くびちょんぱ姫:その弐首 語部鸚鵡を持って参れ!
その弐首 語部鸚鵡を持って参れ!
キラリン!
燦々と輝く太陽にキラキラと光り輝く、鉄の斧ヨーコの鋭く磨き込まれた刃先……。
「はあ? あんたさ! たかが鉄の斧に、ヨウコなんて名前つけてんの? それって、馬鹿の上塗りじゃないのよ!」
「貴様! 王ばかりか、わしのヨウコ迄も侮辱しよってからに! ゆっ、許さんぞ!」
「今からあんたにくびちょんぱされるのに、許すも許さないも無いでしょ? わたしが許される事なんて皆無でしょ?」
「ぐぬぬぬぬ……」
「ぐぬぬぬぬじゃないわよ! わたしのうっとりするような項に惑わされない所を見ると、あんた! 薔薇の民ね!」
「……な? なにを……なにを急に……言い出すんだ……」
「ちょんバレじゃないのよ! 動揺しすぎでしょ? 薔薇! 薔薇! 薔薇!」
「やめろ! いわれのない噂がたったらどうするんだ! いくぞ! 覚悟しろ!」
「とっくに覚悟してんのよ! こっちは! 薔薇の民は腰抜けなの?」
「五月蝿い! その忌まわし呪われた言葉を口にするな!」
「もうわたしに怖いものなんてないのよ! 薔薇! 薔薇! 薔薇! 何度だって大声で叫んで上げるわ!」
「……とっとと済ませるぞ! おい! 吟遊法師を連れて来い!」
「今日はどうしても外せない所要があるとかで来てませんが?」
「何言ってるんだあいつは……?」
「ここだけの話しですが……ボブとマイケルと、どっちもにいい顔してたらしいですよ!」
「はあっ……それで揉めてるのか……そうか、それは仕方無いな」
「どう致しましょうか?」
「語部鸚鵡を持って参れ!」
「はっ!」
「何してんのよ? 早くしてよね?」
「罪を犯したものにも残す思いがあるからな! 辞世の句を考えておけ!」
「別に無いけど?」
「愛するものとかおらんのか?」
「五月蝿いわね、ほっといてよ! 絶賛募集中よ!」
「そうか……父とか母には、何かあるだろう?」
「わたしは父無し子で育っんのよ! ああ! むかっ腹立ってきたわ! 何よ彼奴! 今更お父さんだよとか出て来たって知らないわよ! 母と復縁迫ってきたからぶん殴ってやったわよ! 今はどっか空の彼方よ!」
「そうか……色々と大変だな?」
「語部鸚鵡を連れて参りました!」
「おい! 辞世の句を申してみよ!」
「薔薇! 薔薇! 薔薇!」
バアァァァァァ〜ラ! バアァァァァァ〜ラ! バアァァァァァ〜ラ!
「おい! 余計な事を申すな?」
バアァァァァァ〜〜ラ! バアァァァァァ〜〜ラ! バアァァァァァ〜〜ラ!
ワタシトマイケル ドッチ ドッチ トルトル バアァァァァァ〜〜ラ! バアァァァァァ〜〜ラ! バアァァァァァ〜〜ラ!
「おい! 語部鸚鵡をあっちに連れていけ! 羊皮紙を持って参って、お前が書き取ってやれ!」
「はっ!」
「ぐぬぬぬぬ……ならば、母に残す思いはあるであろう……?」
不本意ながら、
何故ゆえにまた次へと続くのです……。