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第175話 三勢力を相手に切り込んでいく!!


「でもなんで、ヤツらにバレたの?」


「ある日、警告が来たの。手を引かないと命の保証はないと脅された。最初から

あたしを監視していて、泳がせていたとも言ってた。その日以来、調べるのはやめた。もちろん、学院側の記録を調べるのもね。」



 最初から感知していたが、警告するだけで命を取らなかった。人間全てに恨みを抱いているわけではないのかもしれない。特定の勢力、人間にターゲットを絞っているのかも。



「手を引いた後の時期に入学してきた彼と出会った。」


「トニヤと? 何が切っ掛け?」


「俺がナンパしたんだよ。」


「ナンパぁ!?」


「いや、俺さ、なんか抱えてる人をほっとけないんだよ。」


「ウン。なんか、彼は勘がいいというか……。」



 なんだよノロケやがって! 間の悪い質問をしてしまった。こういう話は後から聞くべきだったな。ここは気にせず、話を続けよう。



「そのしばらく後に決闘の事件が起きたんだな?」


「ええ、その通り。ジェローム先生に目を付けられてしまって。彼の周囲を調べていたのは確かだったから、そこから足は付いたんだと思う。」


「七光りの人もゴーレム使ってるのでは?」


「だから、その誤解を呼ぶような呼び方は止めろ。」



 俺の中ではそういう名前になっている。長ったらしい名前なんか覚えてられるか! 魔術師はややこしい名前の奴が多いから嫌いだ。



「知らず知らずのうちにゴーレム側に焚き付けられたんでしょうね。彼もゴーレムを多用しているし、恨まれてるでしょうから、決闘に巻き込んで始末するつもりだったのかもしれない。」


「そこで彼を巻き込んでしまった。その当時は事情を話してなかったから。」


「そりゃ、惚れた女を守るに決まってるだろ!」


「でも、彼らにとっても、それは計算外の出来事だったのかもしれない。アーチボルト家の人間が絡んできたんだから、下手に死人を出すわけにもいかなかったんでしょうね。」


「お前こそ七光りに助けられたのかもな?」


「それぐらい自覚してらぁ!」



 まあそれが結果的に良い方向に進んだのだろう。トニヤは格下げで、リン先輩は退学追放になった。本来の策では事故死にさせられていたのかもしれない。



「あたしが浄化委員会に快く思われていないのは間違いない。孤児院出身だし、出自もわからないから。ゴーレム達はそのことを熟知していたから、それを利用してあたしの存在を抹消しようとした。でも失敗に終わったから、命を狙われているとは思う。」



 二つの勢力から敵視されているのか。狙われているからといって、ゴーレムの陰謀を無視するわけにもいかないんだろう。恩師の仇討ちもしたんだろうな、先輩は。



「トニヤにも話したけど、俺が手を貸すよ。怪しい陰謀を企てる連中がいるっていうのなら、勇者は黙って見ているわけにもいかないし。」


「ありがとう! 勇者に協力してもらえるなんて、夢にも思っていなかったわ!」


「まあ、でも、今は勇者の額冠がないから、力が半減してる。しかも、武術は禁止されてる。」


「何があったんだ? 事情くらい話せよ。」



 俺は事情を話した。学院に入るための交換条件だったと。勇者を名乗ることも禁止されている件も。事情を知ってるのは、俺の仲間以外に学長、ラヴァンだけであるとも話した。



「それと、現在は勇者の剣まで修理の名目で没収されている。俺本来の剣術はそれがないと本領を発揮できない。」


「そんな状態でよくもまあ……。アンタ、やっぱりバカだろ。」


「うん、知ってる。」



 トラブル続きの中、我ながら良くやってると思う。魔王に剣を壊され、学長に額冠を没収され、武術も禁止された。その中でトレ坊先生から脱法的な技を授かり、自力で勇者になれる可能性を掴みつつある。以外と何とかなっている。



「改めて、よろしくね、勇者ロア!」


「ああ、よろしく! いずれは先輩が表に出てこれるようにして、復学できるような環境にしてみせる!」



 現状では学院運営、浄化委員会、反逆ゴーレム、計三つの勢力を敵に回しているようなもんだ。道は険しいだろうが、革命を起こしてみせる。勇者はそのためにいるんだからな!

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