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第137話 学院伝統の方式


「一体、何があったというのだ!」



 ちょうどいいところにラヴァンが戻ってきた。別に俺らのトラブルを察知して戻ってきたわけではないのだろうが、随分と勘のいいヤツだ。ここはなんとか仲裁役として間に入ってもらおう。



「ラヴァン先生!? ちょうどいいですわ! ちょっと聞いて下さいまし!」



 向こうに先手を取られてしまった。こうなったら仕方ない。その間になんとか言い訳を考えておかないとな。向こうがどういう出方をしてくるか読めないのが厄介だが。



「……何!? この連中に大切なペットを殺害された? 何故、そのような事が起こった!?」


「いやぁ、うちの筋肉ゴリラが粗相を起こしまして……。コッチとしては食料を調達しようとしただけなんですが?」


「ムキー!? やっぱり捕って食べようだなんて企んでたんですわね!」


「だから、コイツが勝手にやらかしただけなんだってば!」



 チクショー! こんなトラブルに発展するんだったら、ゴリラに鎖付きの首輪でも付けておくんだった! そうでもせん限り、ヤツはやらかしを続けてしまうかもしれん!



「それより何者ですの、この方々? 見かけたことありませんわよ。もしかして、不法侵入者の類いですの?」


「彼らは特別に編入を許可された学生だ。今日、こちらに来たばかりなのだ。」


「こんな野蛮な連中が編入を許可されたですって? どういうことですの?」


「学長が許可を出したのだ。文句は言えない。」


「んまぁ!? ありえないですわ!」



 野蛮人ってか? まあ確かにこれから原始的な生活を強いられるところだったからね。魔法使えないだけでそういう扱いだもん。ヒドいよね。俺らも好きで魔法苦手な身になったわけじゃないよ?



「あのさあ、ラヴァン君、このエロい格好した人何者よ?」


「なんて不躾な言い方!」


「彼女は君たちの先輩、ディアナ・ベルムトさんだ。魔獣研究の権威、ベルムト博士のご息女だ。」


「ああ、それで、悪趣味なペット飼ってたんだ?」


「誰が悪趣味ですって!?」



 典型的な金持ち故の悪趣味だな。一般人からしたら、スゲー趣味悪く見えるヤツ。だって魔獣ですよ? そんなん飼ってるヤツもある意味魔獣だからそんなんになるんだよ。



「もう退学追放だけでは飽き足りませんわ! あたくしが勝った暁には、そちらのコボルトをもらい受けますわよ!」


「しょぎゃーーーん!? あっしが賞品扱いされてるでヤンス! ……でも、あんなエロい娘に飼われるならありかもしれないヤンス!」


「うわー、ワンちゃんサイテー!」



 勝ったら、タニシ飼うってか? おいおい、それはさすがに暴挙なんじゃないか? タニシもなんか喜んでるし……。だんだんイケナイ道に足を踏み入れようとしている。なんとかせんと取り返しの付かないことになるぞ!



「というか、どうやってこの揉め事に決着つけるんだ? さっき公衆の面前でとか言ってたが、どういう意味だ?」


「こういうときには決闘でケリを付けるのがこの学院の伝統だ。」


「決闘て! この前にアンタとやったあの方式かよ?」


「その通り。私はこの学院の方式に則って行ったのだ。ここでは当然、魔術を用いた物に限られるがな。」



 なるほど! アレはここのやり方に倣ったというわけか。魔術師伝統の方式だとは。とはいえ、結局は喧嘩だ。どんだけ格好付けても野蛮な行為には変わりないのにな。コイツらはそれがわかってない。理屈を付けて正当化してるだけ。なんとかそれをわからせてやりたいもんだな。



「で、何時やるんだ?」


「明日だな。やるならば申請も出さねばならんからな。早くても午後からになるだろう。」



 決戦は明日。対策は……これから考えよう。トレ坊先生の言ってた防御法を試すいい機会かもしれない。それに勝ちさえすれば、なにか状況を打開できるチャンスがあるかもしれない。こういう時はピンチを逆に利用するんだ!

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