【15話】兄妹オンリーの島
目を覚ますと、そこは、海だった。
前方には、見渡す限りの白い砂浜と青い海。
後方には、生い茂る緑の楽園というかジャングル。
あれ?
さっきまで自分の部屋で雷花と喋ってたよね⁉︎
これは夢⁇
俺は、頬をつねって現実に戻ろうとした。
『痛い…え?…夢…じゃない』
頬をつねっても夢から覚めることはなく、目の前の海は消えなかった。
『お兄ちゃ〜ん♪』
何やら凄く聞き慣れた声が聞こえた。
『お兄ちゃ〜ん‼︎』
振り返るとジャングルの中から雷花が現れた。
『えへへ、お兄ちゃんが眠ってる間に食べ物取りに行ってたんだよ〜お兄ちゃんお腹空いてない⁇マンゴーとかパッションフルーツとか色々取って来たけど何が食べた〜い⁉︎』
『ちょっと待ってくれ雷花…先に今の現状を整理させてくれ!』
『どうしたの⁇何かおかしなことあった⁇』
『いや、ありすぎだろ!』
『何が?』
『まず、ここどこだよ!それにどうしてこんな所にいるんだよ!』
『え?お兄ちゃん覚えてないの⁉︎(棒読み)』
『え?何をだよ⁉︎』
『お兄ちゃんと私はね。一緒に旅行に行くことにして、旅行に行ってたんだけど、その途中で事故にあっちゃって、無人島に流れついちゃったんだよー。もしかして…お兄ちゃん事故の時に頭を打っちゃって記憶が飛んじゃったのかな?中々起きなかったのも頭を打ったせいなのかも!きっとそうだよ!(棒読み)』
『そうだったのか…何も思い出せないな…でも、雷花が言うなら本当なんだろう』
まったく何も思い出せない。
『ここは無人島なのか…雷花も怖いだろ⁉︎早く助けが来るといいな‼︎』
『ちっとも怖くないよ!だってお兄ちゃんが一緒だから!』
……やばい。
無人島でこんな状況なのに妹に頼りにされて感動してしまうなんて不謹慎だよな。
兄である俺がしっかりしなきゃ‼︎
『(ぼそっ)雪白島のアダムとイヴ、これから始まる2人の新婚生活が楽しみだね!お兄ちゃん♪』
俺と雷花の無人島生活が始まった。