第272話 仮面は社会的に死にました……。
「あーっ!? カルメンさんの首が取れてるでヤンス!」
「タニシも俺と同じ勘違いしとる……。」
「馬鹿と馬鹿ってのは、お互い似てくるモンなんだな。俺も気を付けねえと馬鹿が移っちまう。」
「何か言った?」
「いいや、何も。ちょっと強風が吹いてそんな風に聞こえただけだろ?」
俺とファルが金と銀の正体とかの話をしていたら、タニシや侍がやってきた。同じく銀仮面の首その物と勘違いしてしまう始末。もうほとんどおれとタニシは思考の傾向まで似通ってきてしまっているのか? じゃあ、俺もエロ犬になるのは不可避ってことか……。
「ぬ? あの銀仮面、カルメンという名前なのか? 憶えておこう。」
「違う違う! アイツの名前はシルヴァン。中身の名前はリン・アヴェリア。カルメンではないから。」
侍は名前の件で勘違いする始末。タニシ・タガメコンビを分身したマブダチと勘違いしたことといい、割と戦闘以外では天然ぶりが露呈しているな。戦いのことばっか考えて、100年もダンジョンに缶詰にされてたんだから、しゃあないか?
「ファルちゃんさん、その仮面お借りしてもいいでヤンスか?」
「なんだその呼び方は普通に呼べ! 仮面はすぐに返せよ。解析する必要があるからな。」
「やったー! カルメンさんのお面をゲットしたでヤンス!」
何をそんなに喜んでいるんだ? まるで鬼の首をなんとやら、とか言うのみたいになってる。いや、待てよ? 中身がリン先輩だった事を知っているのなら……。
「……クンカ、クンカ! クンカ、クンカ! まだ、ほんのりといい匂いが残ってるでヤンス! カルメンちゃんの匂い! カルメンちゃん風味!」
「あーっ!? タニシばっかりズルいでガンス! アッシも嗅ぎたい! 余すとこなく嘗め回したい! こんなのがあれば匂い嗅ぎながら、何杯でもご飯が食べれるに決まってるでガンスぅ!!」
ヤッパリ。お約束の“紳士の心”ムーブが始まった! そして、それを上回るHENTAI発言をかます、その叔父。その調子じゃ、メダカお爺ちゃんが草葉の陰で泣いてしまうぞ! ……そのお爺ちゃんもHENTAIな可能性を否定出来ないが……。
「オジサンには渡したくないでヤンス! それっ!」
(がぽっ!!)
「あーっ! 暴挙だ! 暴挙に出たでガンス! 被った! 歌舞伎者だーっ!!」
あーあ。とうとう被っちゃった! タニシはオジサンに手渡したくないばかりに暴挙に出やがった。しかし、人間とコボルトでは頭の形が違う。よく被れたな? 無理矢理被るとぬけなくなるんじゃあないか?
「わっふっふ! かっこいいでヤンス! あれ? 声が変わったでヤンス?」
まさかの音声チェンジ機能! あの兜に付いていた機能だったとは! しかし、声は変わっても中身はエロ犬。メチャクチャ違和感がある。格好いい声でアホ発言だからな。
「くぉら! 何をしてるか、このエロ犬ども!」
おーっと! ここでミヤコが乱入してきた! ここでエロ犬たちの変態行動にも歯止めがかかるのか? というか周りが炊き出しに集まっている人だかりの中で、よく見つけられたな? ミヤコの地獄耳っぷりは恐ろしいものだ。
「あーっ! ミャ、ミャーコちゃん、これには深いワケが……。被って敵の考え方を探ろうとして、試しに被ったみたんでヤンスぅ!」
その格好いい声で言うな! おかしいから! 本気で笑えるから、やめてあげて止めて!
「ほう? では被ってわかったことを申してみよ。400字以内で簡潔に。」
「ハイ、ご報告します! 第一に格好良かったです。声が! 第二にすごくいい香りがします! 第三に中の人にお近づきになりたくなりました!」
やめろ! その声で面白いこと言うな! ますますキャラ崩壊するから! すごい風評被害出るから! リン先輩がその仮面被れなくなるから!
「ほう、ほう? それで? 他には?」
「だ、第四にずっと被っていたいと思いました! 第五にこのまま中身をペロペロしたくなってきました。ペロペロ、てへペロ!」
オイーっ! 言いながら、すでにペロペロしてるじゃねえか! 最早、テロだよもう! もう本人にお返し出来なくなっちゃったじゃないか! こんなん、ほぼレ○プじゃないか! 犯罪だよ!
「第六に……、」
「……? ミャーコちゃんも何かわかったでヤンスか? ペロペロ。」
「再び、シチュー引き回しの刑に処す! その前におまけの鉄拳制裁だ!」
(ドゴォォォン!!!)
「わぎゃるぺぽおっ!!!!」
ミヤコの鉄拳が見事にヒットしてタニシは彼方へ吹き飛んでいった。完全に逝ったな。もちろんタニシではなく、銀仮面の方が。情けないやられかたした某レイン坊さんよりも酷い結果に……。どうしてこうなった……。




