表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
127/331

第127話 下らないモノですが……。


「御馳走がいっぱいでヤンスぅ~!」



 クエレさんとの密談の後、彼は置き土産を置いてすぐさま帰って行った。その後はみんなと合流し、一転してグルメパーティーとなった。クエレさんが気を利かして、食料の類いを大量に差し入れてくれたのだ。おかげで旅の真っ最中ということを忘れるくらいの飲めや、食えやの大騒ぎになったのである。



「ドラゴンを捌いたら、こんなうまいモンだらけになるんスね! ドラゴンって万能食材ッスね!」



 んなわけあるかよ! 一名、妙な勘違いをしている。どういう解釈でそうなるんだろう? よく、おとぎ話とかで金銀財宝とか御馳走をもらったとかいうオチはあるが、それみたいなのと勘違いしてない? 古竜族の存在がそういうのに片足突っ込んでる存在だから間違いではないんだが……。それでも何か違う。



「凄いですね……。これと比べたら、僕の秘技空中ハンバーグなんて完全に子供だましじゃないか。僕なんて大したことないんだ……はぁ……。」


「いやいや、比較対象がおかしいぞ、ロッヒェン! ただの豪華な差し入れとお前の特技は全然別物だからな!」


「べ、別物……!? そこまで差があるんだ。ダメだ、僕は……。僕の特技は別物レベルでダメダメなんだぁ……。」



 ダメだ。ロッヒェンは変な後ろ向きスイッチが入ってるので、何を言っても落ち込んでしまうようだ。とりあえず、本人が落ち着くまでそっとしておいた方がいいかも……。



「むむ!? これはパーシィモンじゃないか!? こんな貴重な物を惜しげもなく提供できる人物と知り合いとは、君の人脈は大したものだな。」


「知り合いというか、腐れ縁みたいなモンだからな。つい最近まで一緒に旅してたヤツなんだがね。」



 そう、御馳走の中には、例のパーシィモンが含まれている。もちろんあの時のままではなく干して熟成したものなので格段にうまくなっている。やっぱりこれは魔術師なら食いつきがいいようだ。魔法力を補給するのに持って来いの回復アイテムだからな。



「サヨさんの補佐をしてらっしゃる人なのね? 最近のサヨさんについて、何かお話は?」


「ああ、心配ないぞ。“いつも見ている”らしいから、色々、コチラの情報は筒抜けらしい。俺らの様子を見て、ほくそ笑んでるにちがいない。」


「エェ……。で、でも良かったじゃない。学院に入るための手筈を整えてくれたんでしょう?」


「うん、そうだけど、代わりに妙な任務を押しつけられちゃった。」



 事情が事情なだけにその内容まではみんなに教えていない。エルには任務を受けたとだけ伝えてある。他は口が軽そうなのでNGだし、ロッヒェンはあくまでクルセイダーズの人間だからだ。ラヴァンは論外だ。アイツは向こう側、学院側の人間だから知られない方が得策だろう。下手したら、魔術師協会のスパイかもしれないし。



「油断しないでね。この前みたいに魔術師は色んな手段で動きを封じたり、盗聴、透視してたりするから。キチンと警戒すること!」


「はい。ごもっともです!」



 まるで母親が子供に言い聞かせるみたいなやりとりだ。でも、しょうがない。この前は色々とハメられたり、だまされたりしたからな。魔法に関しての知識も少ないから余計にだ。



「ところで……トレ坊先生もいらっしゃるのよね? どこで落ち合う予定なの?」


「ん? さ、さあ? 協力してもらえると聞いてるだけだから、どの程度手伝ってもらえるのかは知らないんだ。」



 トレ坊先生の話となると食いつきがいいな。エルの目がキラキラしている。さすがにここまでだとトレ坊先生にちょっと嫉妬してしまう。得体の知れない生命体のどこにここまでさせる魅力があるのだろう? まあ、いいや。実際に会ってみればわかることだ。その人柄をじっくり見極めさせてもらおう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