【31話】ピザパンとか自分で作ったピザとかパン屋さんが作ったピザ…あれって何かが違うんだよな…デリバリーピザが安定なのか?
家に着いたら、ドアを指紋認証で開けて入った。
部屋の中は真っ暗で、この時ようやく自分が何を公園に忘れて来たのか分かった。
忘れて来たのは…美水だ。
『『ぐぅ〜』』
雪音と俺のお腹が同時に鳴った。
雪音も俺も腹ペコだ。
でも、公園で遊び過ぎてしまって、今からご飯を作る気力がない。
それにいつも料理を雷花にまかせているので、今朝作ったフレンチトーストの様な簡単な物なら作れるが、凝った物は、作れない。
うーん…どうしたものか…
とりあえず、出前でも頼もうかと思い、郵便ポストに食事のデリバリーサービスのチラシが入っていないかポストを雪音と一緒に確認しに行くと、丁度、ピザのチラシが一枚入っていた。
『ピザか…』
『ぴざ?』
『あっ、雪音は、ピザ嫌いだった⁇』
フルフル。
雪音が小さな顔を横にふった。
どうやらピザは、嫌いじゃないらしい。
『ぴざ…たべたことない』
好き嫌い以前に食べたことがなかったみたいだ。
『ぴざ…たべてみたい』
『そうか。なら、ピザを注文しよう!』
『雪音は、どのピザが食べてみたい⁇』
『パパと…いっしょのやつ』
『俺が選んでいいのかな?』
『うん…』
そこで【当店一番人気のピザ】というやつを注文することにして、すぐに電話をかけた。
プルルルルル…
ガチャリ
『こちらサンダーピッツァです♪』
女の子の声だった。
チラシのピザのメニュー欄ばかりを見て、会社名をきちんと見ていなかったが、このピザ会社、サンダーピッツァって言うのか、始めて聞く会社だな。
でも、メニューに乗ってるピザが凄い美味しそうだったから大丈夫だろう!
『すみません。雪白恭弥と言います。お店で一番人気のピザを注文したいのですが』
『もしもし、ご注文を承りました。当店で一番人気のピザでございますね。配達まで5分程お持ち下さいませ。それでは、失礼いたします。』
ガチャリ…
電話を切った。
5分で着くなんて、近所なのだろうか…
5分後、本当にピザが到着した。
ピンポーン
『こんばんは♪サンダー・ピッツァです。ピザをお持ち致しました』
あれ?さっきも思ったのだが…
この声、何処かで…
ドアを開けると
帽子を深く被ったピザ店の制服を着た女の子が中に入って来た。
『当店で一番人気のピザですが、お客様は、なんと当店一番人気のピザを注文して下さった記念すべき100人目のお客様なので、代金は、いただきません!どうか今後ともうちの店をご贔屓にお願いします』
そう言って、ピザを渡してスタスタ帰って行った。
今日は、ラッキーだな。
『パパ…はやく…たべよ?』
雪音に急かされて、ピザを食べることにした。
あれ?また何か忘れてないか?
まぁ、雪音がお腹空かせてるし、そんなに重要なことじゃなかったと思うし、まぁ、いいか。
『ぱくっ!』
ぽわぁ〜〜〜。
ピザを一口齧って、雪音の顔が緩み、頬が薄紅色に染まり、ぽわぁぽわぁ〜とした笑顔になった。
どうやら、雪音お嬢様は、ピザがお気に召したようだ。
『あむ、あむ、あむ…』
雪音は、そのまま無言でピザを頬張っていた。
無言でピザを頬張る雪音は、とても可愛かった。
そんな可愛い雪音を見て、俺もピザに手をつけた。
あむっ…
あれっ?
このピザの味…
雷花が作ったピザの味に似てる…いや、似すぎだよな…
俺が、ピザを食べたいから注文してみようかな…って言ったら、雷花が、お兄ちゃんが食べたい物は、私が作ると言って、ピザ生地とピザソースも自分で作り、何種類かのチーズも使って、ピザを作ってくれた。
それから毎回、俺がピザを食べたいと言うと雷花がすぐにピザを作ってくれたので、俺は、デリバリーピザをまだ一度も食べたことがなかったのだ。
うーん…
雷花のピザ作りが上手くて、お店の味と同じレベルだったってことかな?
たまたま似てただけだろう。
雪音と二人でピザを頬張っていたら、
ガチャリ。
ドアが空く音がした。
『恭弥さまぁ〜雪音ちゃぁ〜ん!愛する妻であり、母である美水が今帰りましたよぉ〜ただいまですわぁ〜』
どうやら美水が帰って来たらしい。
また、美水のこと忘れてたよ。ごめんな…今日は、公園ではしゃぎ過ぎて疲れたみたいだから許してくれ。
『遅くなりました。今から晩御飯をじゅんbi…』
リビングまで来た美水が、俺と雪音がピザを食べているのを見て、愕然としていた。
『美水もピザ食べるか?』
ピザは、俺が今食べかけのが一切れ残っているだけだったので、食べるか聞いてみた。
『これって間接キスですわよね?恭弥様ったら、夫婦だからって大胆過ぎますわ♪雪音ちゃんだって見ているのに…あっ、分かりましたわ!パパとママがラブラブなのを雪音ちゃんに見せつけてあげたいのですわね!それじゃあ、恭弥様の味がするピザを堪能させて頂きますわ。これは、やはり、恭弥様の手から直接あ〜んしてもらって、食べるべきですわよね。もう、なんてご褒美でしょう。今日、恭弥様と雪音ちゃんに公園に置いてけぼりにされたことは、全部チャラになるぐらい幸せですわ♪』
美水が、一人で騒いでいた時、
パク、パク、パクッ!
雪音がピザの最後の一切れを食べてしまった。
『おいしかった…ね』
『恭弥様、先程のピザを頂戴出来ますか?』
『あぁ、それが…今、雪音が全部食べちゃったんだ…』
『えっ?』
パタリ。
美水が、その場に倒れた。
うん。美水も今日は、疲れたんだろう!
ベッドまで、お姫様抱っこで運んで行ってあげた。
それにしても、今日のピザは、雷花のピザに似て、凄く美味しかったな。
サンダーピッツァか。
覚えておこう!
あれ?
そう言えば、注文した時、住所って言ったっけ?
ちゃんと届いたし、住所も言ったよな。
『パパ…』
雪音に呼ばれたので、ベッドのある寝室を後にした。




