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掃除

掃除のポイントを簡単にご紹介しよう。

天井から壁、床と上から順に掃除していくことだ。まずは天井の梁に溜まった埃をはたきで落とす。これは気をつけた方がいい。自分の立ち位地が悪ければ全て自分に落ちてくる。次に壁についた埃を箒で軽く落とし、床のゴミとともに掃く。壁に残ったしみや汚れに水をかけ、デッキブラシでごしごしとこする。床に落ちた汚れた水を、こちらもデッキブラシで軽く外に流し、水を撒き、またこする。こする。こする。


一通りきれいになれば、今度は雑巾で水拭きをする。床の木目に合わせて拭いていき、そして最後に乾拭きして終了だ。


ガラス窓には古新聞などを使うのが有効である。新聞のインクにガラスをピカピカにする成分が入っているらしい。詳しいことは知らないけれど。


「つ、疲れた…」


小屋の中の掃除はようやく終わった。朝からはじめたのに、気付けば日が西に傾いている。

昼食をとるのも忘れ、ひたすら掃除に没頭してしまっていた。おかげで全身くたくただ。よろけながら壁伝いに小屋の外に出て、倒れこむように草の上に寝転がる。日に当たって暖かくなっていた芝と、冷たくなってきた風が心地よく身体にしみわたる。


ふと隣に目を向ければ、小屋の中に入っていた机や椅子、本や雑貨などがまだたくさん残っている。天日干しをしてじめじめ感はぬぐえたかもしれないが、年季が入った汚れが付いているからきれいにするにはまだ時間がかかりそうだ。


まず一日で、しかも1人でやろうとしたこと自体間違っていたのかもしれない。今日は小屋の中を掃除できただけ充分だ。続きは明日しよう。うん、それがいい。


重たい身体を引きずって城から大きなシートを持ってくる。小屋の床に敷き、その上に日干した物を運び込んでいく。こうすれば付いたままの汚れは気になるまい。今朝2時間近くかけて出したものを、再び小屋に戻していく。疲れた身体に大量の荷物を戻す作業は辛く、朝よりももっと時間がかかっている気がする。朝は軽々と運べていた棚がなかなか持ち上がらない。自分の身長の半分くらいしかない背の低い棚であるし余裕だと思われたのだが、木造りの頑丈なそれは結構な重さだ。


ふぅっと気合を入れて持ち上げ、足を踏み出そうとしたところでバランスがくずれ、よろめいて、そして何かに支えられた。


「まだここにいたんですか。」


後ろから、身体を囲むように支えてくれたのはコーリア様だった。背中に触れるコーリア様は意外とがっしりしていて、男性にあまり免疫のない私としてはどきまぎしてしまう。慌てて離れようしたのだが腕をつかまれ、そのままくるりと身体の向きを変えられ、持っていた棚を取り上げられた。


「確かにここを任せたのは私ですが、なにも一日でここまでやれとは…。馬鹿ですか。」


コーリア様は呆れながら軽がると持ち上げた棚を小屋に運んでいく。細身で、側近というか文官に近いことばかりをやっているから力はないと思っていた。それでもやはり男性だけあって私とは比べ物にならないくらい力はあるらしい。


それからも重たいものはほとんどコーリア様が運んでくれ、1人では何時間かかるかわからなかった作業はあっという間に終わった。終始いやみは言われつづけたけどね。


それでも助かったから帰り際にありがとうございましたと笑顔で言ったのに何か嫌なものを見るような顔をされた。理不尽だ。



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