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くびちょんぱ姫:その拾首 回収会


   その拾首 回収会


「あ〜らあら……腰抜けの漢は両手に拾金と純銀の斧を縦に持って何処へやらすたこらさっさと行ってしまいましたよ! うふふふふふ……沸々と湧き上がる欲望って怖いわね! そう思わない」


「あいつ偉そうな事、散々のたまわってたのに、何がヨーコーよ! 手にした途端すたこらさっさって……ばっかじゃない!」


「まだまだこんなものじゃ無いわよ? 女神なめんな! あなたのくびちょんぱの覚悟を木っ端微塵に打ち砕いてあげるわよ! あなた好みを引き寄せてるわよ!」


「何よ? 私好みって……?」


「女神樣! 突然の御声かけ申し訳けありません! 宜しいでしょうか?」


「来た来た! 来たわよ!」


 女神樣はすっくと立ち上がり、女神オーラ全開で向き直りました。


「何者でありますか? わたしの姿が目にとまるとは?」


「はっ! わたしは隣国シチリアンマピア島のボッチザクロ・ジョンレモンと申します」


「隣国シチリアンマピア島のボッチザクロ・ジョンレモンが、何用でわたくしに声をかけられたのでしょうね?」


「そちらの横たわるシチリアンマピア島の海の様な瞳の美少女に、壱目惚れ(ひとめぼ)いたしまして御座います。何か重大なる罪を犯したので御座いましょうか? 出来ればお許し願えないものかと御声をかけさせて頂きました次第に御座います」


「そうで御座いましたか? この者はこの国に、重大な反逆をした者に御座いますよ! 国を追われて当然の報いを受けなければなりませんね?」


「それならばわたくしめの国へと、追放されてはいかがで御座いましょうか? 喜んでお引き受け致しますが?」


「国家転覆をさせるような思考の持ち主のあんぽんたんで御座いますよ! なんと奇特な方で御座いましょうね! この者の意見も聞いて見ましょうね? どうなのよ! わたしの見立てだとメッチャタイプのはずよ!」


