日常
ただのトラウマ持ち系主人公のイチャラブ小説が書きたいんだー!!届けーこの想いー!!
「おはよう。今朝もお散歩かい?」
「おはようございます。いつも言ってますけどランニングですよ。」
いつも走る大きな池でいつも会うおじいさんに話しかけられた。この人毎回同じこと聞いてくるんだよな。なんなんだろう本当に、いい人なのは間違いないんだろうけどさ。
「毎朝偉いね。こんな朝早くに。」
「?そんなに早いですか?」
「いつも朝の5時に出会うからそう思っただけだよ。君、見たところ学生っぽいけど運動部なのかい?」
これは初めてのセリフだった。
「いいえ、運動部じゃないですけど。」
「へぇ、運動部じゃないのにこんな朝早くからランニングなんてえらいねぇ。」
「ありがとうございます。時間も押してるんでもう行きますね?」
そう言って僕は散歩の続きに戻った。
家に帰って時計を見ると5時半ほど、一旦風呂に入ってその後、ご飯でいいかなとお風呂場へ向かう。いつも通り鼻歌交じりにシャワーを浴びて、鼻歌交じりにシャワー室を出ていく。現在5時50分、シャツとパンツだけを着て5時半に炊き終わるよう予約しておいた炊飯器を見る。
「うん。炊けてる。おなかすいたし食べるか。」
そう言って器にご飯をよそう。白米の良い匂いだ。友達に昔言われたのだが、僕の食べ方は少し独特らしい。まずは海苔をあまり噛んだり舐めたりしないように口に入れ、海苔の味をほんのり感じれるほどの量のご飯を食べる。僕はあまり変だとは思わないが人によっては変だと感じるのだろうか?
「ごちそうさまでした。」
茶碗1杯のご飯を食べ終わり、今は6時10分
、そろそろ出る準備をしなければならない。まずは部屋に戻って着替える。一人暮らしって訳では無いが、1人で住むにはあまりにも広い家だ。
「父さん、母さん、いつ帰ってくるのかな。」
前までは三人家族で住んでいた家、だったのだがもう3年は僕一人だけしか住んでいない。
「きっとお仕事忙しいんだろうな。」
そう考えて、さっさと制服に着替える。
次は畳の部屋に入って仲睦まじい男女2人の写真が飾ってある仏壇に手を合わせて行ってきますと一言だけ伝えて玄関に向かう。
「きちんと戸締まりはしてね。」
ただの独り言。
ここから歩いて10分ほどの駅へと向かう。駅から1時間ほど電車に揺られて学校へと向かう。本を読みながらだとそんなに長い時間でもない。今日読んでいたのはアルベール・カミュの作品、異邦人。着いた駅から歩いて30分ほどで学校に着く。
今は8時、部活動の朝練で至る所に人がいる。僕には部活はないのでいち早く教室にも入ることになる。
今日は先客がいたようだ。知らない子だし、話すこともないので自分の席に着く。会話の一つもなくただ紙を捲る音だけが聞こえる。
―Et c'etait comme quatre coups brefs que je frappais sur la porte du malheur.(それは私が不幸のとびらをたたいた、四つの短い音にも似ていた。)―
酷い話だ。本当に…。
8時10分、教室に人が押し寄せる。部活終わりだからか汗臭いし人が多い。騒がないでくれ、こっちを見るな。
先ほど知らない子が座っていたところに別の女子生徒が座った。あれ?確かにいたのにずっといたのに。見回しても彼女の影も形もない。自分には一体何が見えていたのか。まあ、気にするだけ無駄だとSHRの準備をする。
