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始まりの音声

手短にまとめる。

俺、篠原空は昔から予知能力があった。

だが、直接未来が見えるなどではなく、

例えば、ここでギャグを言ったら絶対にスべるや、

このまま勉強しないと、テストの点数が◯◯点になるなど、未来予知と言うには程遠いような予知能力だ。発動自体も自分ではできず、ランダムな時に急に発動するので、少し微妙な能力だった。

だが、この予知能力で得た情報は絶対に正しく、この予知能力と違う結果には絶対にならない。

それは、俺がこの予知能力に目覚めた、小学校の入学くらいから、現在高校1年になる今までに身をもって知った。

そして、この能力のせいで、高校1年の時、苦労することになってしまう。

その苦労する高校生活を、今からここに記す。

窓からは、光が溢れ出している朝方。多分6時くらい。

俺は脳内の機械音声で起きた。


「篠原空が、小鳥遊雪を好きになると、小鳥遊雪は死ぬことになる」


能力の発動がランダムなせいで、朝から憂鬱な予知を聞かされることはこれまでに何回もあったが、今回は特に最悪の予知だった。


「小鳥遊雪…?」


聞いた事のない名前だった。

今日は、高校の入学式。俺は、地元を少し離れた高校を選んだので、今日の入学式は、初めて出会う人が大半だろう。その中の、おおそらく女子に惚れてはいけないというミッションが課された、ということだ。失敗したら、人が1人死ぬミッション。これが初めてだったら、少し慌てて、その後、十分に惚れない為の作戦を立てるべきだろう。

だが、この能力に慣れた俺は、深く考えないことも大事だと知っていた。

さっきは、流れで今日会うと、決めつけていたがもしかしたら、転校して2学期からくる人かもしれないし、学校関係の人じゃないかもしれない。

この能力の事を考えると、無限の可能性が出てきてしまうので考えても無意味だ。

断片的なことしかわからないゴミ能力だし。

だが、今回のことは人の生死に関わる。

とにかく慎重に行こうと誓った朝であった。


・・・・・


高校の入学式が終わり、今日は何も起こらなかったなと考えながら、俺が真っ直ぐ家に帰っていた通学路の途中、不意に後ろから声をかけられた。


「篠原くん?」


後ろを振り向くと、白髪ショートの美少女が首を傾げて立っていた。俺と同じ高校の服を着ているので、おそらく同じ高校だ。入学式終わりに制服なので、同じ学年だとも推測できた。


「篠原空です」


苗字を呼ばれたが、確証がない感じの呼び方だったので、名前を名乗っておく。

俺って気が利くなー。

話しかけてきた美少女は、カバンから俺の学生証を取り出した。


「落ちてたよ?」


気が利くとか思っていた俺を殴り殺したい。目の前にもっと気が利く美少女がいた。

というか、初日から学生証を落とすとか流石にバカだろ。結果的に美少女と話せたからむしろ天才になったけど。これがバカと天才は紙一重ってやつか?

とりあえずこの目の前の美少女さんには迷惑をかけたので感謝を伝えておく。


「届けてくださり、ありがとうございます」


誠心誠意頭を下げると、目の前の美少女さんは慌てて首を振った。


「おんなじ学年なんだから、タメ口でいいよ。1年間よろしくね」


そう言って微笑むと、回れ右をして、反対方向に帰っていってしまった。


「あ、名前って」


こんな美少女とお近づきになれるチャンスは他にないと思い、名前だけでも聞いておくことにした。

美少女は俺の方に振り向くと、笑いながら


「小鳥遊雪。小鳥が遊ぶって書いて、たかなしって読むんだ」


と言うと、今度こそ帰って行った。

小鳥遊雪…俺が惚れると、死んでしまう人物。

てか、何もなくなかった。フラグだった。

せっかく勇気出して名前も聞いたのに、俺が絶対にお近づきになれない人物だった。

名前聞く前に惚れなくて良かった…と心の中では安堵していた。


・・・・・


次の日、学校に着くと、クラスが発表された。

俺は1年3組。1クラス30人で、5クラスあるので、小鳥遊雪と同じクラスになる確率は5分の1だから、まぁ、同じクラスにならないだろうと思っていたら、またまたフラグになってしまっったのか同じクラスになった。

もう、小鳥遊雪と会話をしないという作戦を取ろうとしたら、教室に入った瞬間、


「あ、空くーん!」


とか満面の笑みで言われたので、普通に挨拶してしまった。

挨拶も危険だ。モテとことない俺は、挨拶だけで惚れてしまうかもしれない。

惚れたら死ぬと知っていて惚れてしまうのは、それはもう人を殺すのと同義だ。

担任の先生が来たことによって、一旦会話は回避できたが、これ以上は危険だと脳内で自分に呼びかける。

先生が教卓の後ろで何か話しをしているが、まるで頭に入ってこない。

これからどうするべきか。その作戦だけを集中して考えていた。

何か作戦がないか考えていたら、隣の席の男子校行ったらモテそうな、中性的な顔立ちの、美少年?が、急に顔をこちらに近づけ、話しかけてきた。


「君、何かの能力者でしょ?」


ニヤリと悪い顔を浮かべている。


「は?」


俺は、思わず変な声の返事をしてしまった。

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