表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/331

第61話 やってきたぜ、大都会!!


「おっ? 何が始まるんです?」


「お祭り! わっしょい、ヤンス!」


「祭りッスか? だったら俺っちも張り切らざるを得ないッスよ!」



 俺たちはクルセイダーズ本部を訪れるべく、ミッド・ミル・ザブールという都市までやってきた。俺が西方にやってきて以降、訪れた都市の中では最大だ! デカい。故郷の国の都に匹敵する大きさだ! 来たぜ、大都会! ひゃっほう! しかも、お祭りみたいなのが始まる気配あり!



「お祭り? なんか違うような気がするけど……?」



 俺たち野郎どもが騒ぐのをよそに、エルは祭りとは違う気配を感じ取ったようだ。ミヤコも何か見つけたようだ。



「全く! この三バカトリオは! 早とちりし過ぎ! これを見ろっ!」



 周囲の建物に貼られている紙を発見し、俺たちを呼び寄せる。その張り紙には大きな円形状の物体が描かれている。下には皿らしき物も描いてあるので、これの正体は料理であるらしい。



「……ん? 何々、コンテスト?」


「これはハンバーグ……ハンバーグ・コンテストよ!」


「むう! ハンバーグだと!」


「知っているでヤンスか、アニキ?」


「これは……、」



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 ――――ハンバーグ。


 西方の国で広く知られている肉料理、ハンバーグ・ステーキとも呼ばれる。挽肉、刻んだタマネギ、卵、細かくしたパンなどを混合し成形して焼いた料理である。


 だが、その源流は遊牧民にあるとされている。遊牧民は遠征の際、何頭も馬を連れていき、乗用だけでなく、食料としても用いられていた。しかし、軍用の馬でもあるため、筋が多く硬くて食べにくかったという。そこで時の遊牧民の君主ヴォルグ・ハンは馬の鞍の下に細かく切った肉を入れた袋を置くことを考えた。そのまま馬に乗ることで適度に肉は潰され、食べやすくなったという。この料理の発明により、軍の士気も向上し、西方への侵攻の助力となったとも言われている。


 この遊牧民の侵攻と共に、この料理も西方へと伝わり、ヴォルグ・ハンの名と共に伝わった。故にこの料理は“ハン・ヴォルグ・ステーキ”と呼ばれることとなった。遊牧民たちは生で食していたが、西方でそれは好まれず、焼いて食べる料理に変化させ、現在に近い形になった。時代が進むごとに呼び名も若干変化し、近年では“ハンバーグ”と呼ばれるようになった。西方だけでなく東方にも“暴流愚・汗”の肉料理として伝わり、餃子の原型になったとも言われている。


 ~ サヨ・ギーネ著、『世界うまいものだらけ』より ~


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「……って、サヨちゃんが言ってた。」


「……エェ!? 情報源はサヨさん? それ本当なの? にわかには信じがたい話なんだけれど?」



 話は長くなってしまったが、これでもはしょったつもりだ! ホントはめっちゃ長いんだぞ。遊牧民の侵攻の歴史とか、ハンとハーンの違いとか眠たくなりそうな話が延々と続くんだぞ! サヨちゃんのウンチク話は果てしないんだぞ! ハンパねえよ?



「へあ!? ホントじゃないでヤンスか? 思わず信じてしまいそうだったでヤンス!」


「いや、嘘とか言ったら、サヨちゃんに何されるかわからんぞ? 俺、この手の話、何度も聞かされた。聞き飽きるぐらいな!」



 俺はなんとか耐えたが、お前なんてイチコロだぞ。絶対、序章的な所の途中で居眠りして、もれなく存在を100%オフされてしまうだろうな!



「うーむ、そんなことはどうでもいいが、コンテストだと? 腕がなるじゃないか?」


「さすが我がパーティーのお料理番長! 出るでヤンスか、アニキ?」


「ああ! やってやらあ! 優勝してやらあ!!」



 もちろん、出場するとも! 料理選手権か。冒険者ライセンスのとき以来だな! だが、初めて作る料理だ。どう攻めるかな? 俺、ワクワクすっぞ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