人と話すことなく本を読み、休憩時間をつぶす。授業は普通に受ける。自分で言うのもあれだが、僕は優等生だ。数学と物理ではつい寝てしまうが、流石におじいちゃん先生の眠たくなるような声と話は寝てしまっても仕方がないと思う。それに割と気づかれないから寝たところで評価は変わらないし。授業聞いてなかった分は家で勉強しているからテストも問題ない。こういう時に趣味がないっていうのは便利だと思う。
もう帰る時間だ。一応生徒会に所属しているが書記長をやっているが今日は特に何もないし、バイトがあるので早めに帰る。
「すみません。電車が遅れて。」
「いいよ。来てくれたんだし、ぼさっとしてないで早く着替えな。」
『雲母』バイト先のただの飲み屋で、家にすぐ近い。もともと家が遠いしで寮に住もうとしていたもののうちの高校はバイト許可制だったので寮でバイトは目立つと先生に言われて渋々家から学校に通うことになった。先僕の家の近くにある店で先生の知り合いが経営してるという居酒屋を先生が紹介してくれた。
ここの店長さんは僕に寄り添ってくれるとてもいい人でかなり満足している。僕は接客担当で走り回る役割だ。
「これ8番テーブルのお客さんのやつ、頼んだよ。」
「はい!」
8番テーブルに焼き鳥と生ビールを持っていく。雲母では人気の黄金コンビとして名を馳せている。他の焼き鳥とは香りの付け方や秘伝のタレがその地位を完全なものへと昇華している。これが何とも仕事終わりの生ビールに合うらしい。
(えっと8番テーブルはっと)
8番テーブルに座っていたのは今日の朝いつの間にか消えていた女の子だった。今朝と違うのはスーツを着ているところだろうか。
「えっと…おまたせしました。違ったらなんですけど、今朝会いました?」
「何の話ですか?」
「朝、学校で…。」
「学校?なんでそんなところで?」
「いえ…違うならいいんです。人違いでした。」
恥ずかしい。自分の勘違いでお客様を困らせてしまった。
「仕事いつ終わりますか?」
「はい?」
唐突のことだった。本当に唐突すぎて聞き返すことしかできなかった。
「だから、仕事はいつ終わりますか?」
「えっと…今は8時ですから…えっと…10時に上がります。」
「そうですか。じゃあ待ちます。」
なにか用があるのだろうか。彼女はここで待つと決めたようだった。なんとなく滲み出る頑固臭、この人は本当にここから動かないつもりだ。僕は諦めて仕事に戻る。
仕事が終わり。もう帰るかと店を出たらあの時の女性がいた。ずっと顔を見ていなかったがよく見るととてつもない美人だった。薄めの金髪で赤い瞳はなんというか吸血鬼…いや吸血姫というべき風貌だ。その整った顔はルノワール作のレースの帽子の少女を幻視するほどに美しさを感じ、瞳を奪われた。実際はそれほどまでではないのだろうが、僕の心は彼女を有名画家の描く絵画に勝るとも劣らないとまで想うほどに彼女に脳を焼かれた。
「ぼーっとして、なにかありましたか?」
顔を近づけてきて彼女は言った。あまり人に興味を持ってこなかった僕が初めて興味を自覚した女性だ。ボーっとしないほうが失礼である。しかしまぁ何とも…いい匂いがするものだ。自分はこうまでも変態だったろうかと感じるほどに。
「い…いえ。そんなことより話したいことがあるのでしょう?」
混乱する頭とは別に人を騙してきた自分の声は凄く冷静だった。
「貴方からは血の匂いがするんです。」
「血の匂い?」
「人殺しの匂いが…。」
「人殺し?僕が?」
一体何を言っているのか分からなかった。人殺し?僕が?まっことその通りである。身に覚えがない。頭が…痛い。違う…僕はやってない…僕は悪くない…違う違う違う…そう…違う。これは何かの間違えだ。汗が止まらない。熱い…熱い。のどが渇く。違う…目眩がして目の前の景色がぐらつく。僕はやってない。嘘だ、嘘つき…僕じゃないのに、みんな僕を…。
