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第188話 トラブルって、何よ?


「お帰り! 無事に帰って来れたね!」


「う、うん。ありがとう。」



 実習の期間が終了し、エルが帰ってきた。俺とトレ坊先生に話をしたいということで、いつも通り、仮想空間での密会だ。



「上級クラスは二人で挑むということで大変だったのではありませんか?」


「ええ。色々、トラブルもありました。」



 エルは問題なくこなして来るだろうとは思っていた。俺らはかつて非常に厄介なダンジョンに挑んだことがあるから実習くらい大した問題じゃない。そのはずが……エルの表情が少し元気がないようにも見える。疲れてるんだろうか?



「色々、教えて欲しいな。俺も参考にしたいし。」


「あまり参考にならないかも? 少なくとも、ただの実習とは思わない方がいいよ。結構、本格的なトラップもあったから。」


「ノウザンウェルにあった教習用ほど易しくはないってこと?」


「そう。普通に本格的なダンジョンよ。」



 本格的なダンジョンとはな。学院の実習は行方不明事件とも関わりがあるのかもしれない。実習中に事故で行方不明になったとすれば、誰も不審には思わないだろうからな。



「参考にならない、と言ったのはどうしてです? 何かあったのですか? トラブルもあったとのことですが……?」



 トレ坊先生はエルの言動で気になったところを質問した。俺も同じく気になっていた。エルの言動もそうだが、表情も浮かない感じがしたから尚更だ。



「ええ……まあ。順を追って説明していきます。まず、一つ目は従姉妹に襲撃されました。」


「ご身内に襲撃されたと? 以前の話にあった、ご実家でのトラブルが原因の件ですね?」


「ええ、そうです。」



 一応、トレ坊先生もあの話は知っている。エル自身がトレ坊先生に相談していたので、大方の事情は知っているし、先生はアドバイスもしていた。



「ええ!? 大事じゃないか! あの従姉妹、学院にいたんだ?」


「私たちの目からは逃れていたみたいだけど、現在は二年生ということらしいわ。こちらが学院にいることは察知していて、襲撃のために敢えてそうしていたらしいの。」


「むむ、用意周到だな!」



 あの従姉妹、思ったより執念深いな。逆恨みなのに、ここまでやるとは迷惑極まりない。とはいえ、説得も出来ないだろうし、エルの性格からして殺したりって発想にはならないだろうな。この前の別れ際に何か危害を加えるようなら許さない、と宣言はしていた。あの時は気が立っていただろうから、思わず言ってしまったと、俺は解釈している。



「事前にトラップも多く仕掛けていたみたい。ある意味、過剰に設置されていたから、おかしいとは思っていたの。それがうまくいかなかったから、痺れを切らして実際に襲撃をしてきたの。」



 実習のタイミングで襲ってくるとは、なんて大胆不敵なんだ。学院の行事にそんなことをしたら問題になりそうなのに。もしかして、名家の権力を使ってもみ消すつもりもあったのかもしれない。



「六人で襲撃してきたから多勢に無勢だった。当然危機的な状況に陥ったけど、ローラに助けられる形で撃退には成功したの。ここからが二つ目のトラブル。」



 ここからが? たった二人で六人を相手にしたというのも驚きだが、口ぶりからすると、ローレッタが活躍したからという風にも聞こえる。果たして、何があったのか?



「彼女は強かった。私が言うのもなんだけど、常人離れしていた。ただの魔術師ではなかったの。彼女の正体は……ゴーレムだったのよ!」


「何ぃ!?」


「本当なのですか?」



 驚くべき真相だった。妹の件だけでも十分衝撃的だが、あの子がゴーレムだったとは! 下手をすれば、あの子と敵対する可能性だってある。とはいえ、普通にエルとダンジョンから生還したところを見ると、そうはならなかった……? 全く話の先が見えてこない。予測が出来ない展開になってきたぞ!

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