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第二章

「おっはよー!瑞穂!」

「ゴメン、香織!待った?」

「ううん、全然。今来たばっかりだよ」

 瑞穂の顔は、家で考え事をしていた時とは大違いだ。とても明るい表情である。

待ち合わせ場所に来て、毎日学校へ行っているのは、瑞穂の友達。山崎香織。

「昨日のドラマ見た?」

「見た見た!香織も見たでしょ」

「もっちろん!録画もしたんだから!」


 はた目から見ると、ごく普通の生徒達。元気がいい二人。

だが、瑞穂は学校へ一歩近づく度、自分の心が徐々に暗くなるのを感じた。


「今日、体育やんの?二組」

「うん。あ、そっか。瑞穂は四組だもんね。明後日かあ」

「何すんの?今日の体育」

「多分ね、この間のマット運動の続きだと思う」

校内に入り、教室へ向かって歩きながら喋る二人。…ほら、見えてきた。「二年四組」の札。

「じゃあね。瑞穂」

「うん、また」

香織は二年二組の教室へと入って行く。

すぐに、「おはよう香織!」「香織ちゃん、おはよう!」と、挨拶が聞えてくる。

はっきり言う。羨ましかった。


確かに、香織は根から明るい子で、誰にでも好かれやすい性格だ。

…少なくとも、私にはないところだ。


あと数歩で教室に入る。すぐ上に、二年四組と描かれた札がぶら下がっている。

嫌だなあ…。入りたくないな。


「邪魔くせえんだよ。早く入れよ、カス」

思いきり押され、勢いで教室へ入った。振り返る間もなく、押した男子は教室へズカズカと入った。

別に謝ろうとは思わなかった。でも、言い返そうとも思わなかった。

たくさんの生徒たちの視線を全身に感じる。

瑞穂は気にしなかったかのように振る舞い、自分の席へ向かった。


 自分の席の前で固まる瑞穂。


「馬鹿」「死ね」「学校来んな」「消えろ」「あの世へ帰れ」


 …いつものことでしょ。そのためにいつも除光液を持ち歩いているのだから。

瑞穂は椅子に座り、せっせと机の落書きを消した。





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