「ほら、何か覚えがあるんでしょ?」
目の前には血の海…地面に倒れている両親の姿。鏡に映る刃物を持った怪物?違う怪物じゃない…僕だ。それでも違う僕じゃない。両親は今仕事で帰ってこないはずだ。3年も?おかしいじゃないか…だって僕じゃないのに帰ってこないなんて…。
「違う…僕じゃない。」
同じ言葉しか出てこない。ずっとずっと分かっていた。僕が親を殺した。その時何を思った?やめろと懇願する親を刺して…刺して刺して…さしてさしてさしてさしてさして…なんとも思わなかった。ニュースで人が死んだと言われてもかわいそうだなぁという考えしか出てこないのと同じように…肉親を殺した態度とは思えないように。
「違う。」
ただ同じ言葉を繰り返してその場にうずくまる。
「僕は…ぼくは…ボクは…」
「いいのよ…誰も貴方を責めやしない。」
温かい人の腕、人のぬくもり、いつからだろう温かさを感じなくなったのは…ただ涙を流して強く抱き返すしかできなかった。
ここは?どこだ?知らない天井。なんか狭いなと感じてふと横を見る。あの時の女性だ。頬を撫でる。何だか知らないのに知っている感じがする。
少し時間が経ってから彼女が目を覚ました。
「おはよう。起きるの早いね。今4時半よ?」
「この時間に毎回、目が覚めるんです。それでここは?」
「私の家。」
「何か本とかあります?」
「そんなこと聞く?自分のこと気になんないわけ?」
「気にしたところで何か変わりますか?」
「変なのね、貴方。書斎はちょっと離れてるから一緒に行こっか。」
彼女と一緒に布団から起き上がり手を引かれて書斎へと向かう。
「なんかこう…色々と気にならない?ここはどこなのかーとか、なんで貴方と寝てたのかーとか、自分は何者なのかーとかさ。」
「気にしたところででしょう?」
「達観してるのね、それとも生意気なのかしら?」
「で?ボクは何者なんですか?」
広いなこの屋敷と思いながら質問する。彼女はある部屋の扉の前で立ち止まり、こちらに振り向く。
「そういえば…名前!私の名前はね、えーっとぉナタリア!ナタリア・リラルフェルト。貴方は?」
「僕は門崎透真。」
「よし!トウマが何者か教えてしんぜよう。君はね、吸血鬼なの!私とおんなじ!」
最初に会った時の憂いを帯びた美人のイメージではなく可愛らしい子供を見ている気分だ。僕としてはこっちのほうが好きだが。
「吸血鬼ねぇ。で?僕は何者なの?」
「何だかドライだね。まぁいいよ。教えてあげる。貴方は吸血鬼の中でも特別な始祖なのよ、し・そ。分かる?」
「始祖ってあれだろ?自然界が生み出した生命体っていう。」
「そうそう。すごいよね〜始祖って、デイウォーカーなんでしょ?」
「デイウォーカーって…ブレイドでも見たのか?日光の影響を受けないやつだろ?何だかすごいよな。」
「それが貴方なの!ところでブレイドっていい映画よね。」
なんとも信じられんが何だか腑に落ちた気分だ。僕の親は僕の親じゃなかった。あの時は僕だけじゃなく皆がおかしかったのだ。
「僕はブレイドはアメコミの方が好きだな。で…君はどんな吸血鬼なの?」
「よぉーくぞ聞いてくれました。私実は真祖なんです。」
真祖…自然発生した吸血鬼真祖の血を受け継いだやつのことか。
「すごいんだな。純血種なんだろ?」
何だか得意げな様子を見てつい褒めてしまった。
「ところで始祖と真祖って何が違うんだ?」
「んーっとね。私たちの区分けになるけど始祖は本物の自然発生で、真祖は魔術とかで変異してから血を吸った奴って感じかな。始祖は別に吸血行為なしでも行きていけるはずだからもしかしたらトウマが両親を殺したのって他の理由があったんじゃないかな?」
