第305話 ゴッツン・ゴーの人
「あーっ! このままでは突破されてしまうでヤンス!」
ヘイゼルちゃんの呼び出した援軍相手に、セクシー先輩の魔獣軍団、魔術師の皆さんが対抗してるけど、ピンチになってきたでヤンス! 第一にこっちの攻撃がほとんど効かないのが足を引っ張ってるでヤンス! 効く攻撃は魔獣パワーで握りつぶすぐらいしかないのでヤンス。当然、簡単にゴーレムさんは捕まってくれないので、安定しないのでヤンス。
「歯がゆいわね! 魔獣なんてけだものごときに苦戦するなんて!」
「それはこっちのセリフですわ! あたくし達の精鋭達がゴーレムに苦戦するなんて思いませんでしたのに!」
ここは膠着状態でも、他の場所でエピよん君が戦ってくれてるから、事態は好転してるかもしれないでヤンス。ミャーコちゃんもそれについていったし、くちゃいオジサンもいつの間にかいなくなってるでヤンス。
「もうやめにしませんか? あなた方の軍勢は半数以上壊滅しています。タルカス殿も勇者殿に無力化された模様です。」
突然、ヘンな石像が出てきたでヤンス! アレはドロ棒先生とか言う人だったでヤンス? エラい賢者とかなんとかだったはずでヤンス。
「なに? この得体の知れない物体は? こんな奇策で私達を止めようったって無駄よ! おじさまが負けるなんてデタラメ言わないで!」
知らない人からしたら、意味不明な物体にしか見えないでヤンス。この人が止めに入っても効果がなさそうでヤンス。
「……ヘイゼルよ。」
「お、おじさま……?」
義手がしゃべり出したでヤンス。タルカスとかいうゴーレム大将の人? 本体はアニキ達と戦ってるはずでヤンス? 何が起きたんでヤンしょ?
「今、私の意識がお前の義手に移ったということは……私の本体は滅んだという証となる。万が一を考え事前に仕込んでいたのだ。私自身が滅んでもお前をサポートできるようにな。」
「おじさま、冗談はよして下さい! おじさまが負けるはずがありません!」
「だが、現に敗北した。そして学長に本体を破壊されたのだ。私達にはもう勝ち目は無い。ここは一旦引くのだ!」
「イヤです!」
本体が壊された? しかもガクチョーさんにやられた? アニキはやっぱり殺すなんてことはしなかったんでヤンスね。それをガクチョー散が台無しにしちゃったでヤンしょ。あの人、ココロがなさそうでヤンしたからね。
「せめて、一矢報いてから……!」
その時、ヘイゼルちゃんとあっしは目が合ってしまったでヤンス! 普通なら恋の予感!で間違いないでヤンスが、今の場合はもれなく死のルーレットに大当たりしてしまったに違いないでヤンしゅ! これは絶体絶命でヤンしゅう!
「そこの犬畜生だけでも血祭りに上げてやるわ!」
速攻で火の玉が飛んできたでヤンス! これはホットドッグになってもれなく死ぬパターンでヤンス! せめて、こうなる前に彼女が欲しかったでヤ……、
「ラピッド・ゲイル!!」
(バシュアッ!!!)
火の玉が直前で、地面を走る衝撃波に消されたでヤンス! だ、誰が? ん? 向こうで微妙に見覚えがある人が魔術で助けてくれたみたいでヤンス!
「きいっ! 誰よ? 邪魔なんかしてくれちゃって!!」
「ちょっと通りがかったら、知人が窮地に陥っているところをたまたま目撃してしまったもので。つい、手が出てしまいました。」
たまたま? 知人? あっしのヤッパリ知ってる人でヤンスか? どこのどなたでヤンしょ? 正義のヒーロー、チュルチュルマン……? いや、アレは夢で見た話だったでヤンス……。
「もういい! アンタが代わりに死になさい!」
「どうか、お手柔らかに……。」
ヘイゼルちゃんの標的が謎お兄さんに代わり、火の玉で攻撃したでヤンス! しっかし、お兄さんはさっきの風魔術で相殺したでヤンス。さらにお兄さんは魔術の溜めを作ってるでヤンス!
「……ダブル・ラピッドゲイル!」
(バヒュン!!!)
「きゃあああっ!!!」
ヘイゼルちゃんは衝撃波に吹き飛ばされ、途中で姿が消えてしまったでヤンス! 転移魔術で逃げた? タルカスが逃がした? それはともかく、他のゴーレムも姿が消えたでヤンス!
「逃げられてしまったようです。まあ、その方がよろしいでしょう。」
お兄さんはホッと一息ついて懐からゴッツン・ゴーの瓶を取り出して飲んだでヤンス。カッコイイ! え? ゴッツン・ゴー? お、思い出したでヤンス!
「お兄さん、うちの社長を取材に来た人でヤンスね? 助かったでヤンス! またしてもありがとうでヤンス!」
「気付いて頂けましたか? お久しぶりです。アラム・スミスです。」
ゴッツン・ゴーの人でヤンス! 差し入れでゴッツン、一ダースをもらった恩は忘れてないでヤンしゅ! あっしにとっては神様みたいな人でヤンス!
「あなたは……?」
「ん? あなたはトレ坊先生ですね。お会いできて光栄です。」
この時、先生とゴーの人の間で妙な雰囲気が発生したでヤンス。なにか説明できない、とてつもない気配が二人の間を飛び交ってるでヤンス!
「あ、いえ。タニシ君のお知り合いでしたか。失礼、何でもありません。お気になさらずに。」
「いえいえ、とんでもございません。私の方こそ失礼致しました。」
何か穏便に解決したみたいでヤンスけど、ただならぬ気配だったのは間違いないでヤンス。ちょっと怖かった。お、おそろしっこ……。




