とてもいい匂いのするアップルティーとアップルパイを私とお兄ちゃんの目の前のテーブルの上に置いた。
『むむむ…仕方ないなぁ〜。せっかく準備してくれたみたいだし、ここは、礼儀としてきちんと食べてあげなきゃだよね!雪白家の者として食べ物を粗末にしたら駄目だよね!』
私も女の子。スィーツの持つ、抗い難き悪魔的な魅力から逃れることは、当然無理だった。
しかし、私はこの時、自分自身が、取り返しのつかない重大な過ちを犯していることに気がつかなかった。
『お兄ちゃん、早く食べよー‼︎』
『あぁ、いただこうか』
パクッ
ぱくっ
二人同時にアップルパイを口に入れた。
…この時、始めに聞いておけばよかった。
誰がこのアップルパイを作ったのかを。




