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【ブラコン※ブリザード】   作者: 雨雪琴音
【五章】 妹(マイ)デートタイム
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【41話】『あ〜ん』しては、死亡フラグ

修羅場って知ってるかい?

一人の男を巡って(取り合って)女同士が争うことだ。

中には、その争いで血を見るものもあるそうだ。

その修羅場状態で

『あーん』って地獄だよな。

だって口は一つしかないし。


『はい。お兄ちゃん、あ〜ん』

『恭弥様!こちらの方が美味しいですわよ!はい、あ〜んしてお口を開けて下さいませ!』

雷花と美水が俺の両隣に座って、食べ物を勧めて来ている。

『あのさ…1人で食べさせて…』

『駄目だよ、お兄ちゃん(ニコッ)』

『駄目ですわ、恭弥さま(ニコッ)』

ヤバイ…2人とも笑ってるけど目が怖い!

何故か雷花と美水が俺に怒り、身体を昆布でぐるぐる巻きされ、海の家に連れて来られた。

この海の家、不思議なことに朝には無かったはずだが…

海には、俺達以外には、人がいないし…海の家の客も俺達以外にはいないようだ。

海の家の店員さんは、何故か皆メイド服を着ていた。

そして、何故か全員狐の仮面を着けていた。

『ラーメンを1つ下さい!』

『焼きそばというものを1つお願いしますわ』

『……かれー…らいす』

雷花は、ラーメン、

美水は、焼きそば、

雪音は、カレーを注文していた。

『俺は…』

『『以上でお願いします(わ)。』』

雷花と美水がハモって注文を終えてしまった。

あれ?もしかして今日、俺、昼飯抜き⁇⁇


料理は、注文後にすぐに来た。

『ふぅー、ふぅー。はい!お兄ちゃん♪妹が、ふぅーふぅーしたラーメンだよ!あ〜んして!熱いから気をつけてね!私の想いも熱いから気をつけてね⁉︎私を裏切って他の女の子に見惚れたりしたら駄目だよ⁉︎仏の顔も三度までって言うけど、妹の顔は一度までだからね!次はないからね!』

雷花がラーメンを分けてくれようとしてくれた。熱いって注意してくれたが、自分で食べられれば危険じゃないんだけどな…

この縛ってる昆布を解いてくれないだろうか…

『恭弥様、この焼きそばとても美味しいですわよ!はい、あ〜んして下さい!味見してみて下さいませ!がしソースが香ばしくて最高ですわよ。ソースだけじゃなくて私もいつも恭弥様に胸を焦がしていますわ。ですが、私を裏切って、他の女の人に見惚れていたら、焦がされるのは、恭弥様になりますわよ⁉︎』

美水まで、俺に焼きそばを分けてくれるようだ。もしかして、雷花も美水も女の子だから、1人で全部食べ切れるか心配だったから、俺の分を注文せずに2人とも半分づつ俺にくれるつもりだったのだろうか⁇

それから今、少し聞き取れなかったが、美水が何かを焦がすとか話をしていたが、美水も料理をする時に何かを焦がした経験でもあるのだろうか…

『お兄ちゃん、早く口開けて!焼きそばなんかより、お兄ちゃんは、ラーメンの方が好きだよね!』

『恭弥様は、ラーメンより焼きそばの方が好きですわよね!』

バチチチチ…

雷花と美水が火花を散らし出した。

『お兄ちゃんは、私と美水さんのどちらを選ぶの?』

『恭弥様、正直に答えて下さいませ‼︎』

あれ?今、雷花言い間違った⁇雷花と美水じゃなくて、ラーメンと焼きそばの話だったよな⁇

ギャーギャー!

ギャーギャー!

雷花と美水が2人で口論を始めた。

よし、目をつぶろう。

俺は、何も見えない。

何も聞こうない……何も聞こうない…

ひょいっ!

目をつぶっていると、いきなり口の中に何かを突っ込まれた。

口の中にスパイスの香りが広がった。

これは、カレー?

『パパ…おいしい?』

目を開けると、雪音がスプーンを俺の口の中に突っ込んでいた。

『あぁ、美味しいよ』

『よかった…』

そう言うと、雪音は、また黙々とカレーを食べ始めた。


あれっ⁉︎さっきまでうるさかったのに急に静かになったな…と思って、雷花と美水を見ると、2人は、『え?まさかの伏兵!』『え?まさかの抜け駆けですのっ⁉︎』と言う驚愕の表情をして雪音を見ていた。


『お兄ちゃん、入れるよ!』

『恭弥様、口の中が寂しいですわよね⁉︎』

雷花と美水が、二人同時にラーメンと焼きそばを口の中に突っ込んで来た。

うわ…このラーメン、豚骨ラーメンだ。焼きそばの焦がしソースと青のりと豚骨スープが絶妙なアンバランス…

『まだまだ、妹ラーメン食べ足りないよね⁉︎はい、もう一口!』

『正妻焼きそばも、食べ尽くしてもかまいませんわ。はい、どうぞですわ』

『ちょっ、ちょっと待ってよ、ぐほっ…もごっ…』

この後、2人の注文した料理を完食するまで、『あ〜ん』は、続いた。

もう『あ〜ん』なんてこりごりだ。

『あ〜ん』という行為が甘いのは、漫画やアニメやドラマの中だけの話なのだと、そう悟った俺だった。




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