「……(メッチャイケ面! 悔しいけどメッチャタイプ何だけど! 女神恐るべし!)」


 遠くから鉄の斧を持った漢が、息を切らして戻ってきました。


「はあ! はあ! はあ! はあ! この鉄の斧! リサを遂にお披露目する時がやってきたのだ! 覚悟しろ! 今直ぐにくびちょんぱしてやるからな!」


「あらあらら……腰抜けの漢よ! 先程わたしから弐振(ふたふ)り持ち去ったではありませんか? もうこの者のくびちょんぱは、おやめなさい!」


「そのシチリアンマピア島の海様な瞳の美少女は我が国がお引き取り致しましょう!」


「誰だよ? わたしはわたしの役目を果たすのみだ!」


「チョチョンパ・モンブランよ! もう良い! もうよいのだ! リサを収めよ! わしの命令じゃ!」


「ははあぁっ! これは、チョチョシーノ国王樣、お覚醒めになられたのですか?」


「あらあらやっと役者が揃ったようね、わたくしは御暇(おいとま)頂くは……ふふふふふ……」


 と、神秘の泉くびちょんぱの女神は、不敵な笑みを浮かべながら、中途半端に掻き乱してその姿を泉の底へと消してゆきました。


「やっと待望のチョチョリーノ国に王子が誕生したのじゃ! 王子の母を正式に妃に任命し申したぞ!」


「王よ! 彼方此方での諸行無常の数々が、やっと実を結びましたか! 亡くなられた妃の遺言を、よくぞ今まで耐え守られてこられました! 頭が下がります」


「よいよい!」


「妃の遺言って何よ! クソ親父! 前妻がいたなんて初耳何だけど?」


「子宝に恵まれ無かった王妃が、遺言として王子を産んだものしか、次の王妃を迎え無いでしくださいね! わたし化けて出ますからねって、遺言だったんだよ!」


「マジ怖じゃん? 臆病もののクソ親父がビビってたんだね」


「なあお前? 王の姫だったのか……」


「えっ! 知らないで接してたのあんた? それに姫なんて扱いじゃないでしょ!」


「リリィ頑張ってるわね! 母はやり遂げましたよ! 王妃の座ゲットしたわよ! いえいピース! ほら! あなたの弟よ!」


「はあ? お腹が膨らむ病じゃ無かったの? それに早く縄ほどいてよ!」


「おお! そうだな? その姿に慣れてしまっててな気付かんかったわ! あははははは……」


「わたしの必殺グーパンチの餌食にしてあげるからね! 覚悟しときなさいよ!」


 お〜い! 身代わり作ってきたぞ〜っ!


「何だあいつ? 焦げ茶色のデッカイ人形抱えてやがるな?」


「ふ〜っ……やっと自由の身よ! アレってさ? 羊皮紙男じゃないのよ?」


「これ! これ! 家の大釜で焼いてきたぞ! これをくびちょんぱして逃がしてやれないかな? てか? なんで縄ほどかれてんだよ?」


「おい! 王と王妃! それに王子樣の御前であるぞ!」


「えっ! あっ! これは失礼いたしたした!」


「今宵は目出度い席じゃ! よいよい! そのパンの人形をリリィに渡してやってくれないかな?」


「はい? リリィって誰だよ?」


「おい! 溜口だぞ!」


「よいよい!」


「貸しなさいよ! わたしがリリィよ!」


「お前! リリィって名なのか?」


「そうよ!」


「ん! リリィの反逆の罪がその形代に移ったな! その形代に封じ込められたくびちょんぱ姫をくびちょんぱいたすのだ! 王の命令だ! これにて壱件落着(いっけんらくちゃく)収めよ!」


「ほれ! お前がやれよ! 鉄の斧リサの初陣を飾らせてやってくれ!」


「わたしが……」


「そうだ! 色んなつのる思いもあるだろう? その全てを込めて思いきり振り下ろせ!」


「わかったわよ! やればいいんでしょ!」


「リリィ! ファイト!」


「ふぅ〜っ……えいや〜〜〜〜〜あっ!」


 ドスッ!

 ボッチャ〜ン!

 ピシュピシュピシュバチャバチャパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパク……。


「お魚さんメッチャお腹空かせてたんだね! メッチャいるし!」


「くびちょんぱ姫よ! どうぞわたしの元へお出で下さいませ!」


 すっと片膝を突き、そっと優しい瞳で左手を差し出す王子。


「えっと……くびちょんぱ姫じゃなくて、リリィです……えっと……わたし……お付き合いするのとか始めてなんで……えっと……お友達から宜しくお願い致します!」


 パチパチパチパチパチパチ……。

 わたしの始めての恋の始まりです。


 その後……結局毎年大晦日に大精算くびちょんぱ姫祭りが開催されている。

 わたしは元祖くびちょんぱ姫として、来賓で参加している。

 わたしを形どったと言われるあの忌々しいくびちょんぱ姫のパンに壱年の間(いちねんのあいだ)に犯した罪を告白しながら鉄の斧リサでくびちょんぱするならわしとなりました。

 聖なるくびちょんぱの泉の魚たちは丸々と太りパクパクビシャビシャしています。

 吟遊法師は修羅場と長い話し合いの末、結局どっちも好きなのよと、ボブとマイケルの参人(さんにん)で仲良く口喧嘩しながらルームシェアすることになったそうです。

 わたしは今、シチリアンマピア島の孤城から眼下を見下ろしています。

 飛び交う鷗に囲まれ、蒼い空、白い雲、糞害を避けながらもうひとつの夢を叶えました。

 わたしの瞳と同じ碧き海の波飛沫をザッパァ〜ンとかぶりながら眺めています。

 海の碧って空がうつってるだけなんじゃないかしらと疑問に思いながら……。


「なによ! この茶番劇は? まっ! 終わり良ければ全て良しって事にしておきしょう! ではご機嫌遊ばせ! ばっははぁ〜い!」


              おしまい!

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