表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/331

第63話 もしかして、速さが3倍だったりするんですか?

 

 力士と意外な場所で再会し、リベンジを誓った後、作るハンバーグの構想を練りに練った。もっと思い切ったことをやらないといけないと感じた。前回は普通に得意料理を作っただけだし。



「アニキ、どんなのを作るか決まったでヤンスか?」


「うん。まあ、大体な。」



 ある程度、構想は固まった。ちょっとしたビックリメニューを披露するつもりだ。会場や審査員が驚く光景が目に浮かぶ。これで優勝はもらった!



「それよりお前はどうなんだ、タニシ? なんか秘策でもあるんか?」


「何を隠そう、あっしにはスペシャリテという物が存在してるでヤンス!」


「何じゃそれ!?」



 スペシャリテだと? いかにもおしゃれな言い方しやがって! タニシの料理の腕は意外といい。俺ほどじゃないけど。そもそも、ノウザン・ウェルにいたときは一人暮らしで自炊していたらしい。金持ちのボンボンとはいえ、帝王学の一環でそういうこともさせられていたようだ。



「目に物見せてやるでヤンスよぉ! くっひっひ!」


「俺も負けないからな!」

.


 今回は前のライセンス試験とは違って、知り合いが二人もいる。ある程度実力もわかっている。大して周囲のレベルがわからなかった前回とは違い、思い切ったことが出来そうなのだ。全力かつ斬新なアイデアで勝利を収めてみせよう! 勇者の名にかけて!



「失礼、貴公は勇者とお見受けするが?」


「なんかヘンな人が来たでヤンス!」



 コンテストに向けて気分を高めていたところに、何者かが話しかけてきた。大抵のヤツはコンテストに集中するあまり、俺が勇者と気付いてなかった。まあ、こんな所で騒ぎになっても困るからこれぐらいが丁度いい、なんて思っていた矢先だ。



「だとしたら、なんなんだ? 勇者が料理コンテストに参加しているのが、そんなにおかしいか?」


「フフ、確かにおかしいかもしれない。だが僕の目的は茶化すためではないと言っておこう。」



 見ると男は妙な仮面を付けている。コンテストを仮装パーティーとか仮面舞踏会的な物と勘違いしてないか? しかも、服装が赤系でまとめられている上に髪も赤い。全部赤ずくめだ。何、コイツ? 怪しい。衛兵さん、こっちです!



「とある知り合いから、貴公の噂を聞いていてね。なんでも、戦いだけじゃなく、料理も得意だそうじゃないか。」


「……!? むっ、どこでその話を聞いたんだ? というかお前は何者だ?」


「情報源については話せない。僕のことはヘル・ヴァン・ブルグとでも呼んでほしい。貴公に勝つ為にやってきた。ハンバーグは僕の得意料理なんでね。負けたくないのさ!」



 ヘル・ヴァン・ブルグ? なんかうさん臭ぇ~! 明らかに偽名臭いな。仮面付けてるし。名前もハンバーグもじっただけなんじゃないの? ちょっとカッコよさげな感じにアレンジしてるけど、俺にはわかるぞ! 俺にも見える! 嘘が見えるぞ!



「どこの誰だか知らんが、その挑戦受けてやるよ! “来た技全部跳ね返す”が我が極端派の信条だからな!」


「フフ、楽しみにしているよ! ハンバーグの貴公子が、その鼻、へし折ってみせる!」


「あわわ!? 二人の間に火花が散ってるでヤンス!」



 思わぬタイミングで新たなライバルが出現した。何者なんだ? 一体誰の回しモンだ? 黒幕が気になるところだが、今は料理に集中しよう。勝ったら、そのマスク剥がしてくれる!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