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第149話 運営からの通告


「ひ、ヒドいわ! ヒトでなし! こんなの反則ですわ! 負けた上で攻撃を加えるだなんて、卑怯にも程がありますわ!」



 体内から爆死させられたベヒモスの死体が片付けられている。もちろん飛び散った肉片の処理・清掃も行われている。その間、相手方から非難と抗議の雨あられを浴びせられていた。



「いや……コレを反則って言うのは無理があると思うんです? だって彼はそのまま食べられたら死んでしまうんですよ? おかしくない?」


「ムキーッ! うちの自慢のグラディオを殺しておいて何様のつもりー!!」



 いや何様って、こっちは勇者様なんだが……。やっぱペット愛好家は倫理観が狂っていると思わざるを得ない。殺されそうになっておとなしくしていろと言うのは無理がある。アイツは死から逃れるために正当防衛しただけですよ? グロい結果になったのはお気持ちを察するが。



「えー、運営としましては勝敗確定後の攻撃と見なしますので、ゲイリー・ザ・オニオンは敗北のままとなります。」


「うそ~ん!?」


「ナットクいきませんわ!? 勝敗以前に死刑確定ですわ! ムキーッ!!」



 そんなバカな! 倒したのに負けかよ! ゲイリーだって死に物狂いだったっていうのに!くやしい。これでは決闘自体負け確定じゃないか! と……その時、



《……決闘運営委員会より言い渡す! ディアナ・ベルムト、次のサード・ステージにてロアを確殺せよ! 勝利ではない、如何なる手段を用いてでも殺害せよ! し損じるようであれば、相応の処分を下す。敵を殺さず、生き恥をさらす事なかれ!!》



「ヒッ……!?」



 なんだ、なんだ? 会場全体に対して、思念波での通告! 相手のベルムトも思わず身をすくめている。俺を確実に殺せ? やはり、黒幕はこの機に乗じて、俺を殺害するつもりのようだ! 一体何者だ?



「決闘の勝敗はもはや確定していますが、運営の方針により、サード・ステージは予定通り行います!」


「グ、グムー!?」



 このまま負けにされるよりはマシだが、決闘は死闘へと変化した。相手は俺を殺害する前提で攻撃をしてくるだろう。こんな状況で頼れるのは例の“秘策”しかない。しかも殺害せずに相手を戦闘不能に持っていくしかない。勇者が学院で殺害行為を働くわけにもイカンしな。 



「では、舞台の清掃も終わったところで、サード・ステージを開始します!」



 掃除が終わり、運営からの殺害宣告があったところで、とうとう俺の出番がやってきた。相手もさっきまでとはうって変わって、余裕はなくなり深刻な面持ちに変化していた。



「ほほ、まあ、無残な死を与えることに変更はありませんわ。フリアンとグラディオの仇討ちなのだから、只の勝利では意味がありませんの!」



 わざわざ自分に言い聞かせるあたり、運営の宣告がなければ、俺を殺すと言っていたのはあくまで冗談だったのかも? この人価値観がおかしいだけで、案外、悪い人ではないのかもしれない。



「では、サード・ステージ開始とします!」


「アイスロック・ジャベリン!」



 開始早々、氷の投げ槍が飛んできた。こんな物は余裕でかわせる。魔法とはいえ、所詮、只の槍。あの秘技を使うほどのものではない。さすがに一発で終わるはずもなく、何発も立て続けに飛んできた。



「串刺しになって、針ねずみのようになっておしまいなさい!」



 そう簡単に喰らうかよ! こんなのは武術使わなくてもかわせるし! そもそも武術が使えるんなら、即刻、落鳳波で片が付いているだろうよ! 武術無しで勝つなら、何か大魔法を切り抜けたりして、心をへし折る必要がある。そうしないと例の“秘技”を使う意味がないからな!

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