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第136話 皮から骨まで使えます的な?


「あのさあ、それ以前にコレ、食えんの?」



 ゲイリーが捕まえてきた怪物。実際問題、コイツは食えるんだろうか? 尻尾のサソリは俺の国で珍味として食べられるとは聞いたことがあるけど、本体のライオンは? 獅子に食われた人の話は聞いても、食った話は聞いたことない。いや、それよりも食べる物がこれしかないから、食べるしかない!



「これを食べるとかじゃなくて、素材として取引するのもいいんじゃない? 魔獣から取れる素材は専門家からしたら貴重な物ばかりだから。」


「なるほどね。これを売るのも手ってワケか。」



 魔獣の皮、爪、骨やらは素材としてタ飼う取引されるとはよく聞く。武器や防具、魔法とかの触媒としても使用されてるらしいな。頭の中が食べる事しか考えてなかったから、その事実を忘れていた。特にうまいのかどうかワカラン代物を無駄に消費するよりかは大分有意義な使い方だろう。



「さて、そうと決まれば、誰に売るかだよな?そういう取引してるところを探さないとな。買い手も探さなきゃならんし。」


「どうするッスかぁ? 串焼き? 蒸し焼き? 丸焼き? ステーキとかッスかぁ?」


「いや、だから、食べる線は無しの方向に話が進んでるだろうが! 話聞いてなかっただろ!」


「え? 炭火焼きッスか? 炭なんてないッスよ?」



 ダメだ。言葉が通じていない。食べないと言っているのに、なんで焼き方の話が出てくるんだ! 早いとこ処理してしまわんと、調理されてしまうかもしれんな!



「ああーっ!? フ、フリアン!?」



 どこからともなく女性の、悲鳴にも似た叫び声が聞こえてきた。その声の主を見ると、短髪の少女がいた。格好は魔術師そのもので、割とセクシーな感じなアレンジがされており、ミヤコほどではないが、多少、肌の露出がある。簡単に言うならセクシー魔女という感じかな? 何者だろう? その前にフリアンって誰?



「な、な、な、なんてヒドいことを!」



 そのセクシー魔女は倒れたマンティコアの前に走り寄り、魔獣の死体を揺さぶった。ということは、モシカシテ……?



「あ、あのー? フリアンってのは、コレのことッスか……?」


「“コレ”だなんて失礼な! あたくしの大切なフリアンに対して、ぞんざいな呼び方は許さなくってよ!」



 ヤバい……! やっぱ野良の魔獣じゃなかったんだ! 一度は嫌な予感を頭の隅に追いやりはしたが、結局、的中してしまった! ですよねー! 絶対、マズい方向に話進むッスよねー!



「あーた達! よくもあたくしの大切なフリアンに危害を加えてくれたわね! ただでは済まさなくってよ!」


「ええーっ!? これから焼き肉パーティーをやろうとしてたのに、あんまりじゃないっすかぁ! 有料って聞いてないッスよぉ!」



 焼き肉パーティーって、お前……。食べる気マンマンじゃないかよ。確かにセクシー魔女はただでは済まさないとは言ったが、お金払ったら食べられるとかじゃないんだからな……。



「ヒドい! フリアンを食べようだなんて! あーたには人の心がないのかしら!」



 うん。人の心がないのは確かかもしれない。人語を解さないゴリラなんで……。いやいや、それよりもこの事態をなんとかしないと、大変なことになりそうだ。



「あーた達の処断について、決めました! 公衆の面前で堂々と裁いて差し上げますわ!」


「え、捌く? 三枚にでもおろすつもりッスか?」


「そっちの“捌く”ではなくってよ! お肉の話はおよし!」



 とんだ“さばく”違いだな。まだ、食うことしか考えてないようだ。そんなことはどうでもいい。公衆の面前で裁くとは一体どういう事なのだろう?



「あーた達の事は詳しく存じないけれど、覚悟なさい! 学院から必ず追放して差し上げますわ!」


「ええぇ!?」



 いきなり初っぱなから追放の危機に直面してしまった。どういうワケかわからんが俺たちを追放する手段があるのだろう。これは食料どころの話ではなくなってきたぞ!

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