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第98話 爆炎の戦い


闇炎の雨ジュビア・デ・フェーゴ!!」


(ザ、ザ、ザ、ザ、ザ、ザ、ザ、ザ、ザ、ザ、ザ、ザ、ザ!!)


「ぐおお、ぐああ、ぐはああ!!??」



 私が駆けつけたときにはもう手遅れだった!ヴァボーサと名乗る、リーダー格のデーモンとゲイリー君が戦っていた。私自身も戦っていたので見ていなかったけれど、現時点では一方的に攻撃を受けている。グランツァ君と同じ技を受け、全身血だるまになりつつある。



「ふはは、貴様、なかなかタフだな! この技で細切れにならない奴は初めて見たぞ!」


(ヒュッ!!)


「このまま思い通りにさせない!」



 私は二人の間に割って入ろうとした。大鎌を振りかぶり、ヴァボーサの首を狙う。ゲイリー君に気を取られている今がチャンスだ!



(ガッ!!)


「……え!?」



 大鎌を遮る何かが目の前に飛来した。その正体は剣だった。正確には刃の部分だけ。宙に浮いているそれは、ヴァボーサが持っている剣と同じで黒い炎を纏っている。宙に浮いているののが信じられないくらい、刃には強い力が込められている。大鎌を振ろうとしてもビクともしない。



「男同士の神聖なる戦いを邪魔するんじゃないぜ? この剣がある限り、そんな野暮な真似はさせねえよ!」



 この剣? 確かによく見ると彼の持っている剣の形が変化している。戦闘前は十字型だった刃が真っ直ぐな刃になっている。もしかして、これは精神波でコントロールするタイプの物?歴史上でも、複数の刀剣を同時に操る戦士の逸話は良く出てくるけれど、これがその一種なのかもしれない。本当に存在していたなんて……。



「よそ見してんじゃねえぞ、コラァ!! 爆、竹撃!」



 私を横目で見ているヴァボーサに対して、ゲイリー君が飛びかかる。それでもヴァボーサは視線を戻そうとせず、そのままゲイリー君の攻撃を余裕の表情で受け止めた。



「よそ見? 勘違いするなよ。この武器、この技を使うからには、俺に死角なんて物は存在しないんだよ。多数の敵を同時に相手をし、単独の敵には手数で圧倒し蹂躙する! 正に無双するためにある剣術だ!」



 ここまで動きをほぼ止めていたヴァボーサは急激な動きを見せた。私やゲイリー君を弾き飛ばし、剣に再び黒炎を宿らせ、あの技での攻撃を再開した。猛然と黒い炎が私とゲイリー君を襲う! 恐ろしく速く、恐ろしく正確に斬撃が来る。精神波で操っているとは思えないほどの精度だった。時折フェイントも織り交ぜてくるので凌ぐだけで精一杯だった。本体と同時に相手をしたら、一方的に屠られてしまうと思う。



「ホラホラ、どうした小僧! このままだと首をはねちまうぞ!」



 ゲイリー君は一方的にやられているみたい。私も余裕がないから確認は出来ない。少しでも気を逸らせば、自分も首をはねられてしまうかもしれない。それほどの恐怖感を感じていた。何もかもが圧倒的な敵だった。この強さでもあくまで魔王の眷属でしかないのだから、絶望的としか言いようがない!



「コイツでフィナーレだ!」



 その時、大きな爆発が起きた! どうなっているか確認したいけれど、目の前の刃がそうさせてくれなかった。助けに入ったのに助けられなかった。くやしい。



「……爆! 激の陣!!」



 ゲイリー君の声が聞こえた。爆煙の中、ヴァボーサが吹き飛ばされ、私と交戦している刃に当たりそうになる。それでも間一髪で止まり、私への攻撃もそこで中断された。



「まだ、そんな元気がありやがったとは! とんだ曲者だな!」


「甘ぇよ! そんなモンじゃ俺は殺せねぇよ! コイツを食らいな! バーニング・イレイザー!!」



 ゲイリー君はシャイニング・イレイザーの構えをとって、技を繰り出した。フォームは似ているけど、剣が纏っている闘気が違う。炎のような闘気だった。



「この剣に炎で挑むとは大した度胸だな!」



 炎の衝撃波を前にしてもヴァボーサは平然としていた。剣を頭上に大きく振りかぶり、黒い炎を纏わせる。



「ソル・ロンペール!!」



 赤い炎と黒い炎がぶつかり、激しい明滅が周囲に広がった。そのせいで二人の姿が見えなくなる。一体何が起きているかわからないけれど、ゲイリー君の無事を祈るしかなかった。

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