【7話】アツアツ・アットホーム
雷花と一緒にレストランで外食した帰り道。
雷花が俺の腕にしがみついて来た。
雷花の可愛い笑顔を見たら、『恥ずかしいから離れろ』とは、言えなかった。
そのまま歩いていると、雷花が少し怒った様に質問をして来た。
『お兄ちゃん!私と腕組みして嬉しくないの⁉︎⁉︎こんなに可愛い妹と腕組みできたら普通の兄なら嬉しすぎて昇天しちゃうはずだよね⁉︎どうしてお兄ちゃんは、平気なの⁇』
『うーん…この歳になっても妹が兄を毛嫌いせずにスキンシップをとってくれて嬉しいのだけれど、雷花には、そうは見えなかったか⁇』
『ちっがーう!そうじゃなぁーい!当たってるんだよ⁉︎いや、当ててるんだよ⁉︎』
何が当たってるって言うんだ⁇さっぱりわからん…
『お兄ちゃんは、大きくて完熟した豊満な実の方が好きなの⁉︎ちっちゃいやつの方が甘酸っぱくてすっごく水々しくて美味しいのに!』
完熟とか甘酸っぱくて水々しいって…果物の話だろうか⁇
果物ってことで答えとこう!
『どちらかと言うと青くて甘酸っぱい方が好きだよ』
ミカンやバナナは、青くて少し酸味がある方が好きだ。
『そっ、そっかぁ〜。じゃあ、私のちっちゃいやつも大好きなんだねー。なら好きだって素直に態度に表してもいいのにぃ〜お兄ちゃんの照れ屋さんっ!あっ、でもお兄ちゃんが完熟したのを好きじゃなくて良かったよ!小さいのが好きになるように洗脳する手間も省けたから』
たかが果物一つで雷花は、大げさだなぁ〜
まぁ、昔から料理や食べ物が大好きだったから好き故に譲れない物があったのだろう。
その後、二人で他愛のない話をしながら家まで歩いた。
家についてすぐ、雷花は、祖父母の家に連絡を取ってくれていた。その間、俺は、ソファーに寝そべってテレビを見てゆっくりしていた。
『お兄ちゃん、明日の三者面談のこと雷花がおじいちゃんにお願いしたら大丈夫って言ってくれたよ!』
『そっか、俺のことなのに悪いな!』
『いえいえ、夫のために頑張るのが妻の役目ですから!』
雷花がまたママゴトコントをやっていた。
その後すぐに雷花がお風呂を入れてくれた。
『お兄ちゃーん!お風呂先に入ってー‼︎雷花は、準備があるからぁ〜』
『ありがとう、なら先に入らせて貰うよ!』
お風呂に浸かると今日一日の疲れが
吹っ飛んだ。
『ふぅ〜』
ガラガラガラ…
『え?』
いきなりお風呂のドアが開いた。
『お兄ちゃん、来ちゃった♪』
『らっ、雷花⁉︎』
雷花がお風呂に侵入して来た。
『えへへ。早く体を洗ってお風呂に入ろぉーっと』
雷花がすぐにシャンプーで髪を洗い始めた。
ゴシゴシゴシ。
俺がお風呂から上がるのが遅くて、待ちきれなかったのだろう。今日は、雷花も疲れていて、早く風呂に入りたかったのだろう。
ここは、気を使って早く上がってやろう。
雷花は、目を閉じて髪を洗っていたので、何も見えないはずだ!
出るなら今だ!
ガラガラガラ…
『えっ⁉︎お兄ちゃんもう上がるのっ⁉︎』
雷花が何故か慌てふためいていた。
『どうして?』
『俺は、先に上がるからゆっくり浸かって来いよ!』
『ええ?まってよお兄ちゃんっ‼︎って、きゃーシャンプーが目に入っちゃったー』
何やら雷花が騒いでいるのが聞こえた。雷花は、お風呂に入る時まで元気だなぁ〜と天真爛漫な妹に感心しつつ、俺は、体を拭いてすぐに脱衣所を後にした。
そして、今日は、とても眠かったので歯を磨いてすぐに布団に着いた。
夜中に『お兄ちゃんもう寝ちゃったの⁉︎早すぎるよぉ〜私、お兄ちゃんとの初夜のためにお風呂で念入りに体を磨いて準備して来たのにぃ〜‼︎お兄ちゃんのいけずぅ〜』と雷花の声が聞こえた気がしたが寝ぼけていたので、真偽のほどは、わからない。
きっと夢だったのだろう。
夢でさえ雷花が出てくるなんて、雷花は、大活躍だな〜と笑う俺であった。