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第74話 葉っぱ踏み踏み、踏ん張りズム!?


「けっかはっぴょ~~!!! ゆーしゃは結局、優勝出来ませんでしたぁ!!」



 戦いは終わった。ミヤコが残酷にも俺の傷口に塩をすり込むようなマネをする。ルール上で言えば、間違いなく、限りなく俺は高得点だった……はずなのだが。トップのハンバーグ仮面とはほぼ1000点近い差を付けられてしまった! あんなのありかよ! 全部、ゲス王のせいだぁ!!



「そして、ワンちゃん! 失格とはどういうことだ! 負け犬め! 恥を知れ!」


「しょぎゃわわーーーん!!?」



 タニシはお馴染みの奇声を発して、バタンと倒れた。犬人のタニシに負け犬とか言ってやるなよ。このままだと、犬死にしてしまうぞ! 凡ミスで失敗しただけなのにやりすぎ。



「さすが、タニシパイセンっすね! 俺っちにはマネできないッス! さすがッス!」



 ちょっと待て! お前も失格退場だったろうが! 退場どころか追放・出禁みたいになってたクセによう!



「まあまあ、飛び入りで参加したんだから、しょうがないよ。ちゃんと準備してたら、三人とも優勝とかしてたはずだから。」


「エルるんは甘いなあ。男なんて麦と同じだよ。踏みつけてやんないと強くならないから!」



 エルにお咎めを受けるも、ミヤコは言いながら倒れたタニシを踏みつけている。しかし、タニシは嬉しそうにしている! 確かに強くなってるかもしれないな。ヤツの性癖が!



「姐さん、イイコト言うッスね! 踏みしめ、ストンピングが最強ッスよ! 追い打ちのダメだしッス! これぞ踏ん張りズム、っすよ!」



 またまた話の内容が噛み合ってない。勝手に追い打ちの話にするな。何が踏ん張りズムだ!



「もういいだろ、終わったことなんだし、今日の宿を探しに行くぞ!」



 元々、コンテストに出るつもりでここにやってきたワケじゃない。クルセイダーズ本部を訪問しに来たんだ。気持ちを切り替えよう。



「フフフ。貴公には愉快なお友達がいるんだな。」



 突如、キザな雰囲気を纏わせた声が聞こえた。声のする方向に目を向けると、ハンバーグ仮面がいた。



「なんだお前、負けた俺らを冷やかしにでも来たのか?」


「別れる前に挨拶くらいしておきたいと思っていたので、ね。」



 コンテストの授賞式の後、コイツはファンの女の子たちに囲まれ、その対応に追われていたのだ。特に俺はコイツとは話したいことはなかったので、割とすぐに会場を離れた。以前から知り合いだった力士と再戦を誓い合ったぐらいで、他の出場者との交流はしなかった。



「挨拶って何だよ?」


「フフフ、近いうちにまた会うことになると伝えておきたかったのさ。とある場所でね。」


「は? 何言ってんの、お前?」



 ハンバーグ仮面と近いうちに再会? いやいや別にお前なんかに用はないから。ハンバーグ協会とかに行くわけではないからね。あくまでクルセイダーズ本部に用があるのだ。いっつも年がら年中、ハンバーグのこと考えてるわけじゃないからね。お前と違って。



「フフフ、きっと驚くこと……、」


「おおっ! アンタがハンバーグ仮面? 服のセンスはまあまあいいけど、仮面はちょっとダサくない?」



 ハンバーグ仮面が言いかけたところで、ミヤコが乱入してきた。イケメンが絡むと必ず前に出てくる。素顔が見えないとはいえ、コイツのイケメンセンサーはかなり正確なのは確かである。あちこちの町や集落に立ち寄ったときも、どんなところからでもイケメンを見つけ出していたくらいだ。



お、お嬢さん(フ、フロイライン)……、」



 声をかけられたハンバーグ仮面の様子がおかしい。体が硬直したかのように、背筋がピーンと伸び、動きも硬くなっている。妙に緊張している。



「いけない、お嬢さん(フロイライン)! そんな、は、は、はしたない格好をしていてはいけない!」


「は? 何? 別にいいじゃん! この方が格好いいでしょ!」



 ファンの女の子に囲まれても平気だったクセに急におかしい挙動になった。たしかにミヤコみたいな派手で、露出の激しい服装の子なんてほぼいないに等しい。刺激が強すぎたんだろうか?



「貴女のような女性にはエレガントな服装が似合うはず! そうに違いない!」


「ええ~? 十分エレガントじゃん?」



 ミヤコは言いながら、ずいとハンバーグ仮面に近付いて挑発する。露出している部分を見せつけるかのようだ!



「う、うぶうっ!?」



 ハンバーグ仮面はたまらず、奇声を発しながら、後ずさりしてミヤコとの間合いを離した。顔を見ると、仮面の下の隙間から赤い液体がポタポタ垂れている。加えて片手で股間を隠している。しかもちょっと前屈み。これは……。



「うわぁ! だっさ! なに後ずさりしてんの? カッコ付けてるクセにもしかして、女に免疫ないんじゃない?」


「そ、そ、そんなことはない! 決してない! 僕に限ってそのようなことはありえない!」



 言ってやるなよ。めちゃくちゃ動揺してるじゃないか。そういうお年頃なんだから、からかうのはやめてやれ。



「とにかく、勇者、また会おう! さらばだ!」


「お、おう……。」



 ハンバーグ仮面はそそくさと逃げるようにして立ち去った。不自然な格好でフラフラしながら。



「かっこわる! だっさいなあ! アイツ絶対、童○だろ!」


「もうやめとけ。聞こえてないだろうけど、それ以上はいけない!」



 ミヤコは情け容赦なかった。言っていいことと悪いことがある。男にそんなこと言うなよ。お前だって、イケメン好きなクセに男と付き合ったことないんだろ……。エルから聞いたから俺は知ってるぞ。 

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