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第223話 君たちはどう生き残るか?


 俺たちは説明の後、支給品を受け取り、実習の舞台である島へと向かった。向かったと言っても、移動は一瞬で終わった。何故なら移動方法は転移魔法だったからだ。



「流刑地までの道中、景色とかを楽しみたかったのになあ。これじゃ、情緒もへったくれもねえな?」


「バカ言え! 何が流刑地だ。あくまで実習だぞ、これは。」


「え? 処刑じゃない? じゃあ殺人実習、とでも言いたいの?」


「何をふざけたことを!」



 到着と同時に俺とトニヤはつまらない口論をした。それとなく、ヤツへの牽制をしてみた。何を決意してココへやってきたのか? その真意を探りたかった。



「まあ、待て。早速、お出迎えが来たようだぜ? 続きは熱烈な歓迎に感謝してからにしようか?」



 転送された先は砂浜だった。無人島とは言っても、割と大きめであるらしく、広大な砂浜は海岸線を見渡す限りどこまでも続いている様だ。



「チッ! 言われなくたってわかってるよ!」 島の内陸部は森林が広がっているようで、何があるかは見ただけではわからない。でも、無数の気配が満ちている。その気配全ては俺たち来訪者に向けられているのだ。



(グルアアアアッ!!!)



 5、6匹、魔獣が飛び出てきた! しかも、全部見覚えがある魔獣だ。黒い獅子のような体に牛のような大きな二本の角! ベヒーモスだ!



「オイオイ、ベヒーモスじゃねえか!」


「散々食材にしてきたバチが当たったんじゃないか? 因果応報だな?」


「いや、喰ったのは一匹だけだから! それに殺害の実行犯はそこにいるゴリラだからな!」


「いやぁ、俺ッチ、なつかれてるみたいッスわぁ!」



 とにもかくにも、目の前の敵を倒さないと生き残れない。ひたすら倒す! とはいえ、武術も剣もない今では俺に出来ることは少ない。ハッキリ言って魔獣共を倒す手段がないのだ!



「どうぉりゃああっ!!!」



 魔獣に負けない勢いで奇声を張り上げながら飛びかかっていく。でも、攻撃のためではない。いわば囮役を買って出る事にしたのだ。これは事前に打ち合わせ済みで、俺が適度にちょっかいを出し魔獣達のヘイトを引きつけ、その隙に他の連中が仕留める作戦になっているのだ。主戦力に魔術師が多いからそうするのが手っ取り早い。



「ライトニング・ウイップ!」


「アイスロック・ジャベリン!」


「爆発、爆発!!! とにかく爆発ぅ!!!」



 ゴリラ? ああ、アイツは作戦の中には入っていない。指示しても無視して、いっつも我が道を突き進むんだもん。無理に従わせるよりは好き勝手暴れさせとくのが最適解だと思う。



「うぉうわぁー! ぼりゅわぁー! しょぎゃばぼーん!!」



 タニシは恐怖のあまり意味不明な奇声を連発していた。タニシはもちろん戦力外。何も出来ないし、手を出したらちょっと摘ままれる感じで一口で食べられてしまうだろう。仕方ないので今回はマスコットと化してもらうことにした。戦闘以外の調理担当とかね。



「爆! 撃殺!!」


「ちょ、おま……!?」


(ズドォォォォォォォン!!!!!!)



 ゲイリーのヤツが調子こいて、みんなを巻き込みかねない大爆発を発生させた。辺り一帯が砂なので、それすら巻き込み視界が一気に悪くなった。これじゃ何が起きているかわからない!



「くそっ!? 目に砂が!? ぺっ、ぺっ! 口にも入った!?」



 最悪だ。色々と不利益を被っている。これで倒せてなかったら承知しないからな! 目と口に入った砂を処理してる間に、次第にだんだんと視界がハッキリしてきた。



「や、やったか?」



 お約束のセリフを口にしてみる。だいたいはこれが何も効いていないというオチが多いのが、冒険者界隈では定説だ。



「な、なんじゃこりゃあぁ!?」



 目の前には、ミンチやら肉塊やら内蔵が分けて山になっていた。どうしたらこんなんなるんや……?



「肉が仕分けられてるぅ!?」


「どういう原理だよ、これ……?」


「爆発しただけなのに……。こんな怪現象が起きるなんて……。」


「新技、肉の爆発分けッスわ! あとは煮るなり焼くなり、好きにして下せぇ!!」



 いや、こんなに肉は食えんから。今後、魔獣は襲ってくるだろうから、その度にこの肉の山を作るつもりか? まあいいや。あとでジム君に頼んで冷凍保存しといてもらおう。

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