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第204話 次、行ってみよう!!


「ううっぷ! これでしばらくは何も食べなくて済むな!」



 ありえないくらいビッグサイズなメニューをなんとか、残しても文句言われない程度まで飲食した。まずはトースト。これはチーズたっぷりと銘打っているだけあって、ホントにたっぷりではあったが、ぱっと見、チーズの塊だった。チーズに埋もれて本体が見えない、なんて事態になっていたのだ!



「げふぅー! 飲み過ぎてお腹タプタプになっちまったでヤンスぅ!」


「オイオイ、ボッタクリ・サイズを自ら頼んでおいてそれはないぜ、タニシさんよ。」


「げふぅ! 飲み物はたっぷり飲むのが楽しいんでヤンス! まさにナイトメアンに悪夢な気分になるのがたまらんでヤンス!」



 悪夢とか言ってるが、眠気覚まし効果のあるコーヒーを飲んで、それを語るのはどうなのか? しかもナイトメアン・コーヒーって普通よりも濃いめじゃなかったか? ますます夢から遠のく行為をするのはどうなんだよ! ないわぁー!



「いやぁ! 腹一杯ッスわぁ! 満足ッスわぁ! まだなんとか、別腹で何かいけそうッスわぁ!!」



 ゲイリーは腹一杯とか言ってる割に別腹いけるとか言ってやがる! そして、ことあるごとに俺の方にチラッ、チラッと目線を送ってくる。さては貴様……俺の残りを狙っているなッ! コイツ自体、パーティーとかの大人数で取り分けるサイズの謎ケーキを頼んでやがったクセに! まだ食べると言うのかッ! 三種か? 俺が頼んだ三種とも欲しいのか? このイヤしんぼめ!



「さあ、そろそろ行こうぜ? 十分休んだだろ?」


「休めてねえよ! むしろ腹一杯で休まないといけない羽目になったわ!」


「何だよ? 情けねえな。」


「お前がダメダ・コーヒーの罠にはめるからだろ! 初心者だからってからかいやがって!」



 トニヤはニヤニヤしながら、俺を非難する。俺を非難しているが、元凶はコイツ自身だ。ついでに言うとダメおじもだが。



「そういえば、さっきからオジサンの姿が見えないでヤンス。どこ行ったヤンス?」


「いつの間にかいなくなってたな?」



 頼んだメニューに気を取られて放置していたら、どこかへ雲隠れしてしまったようだ。オジサンの狙いは例のエロ人形だけのはずだから、他にこのダンジョンに来る目的はないはず。とはいえ本当に周囲に気配はない。あの人に気配を消す技術があるとも思えない。何処へ?



「ほうわぁーーーっ!? 流されるでぎゃンスぅ!?」



 通路の奥から、オジサンの悲鳴らしき声がきこえてきた。ついでに水が流れるような音も聞こえてくる。この通路には水に関する物は何もなかったと思うが? 何があったのか? 



(ザザザザーーーーッ!!!)


「おうわぁーーっ!? ダメでガンス!? このままでは海の藻屑になるグワンスぅ!」



 大量の水と共にオジサンが流されてきた! おまけにワケのわからないことまで口走っている。どんどん水の量が増えて、俺らの所まで迫ってきた。



「と、とりあえず、逃げるぞ!」



 みんな急いで立ち上がり、全力ダッシュで逃げる! しかし、腹一杯だから苦しい! チクショウ! なんでこんな時にダンジョンで洪水に巻き込まれるんだ? 



「オイ、トニヤ! コレも“異変”のうちか?」


「まあ、そうだろうな。突然起こる洪水、コレも七不思議、№6だな!」


「なんかこの学院の七不思議、このダンジョンに偏ってないか? おかしいぞ!」


「知るかよ!」



 押し寄せてくる水流から逃げながら、トニヤに疑問を投げかけた。これも七不思議であったらしい。どんな七不思議だよ。ダンジョンで水に流されるってどういう事だよ。とはいえ、以前は砂に流された事を思い出した。狭い通路が続くから、とりあえず侵入者を流しとけ、的な発想なのだろう。ムカつくなぁ。



「おお? とりあえず収まったみたいだぞ!」



 水流は収まった。流されることはなかったが足首の辺りまで濡れてしまった。これは切り抜けられたが、大分通路を逆走してしまった! 嫌な予感がする……。



「あ! 表示が“0”になっちまってるぅ!」



 てことは最初からやり直し? 嘘だろ、オイ! あんなんありか? 卑怯すぎるだろ! そのまま進むには溺れてでも留まれと言うんかい!



「おじさん! 一体、何をしたんでヤンしゅかぁ!」



 タニシがオジサンにキレている。タニシは水の中に入るのが嫌いなので、キレているんだろう。多分、元凶はオジサンだろう。俺らの攻略は振り出しに戻ったし、あれは“異変”とは関係なさそうだしな。



「いやぁ、アッシも驚いたでガンス。トイレで用を足して流そうとしたら、ウ○チが詰まって水が溢れてしまったでガンス! てへっ!!」



 ちょ! なんでダンジョン内にトイレがあるんだよ! しかも水洗式か! 無駄に豪華すぎるだろ! 誰が何のために設置した? 今まで通過したときは無かったのに!



「『てへっ』じゃねーよ!!」



 俺とタニシはブチ切れた! オジサンのヘンなちょっかいのせいで台無しにされたんだから、キレるしかない! なんなんだろ? こんなんでダンジョンは突破できるんだろうか?


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