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第283話 のれんに腕押し


 ゴーレム共との戦いが本格的に始まってからしばらく経つ。相棒とタルカスは相変わらず一騎打ちを続けている。ほぼ互角の戦いなのは、たまにチラ見をするだけでも十分わかる。いつになったら二人の決着が付くのか予測が出来ない。



「全く不思議なもんだぜ。ほんとに手応えが感じられねぇ。」



 その一方で俺達も攻略の糸口が見えない戦いを強いられていた。相手には剣も魔術も通用しないからだ。俺が対峙しているのは弓兵タイプだが、他のも同じ防御法を使ってくるようだ。



「手応えがないというか、空振りしてるみたいに逸らされている感じがします。」



 エレオノーラが大鎌を旋回しながら、俺の言葉に反応してきた。確かにその表現の方が正しいかもしれんな。



「向こうにいるデカ物以外は盾とかの装備を持っていない。あの能力で守られているからかもな。」



 攻撃が当たる瞬間に黒いモヤが出て、攻撃が逸れる。魔術なら相手をすり抜けて反対側に抜けていくという挙動をする。



「あの盾ですら、防御のために付いている訳ではなさそうですよ。あれを武器に使ってる……。」



 向こうの方でロッヒェンJrとヴォルフが重装甲タイプのデカ物を相手にしている。デカ物は盾を防具として使わずに二人を押し返すような使い方をしている。



「ヤツらはこの防御法ありきの戦い方をしている。防御しようという気すらない。」



 ある意味捨て身の攻撃の様に見える。普通なら反撃を食うタイミングでも仕掛けてくる。この防御がなければ確実に当たっているはず。相手の回避や立ち回りが優れているという訳ではないのだ。



「だったら、色々試せるだけ試して有効な手段を探るまでだ!」



 剣と魔術の二系統で斬撃タイプは試した。それが効かないなら、刺し貫く攻撃を。それも効かないなら、叩きつける攻撃を、といったように試す。もちろん当て方、方向も工夫するつもりだ。やれるだけのことを試してやる。



「エアリアル・スティンガー!!」


(シュバッ!)



 風を細く絞り、相手を刺し貫く魔術を撃つ。これも斬撃同様、黒いモヤが遮り、その後は後方に突き抜けていった。



「プレッシャー・ブラスト!!」


(ズゥ…ドォォォオン!!!!!)



 上から叩きつける様に空気の塊をぶつける。これも当たり前のように難なくすり抜け、地面だけが陥没するに留まった。



「周囲を巻き込むような攻撃でもすり抜けるのか!」



 あらゆる攻撃を物ともせずにこちらへ攻撃を淡々と行っている。相手は多種多様な弓を使って攻撃してくるが、当然俺は矢逸らしの魔術で防御している。コレは風の魔術の特権とも言える。当たる直前に逸らせる。相手とは違い、矢はあさっての方向に飛んで行くか、地面に落ちるか、だ。



「よくもまあ、矢が尽きずに攻撃が続くもんだ!」



 弓、クロスボウを使うからには予備の矢が必要なはずだ。ヤツが矢を放ったと思えば、すでに次の矢を引き絞っているのだ。しかも、ちゃんと実体のある矢だ。魔術で作った矢なら外れれば消えるものだが、外れても消えないから実体だ。



「しかも、こっちの逸らすパターンを読んでやがるのか? 撃つ角度を計算して対応してるとしか思えねえ!」



 徐々にだが、逸らし損ねて掠りそうになってきている。同時に何本も撃てるから出来る芸当だ。囮の矢と本命の矢を巧みに使い分けている。だからこそ体のあちこちにクロスボウが付いているのだろう。



「あの矢は転移魔術でも使って出現でもさせてるのか? ……ん? 転移魔術……?」



 矢の補充に転移魔術を使っているとしたら、可能かもしれない。そう考えると、別の意味で何か引っかかる。もし、転移魔術が使えるなら、他の使い方もしているんじゃないのか?



「ウインド・カッター・クロス!!」



 風の刃を左右の手で放ちバツの字にクロスさせる。コレも当たり前のようにすり抜けてしまう。だが、すり抜けた後の挙動がおかしかった。



「おいおい、どういうことだ? バツの字が解除されて平行に飛んでいくって、おかしくないか?」



 妙な挙動だ。ただすり抜けたと考えるには不自然で不可思議な現象に思える。矢の補充方法、交差した風の刃の挙動……。コイツらの防御法がそれと因果関係があるとすれば……。



「いや、だとしても、それがそうだったとして、アイツにどうやって攻撃を当てるんだ……?」



 トリックは解けそうだが、それを破る方法を考えないといけない。そうなる前にこっちがやられないようにしないといけない。あちらも最適解を導き始めているかもしれないからだ……。

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