くびちょんぱ姫:その壱首 クソだからよ!
その壱首 クソだからよ!
これは壱人の妄想壁のある口の悪い自称美少女が夢を叶えて、柘榴のような甘酸っぱい恋を知り、手と手を合わせて幸せって言える迄の……その始まりの物語なのである。
ごくり……わたしは今……くびちょんぱされるのをを待っている。
わたしの見つめる先にはパクパクパクパクと、群がる色鮮やかな魚たちがバシャバシャしている。
手延素麺のように美しく長い良くトリートメントされたジャスミンの香りを放たつど金髪は、眼下の御池へとしなだれている。
美しく長いよくトリートメントされたど金髪に保護されなくなった項は、白日の下にさらされ、誰もが振り替えるような白雪の首をギラギラの脂ぎった太陽が容赦なくジリジリと焼いてゆく。
「もう首が焼けるでしょ! 日傘かなんかさしてよ! もっと木陰とか涼しい所とか、あるじゃないのよ! 背中でくくってる手首も痛いんだけど?」
眼下の御池に浸る美しく長いよくトリートメントされた、わたしのど金髪の先を容赦なくパクパクパクパクパクパクパクパクバシャバシャされている。
「ちょっと髪パクパクされてるんだけど? なんとかなんないの? 偶にクイッて引っ張られて痛いんだけど? 飛沫が凄いんだけど! 餌とかやってるの? やってないんでしょ? メッチャお腹空かせてるでしょ?」
「五月蝿い! 御縄されてくびちょんぱされる者は、神妙にいたすものだぞ! せめてみっともなく、命乞いでもしたらどうなんだ! お前は王の意識を無限の彼方へと追いやったのだぞ! 石橋を叩いても渡らん、あの神経質な王をどんな方法を使い襲ったのかは検討もつかんがな!」
「クソだからよ! 王である前にクソだからよ! ぶん殴って当然の野郎なのよ! 彼奴は!」
「わしがこそこそ言うのは仕方ないが、お前が王を侮辱するのは許せんぞ! わしの刃をその細き首に受けるがよいわ!」
きらりと良く研がれた鉄の斧の刃先が、キラキラキラキラと輝いていた。
「もううんざりよ! やるんならスッパリちゃっちゃとやっちゃってよ! 早く早く早くう! やっちゃってよ! あんまり焦らされるの好きじゃないんだけど!」
「ええい、五月蝿いわ! お前に言われなくとも、わしのタイミングでスパッとくびちょんぱしてやるわ! わしがどれ程多くの者を、くびちょんぱしてきたか知らんだろ?」
「あんたこそゴチャゴチャゴチャゴチャ五月蝿いわね! 焦らされるの嫌だって言ってるでしょ? 漢なら黙ってスパッとやっちゃってよ! くびちょんぱした数なんて聞いてどうすんのよ? わたしになにかプラスになる事ってあるの? あんた! くびちょんぱするしか知らない、お馬鹿さんって事よね!」
「言わせて置けば好き放題のたまりやがって! そんなに望むんなら今すぐわしのヨウコの錆としてくれるわ!」
キラリン!
今、正に鉄の斧ヨウコが、うっとりするような項の白雪のような首に振り下ろされようとしていました……。
不本意ながら、
何故ゆえか次へと続くのです……。