「そうか…で?俺たちの関係は?」
「婚約的な?」
「んなノリで決められてたまるか。でさ、僕が教室で君の姿を見たのになにか心当たりはある?」
「貴方が私の運命の相手だからかな?」
「なにそれ?」
「私こう見えて年は言わないけど長く生きてるのよ。」
そうか…てことは見た目は若いからロリババ…ゲフンゲフン、すごい人なんだな。
「それに魔術だって使えるし、運命の相手を見つけることなんて造作もないんだから。」
「その魔術で僕の方にも同じように運命の相手が見えたってことでいいのかな?」
「まぁそんなもんでいいんじゃないの?」
いい加減なやつだなと思った。
「因みに長時間ここで駄弁ってるけど実は、この部屋が書斎です。」
「なんとなく分かってたさ。」
こいつはいい加減なやつだと分かった。
扉を開けて中へ入る。
「広いな。」
「でしょでしょ?凄いでしょ。」
外国の本だったり何故か日本の漫画だったりがずらりと本棚に並んでいる。天井が高い分天井ギチギチまで本棚があって2階層に分けられている。上に登る用の梯子があるほどだ。
ふと目に入ったのは幼年期の終わり。アーサー・C・クラークの本だ。人類の進化…吸血鬼という種もまたオーバーマインドのようなものなのだろうか。きっとそれは違うだろう。あれは一体としての発展形態だ。吸血鬼とは個体に過ぎない、ならばオーバーロードのに近いだろう。進歩しない知的生命体、そうでもなければ太陽という欠点、銀、十字架さらにはニンニクのような弱点を進化の過程で残しているわけもない。進化できるのならばそのような命にかかわるものは抹消しておくべきだろう。ブラム・ストーカーで書かれるドラキュラだって同じようなものだ。きっとこんなことを考えるのは無駄なことなのだろう。
「こんな綺麗なお嫁さんが勝手にできて贅沢なもんだよなぁ。」
「そ…そんな綺麗って…。」
照れている…もしかしたらまんざらでもないのだろうか。またもや自分で言うのもあれだが顔は整っているし、向こうも僕に惚れているのではないだろうか。ともかくこんな気持ちの悪い妄想は隅においておこう。
「ともかく学校に行きたいんだけどここどこ?」
「え?ここはね、外出たら分かるんじゃない?家の近くに大きいお屋敷あるでしょ?そのお屋敷がここ。」
「じゃあ君はお金持ちなのか?」
「うん、だからバイト先の店長さんにはもうバイト辞めるって伝えといたよ?」
なんだこの小娘は…僕のことを無視して…寝てた僕も悪いのだが。
「なんて言ってた?店長さんは」
「トウマくんと結婚します〜って言ったら幸せにしてやってくださいだってさ。」
本当にいい人だ。店の経営が忙しいだろうに僕の幸せを考えてくれて。
「まぁいいよ。明日は学校行くからな?高校三年生なんだから試験勉強とかなんとかしないといけないしさ。」
「今日は休んで大丈夫なの!?」
「いいよ。僕頭いいし。」
「そういうこと言ってるんじゃなくて、友達も心配するよ?」
「話はするけど友達ってほどでもないし、それに試験勉強忙しいしでお互い話してる暇なんてないんだよ。僕は僕で本読んでるし話しかけるほうが失礼だろ?」
「じゃあ初夜は高校卒業してからだね。」
俺は手を胸の前にクロスする。
「…えっち。」
「え?それ私のセリフじゃないの?」
今日は学校休んで彼女と楽しく世間話とかなんとかする日でもいいだろう。
「これからよろしく。」
「こっちこそよろしくね。」
互いにほぼ初対面の不思議な関係が始まった。
気が向いたら更新するよ。多分きっとメイビー
うんってセリフ打とうとしたら予測変換の一番端にうんちって出るの酷いよ。