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第60話 期待のルーキー


「お久しぶりです、師匠レーラァ!」


「フフ、また一段と逞しくなったな、ロッヒェン。元気で何よりだ。」



 私はエドワード・イグレス。私は久し振りにクルセイダーズ本部へとやってきた。最近は魔族の活動が活発になってきているため、出動が増えていた。任務にキリがつき、私の親友が本部へ訪れると聞いたので、急遽、戻ることになったのだ。



師匠レーラァ、聞きましたよ。またアーク・デーモンクラスの魔族を討ち取ったとか?」



 前の任務で指揮官クラスの魔族を討伐した。数々の集落や城を襲い、甚大な被害をもたらしていた個体であったため、大武会の傷が癒える間もなく、現場へと向かった。攻略には手間がかかったものの、見事、討ち取ることに成功した。つい先日まで、その残党の討伐に明け暮れていたのだ。



「ウム、手強い相手だった。奴等は軍団を形勢していたため、攻略には骨が折れたよ。」



 奴等はただ個体単位で強いだけでなく、集団戦法も得意としている上、指揮官のアーク・デーモンの指揮も巧みであった。屈強な軍団を相手にしてるも同然、ある意味では戦争に近い。



「次は僕もご一緒させて下さい。お役に立って見せます!」


「ああ、考えておこう。」



 彼の名はグランツァ・ロッヒェン・jr。黒の兵団きってのルーキーだ。齢十五にしてクルセイダーズに入団し、わずか一年で黒の兵団入りを果たした。この出世の早さは異例だった。彼はそれほどの天才なのだ。しかも戦闘スタイルは珍しく、長剣の二刀流だ。彼の剣撃は私も舌を巻くほどの凄まじさだ。今の歳でこの強さ。将来、どんな怪物になるか想像が付かない。



「今回、師匠レーラァのご友人がいらっしゃると聞き、本部へ戻って来たと耳にしましたが?」


「ウム、私の親友、勇者ロアがここへやってくる。私が案内してやろうと思っているのだ。知り合いが一人もいなければ肩身が狭くなるだろうと思ってな。」



 ロアは私を含めて、六光の騎士の何人かと親交があるが、立場的に多忙である故、私が案内役を買って出たのだ。それに元々、我らが総長が勇者に会いたいと希望していたので、私が取り持つことになったのが発端だ。



「どんな男なんですか、勇者は? 型破りな戦法を多用すると聞きました。それに師匠レーラァを負かしたのは本当ですか? 僕には信じがたい話です。」


「フフ、言葉だけでは説明しきれない、伝えきれない、そんな男だ。今まで見たことのないような戦士だ。君も会えば、この言葉の意味がわかるだろう。」


「どんな人なんだろう? 楽しみだな。会ったら、勝負してみたい。そして、勝ってみたい。」



 彼は自信家故、腕のある者や名声のある者へ挑戦するのは日常茶飯事だ。しかも、負けることはほぼなかった。彼が負けたのは総長と私ぐらいしかいない。彼が私を師匠と慕っているのは、そのためだ。以降は私が彼を指導している。私にとっては大切な弟子なのだ。



「こんなところで立ち話をいつまでもしているわけにはいかない。総長がお待ちだろう。」


「そうですね。急ぎましょう。」



 我々は互いに頷き合った後、本部の長い廊下を歩き、総長の執務室へと向かった。

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