二話 虹之助の思い
戦国に生きる刀を抜かぬ男と人を愛する事を知った女
川岸で子供達と共に遊ぶ内
互いに引かれ合っていた
虹之助
「なぁ、雪。
俺は戦など無くなれば良いと考えているが、お主はどうじゃ?」
虹之助は雪に質問した
雪
「そうですね…
戦など無くなれば、この子供達も悲しまずに済むのですけれど…」
虹之助
「けれど、なんだ?」
雪
「虹之助様は戦に出る武士でございましょう?
戦が無くなれば虹之助様はどう生きるのですか?」
虹之助
「確かに戦が無くなれば武士は用済みとなるだろうな。
だが食うていく位なら何とかなろう、今も武士とは名ばかりで田畑で米を作り野菜を作っておるしな」
雪
「しかし…」
虹之助
「雪よ、戦が嫌いなら嫌い
それで良いのだ
遅かれ早かれ戦が無くなる日が来るだろう」
またいつものような笑顔で言う虹之助
雪は虹之助の笑顔を見ると本当に戦が無くなる日が来るだろうと何故か信じる事が出来た
虹之助の暖かい笑顔に触れていった為、雪の凍っていた心も一気に溶けていた
ある日、朝から村に虹之助の姿が無かった
川岸、虹之助の家、畑と探したが何処にも居なかった
途方に暮れながら歩く雪に村人が声を掛けた
「虹之助を探しているのか?」
雪
「はい、ご存じありませんか?」
「朝早くに鎧兜を纏った侍が尋ねて来ておってな、その侍に付いていった
ありゃー何処ぞの名のある武将の使いだな、虹之助も出世したもんだな
どうやら近く大きな戦があるらしい」
本当なら喜ぶべきなのだろう。
浪人である虹之助が有名な武将に仕官出来るのだから
しかし雪は大きな戦と聞いて素直に喜ぶ事が出来なかった