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第134話 “1” ≒ “0”?


《適正検査も受けられたのでしょう?》



 俺はテントの中に入り、トレ坊先生との会話に集中することにした。思念波による会話なので、俺だけ中に入っても特に問題はない。内容に関しては他の二人には伏せないといけないので、以降は思念波のみという流れになった。



《……まあ、散々な結果でしたけどね。魔力なんて最小の“1”っすよ。このザマだとお役に立てるのかどうか、不安ですよ。》



 魔術師からしたら、ガッカリどころか嘘かと疑いたくなるような結果だと思う。だって“1”ですよ? ほぼ“0”と同じですぜ? 何も出来ないのと同意のはず。



《ふむ、“1”ですか。確かに一般的に伝わる魔術は使用できないでしょうな。ですが、それはあくまで一般常識での話です。》


《一般的ではないものがある? 裏技みたいなのがあったりするんですか?》



 魔力に限らず、最小単位で出来ることなんて少ない。お金とか時間にしたってそうだ。ほんのわずかな物しか買えないし、一瞬で終わる。表で“1”なんだから、裏返しても“1”なんじゃないだろうか?



《むしろ、“1”だからこそ出来る事があるのです。特異な体質といってもいいくらい、貴重な能力ですよ。あなたは私の理論を実現するための逸材なのです。》



 理論? 逸材? 一体、何をするんだろうか? 



《簡単に言えば魔術に対する防御法です。普段のあなたでしたら、魔術に対しての防御策はいくつかあるでしょう。でも今のあなたは剣術並びに武術の使用を禁じられている。》


《確かに剣術が封じられると、霽月八刃が使えない。イコール、防御が出来ない。撃たれたらよけるしかない。》



 俺の得意技が封じられているんだ。攻撃だけじゃなくて、防御面でも不都合が出てくる。霽月八刃は防御の技じゃないが、その性質上、相殺という形で防御に使えるというだけだ。この前は手刀でも曲がりなりに発動できることはわかったが、武術禁止な以上、コレも使うことは出来ない。



《その条件に抵触しない防御法を授けます。あくまで魔術の性質を逆利用した防御法なので、ご安心を。使いこなすには武術の経験が必要になります。これは普通の魔術師には出来ないことです。武術家でなければ使いこなせないテクニックです。》



 なるほど、合法的に使える技というか魔法のような物があるのか。それなら是非習得せねば。これから、どんな連中とやりあうかわからんから、相殺する技はあった方がいいもんな。



《じゃあ、早速……、》


「あはははははっ!!! うける~!!」



 早速、ご教授願おうと思ったその時、けたたましい笑い声が聞こえてきた。多分、ミヤコだ。ラヴァンに俺たちの居場所を聞いてやってきたのだろう。



《お仲間の方がやってきたようですね。話は一旦中断して、また後にしましょう。》

《ありゃりゃ! まあ、しゃあないっすね。》



 せっかくだがしょうがない。内容は極秘にしておいた方が確実だしな。ここは一旦解散とするしかない。



「ヒドいでヤンしょ! あっしらの寮はテントでヤンしゅ! だから、あっしらをミャーコちゃん達の寮に住まわせてほしいでヤンスぅ! 物置でもいいからぁ!」


「え~? やだ! だって臭いモン。」


「あっしはそんなに臭くないでヤンスよぅ!」「え~!? たまに野良犬みたいな匂いがしてくるんだけど?」


「わひ~ん! あっしは野良犬ではないヤンスぅ!」



 なんかわけわからん方向に話が進んでるな。まあ、確かにタニシからはそういう匂いがする。アイツはお風呂嫌いだしな。その割には魔法の適性は水属性だったりするから、おかしな話である。



「そういえば、ウチらの寮には食堂とかの設備はあったけど、アンタ達って食事とかどうなってんの?」


「え? それは狩りとかで調達するしかないんじゃね?」


「え、でも、ここって学院の敷地内だから、野生動物とかいないじゃん? どうすんの?」


「あ……!?」



 今さらヤベぇ事実が発覚してしまった! 野宿だから普段通りに何とかできるとばかりおもっていたが……。違う。今は旅の途中じゃない。ここは大自然のなかではなく、学院の敷地内だ。なんか予想外の事で難問が立ちはだかっていることに今気付いてしまった……。


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