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第183話 モンスターハウスだ!


「霽月八閃!!」


(ザンッ!!)



 襲ってきた魔神の石像…ガーゴイル、最後の一体を斬り伏せる。教習用のダンジョンなだけあって、魔法生物が多い。道中の装飾などに偽装して設置されている傾向が強い。



「お見事です。お姉様。」


「いいえ。あなたの方こそ。」



 私たちはそれぞれ、前衛と後衛に別れて戦った。私が前衛でローラは後衛。彼女には魔術での援護をお願いしていた。彼女の得意な魔術は木樹属性。地面からツタを生やして敵の動きを制限したり、攻撃を防ぐ防壁を作ってもらったりした。



「私は元々生えていた植物を有効利用しただけです。ここへ来る前は自身の魔術を生かせないかもしれないと思っていましたから。」


「それでもあなたの魔力がなければ、わずかな植物の力を活用できないと思うよ。」



 ダンジョンは人工の構造物だけれど、地下にある。石材を敷き詰めたつもりでも、割と雑草等の植物が隙間に生えていたりする。ここはツタが生えている所が多いので、彼女の魔術を有効に使える環境にあった。



「少し一休みしてから先に進みましょう。」


「そうですね。かなりの数を相手にしましたし、この先も同じ様な罠が待ち構えているかもしれません。」



 扉の先に現れた、広大な広間。入った後に扉は消失し、退路を断たれた後で、広間に無数に存在したガーゴイルが襲ってきた。このフロアに入ってから、分かれ道はなく突き当たった所にこの広間への扉が存在していた。これは罠を回避すらさせないという、強い意志が感じられた。



「ここまで、分かれ道がなかったものね。しかも退路を断たれてるし。このフロアは魔物と戦う機会を作っているのかも。」


「やはり、お姉様もそう思われましたか。」



 事前の対策以外の解決方法を取らせようという意図があるかもしれない。自分たちは対処出来たとはいっても、対応は困難なのは間違いない。同じ様な罠でリタイアしたペアもいるかもしれない。



(ボワンッ!!)



 その時突然、近くの燭台の炎が大きく燃え上がった。他に何らかの罠が発動したのかもしれない。



「随分と調子がいいじゃない? エレオノーラ!」


「……!?」



 私の名前を呼ぶこの声は……聞き覚えがある。声がした方を向くと、ヘイゼルがいた! 何故、彼女がこの場所に?



「あなたもこの学院にいたのね。姿を見かけなかったからおかしいと思っていたのよ。」


「学院にいるのは当然じゃない。舐めないでほしいものね。あなたとは出来が違うのよ!」



 ヘイゼルは自信に満ちあふれ、私を見下す様な態度を取っている。この子は変わっていない。何があっても、自分の態度は曲げないつもりらしい。



「姿を見せなかったのはあなたを油断させるため。あなたよりも一学年上なのもあるけれどね。そして、今日のこの計画を実行に移すため。」


「計画……?」


「お忘れかしら? そのうち、あなたを絶対に殺すと言ったはずよね? その機会は以外と早くやってきたという事よ!」



 私を殺すとは言っていた。でも、あくまであの時、感情的になっていたから冷静になれずにそういう事を言ったと思っていた。自分の中ではどこかで、肉親を殺害するはずないと。その考えは甘かったことを、たった今、思い知らされた。



「あなたはヘイゼル・グランデ様ですね? お姉様の肉親だというのに、殺害宣言するとは聞き捨てなりませんね。」


「あら、いつの間に使用人を持てる身分になったのかしら? まあいいわ。それよりも使用人如きが私の意向に意見するなんて百年早い! 気安く口を開くな!」


「ローラは私の大切な友達! それに私たちと同じ学院の学生なのよ!」


「その考えが気に食わないのよ! やっぱりあなた見たいな奴は殺害するに限るわ!」


「そんなことはさせません!」



 ローラはヘイゼルに対してツタを操り体を捕らえようとした。でも到達する前に数人の影が現れ、ツタを火炎魔術で焼き払った。人影はみんな女の子でヘイゼルと同じ紋章の入ったローブを着ていた。あれは二年生の紋章だったはず。



「念には念を入れるために、こちらは五人でやってきたのよ。ズタズタに嬲り殺すためにね!」



 実習中だというのに大変なトラブルに見舞われてしまった。私だけなら問題ないけれど、関係のないローラまで巻き込んでしまった。しかも多勢に無勢。ここからどうやって打開しよう?

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