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第126話 千年万年生きてるマン!!


「トレって、トレ坊先生って言われてる人っすよね?」



 たしかエルはそういう呼び方をしていたと思う。著書の中に“トレ坊ちゃん”とかいうのがあるので、それ由来の愛称であるらしい。そういえば“石の中にも残念”とか“我が輩は石である”というのもあったな……。めっちゃ内容が気になる。



「ええ。ファンの方からはそう呼ばれてますね。実はトレ殿は先代の竜帝様並びに某の魔術の師でもあります。それゆえのつながりで、お願いする流れとなったのです。」


「クエレさんや竜帝のお師匠なんすか!?」



 ちょっと待て。てことは大昔から生きてるって話は実話ってこと? 何歳なんだよ! クエレさんですら一万歳ぐらいなのに、もっとってことになるよな? ここまでくるとジジイ、ババアのレベルじゃなくて、化石とか遺跡みたいなもんじゃないか!



「それだけではございません。トレ殿は魔術学院の前身、王立アカデミーの設立に関わった人物でもあるのです。」



 次から次へと飛び出すビックリ情報の数々。全部盛ってるんじゃないの、と疑いたくもあるが、サヨちゃんの知り合い関連は大体ガチの実話ばっかりだからヤバい。やっぱ千年万年生きてる人の話はスケールがちがうわぁ!



「勇者殿が学院に入るための手筈を整えるのには理由があります。実はサヨ様は勇者殿に密命をお願いしたのです。」


「俺に密命?」


「そうです。学院に潜り込み調査して頂きたい事があるのです。学生が不審な事故死をしている件を調査して頂きたいのです。」


「なにそれ恐い……!?」



 なにかあると思ったらこれか……。怪しい事件を命がけで調査してこいと? 人使いが荒すぎない? 俺、勇者ですよ? 潜入捜査のエキスパートじゃないんですよ。



「勇者殿の腕を見込んでの事なのです。下手にその手のプロを送り込んでも彼らにはバレてしまいます。それで勇者殿に白羽の矢が立ったわけです。」


「なんで俺が……?」


「魔術がほとんど使えないという点で、彼らの油断は誘えるかと。あくまで学ぶという目的で滞在すると思い込ませるのです。」



 そんなうまくいくかなあ? まあ、魔法をうまく使えないヤツが他事を企んでいるはずがない、と思わせる策だから、俺なのか……。どうせ魔法の才能なんてありませんよ。サヨちゃんめ、それを悪用するとはなかなか悪どい策を思いつくなあ。腹黒い。



「まあたしかに勇者としては聞き捨てならない事案だしな。ちょいと、この機会に調査をしてみる。」


「了承して頂けて幸いです。トレ殿のサポートもあると思いますので捗る事と存じます。」



 トレ坊先生がサポートしてくれるとはね。あの彫刻だか、彫像だか良くわからない石像のなりでどう動いてくるのか想像できない。前のサイン会では彫像の口から手が生えてきてたな……。


「それはそうとして、勇者殿のお弟子さんについてなんですが……。」


「へ? あのゴリラに何か?」


「何か引っかかるのですよ、某の記憶に。過去に彼に似た人物、似た能力を持った者を見かけた事があったような気がするのです。」


「なんですと!?」



 過去に見た? 過去にいた? アイツのソックリさんがいるというのだろうか? アイツの先祖とかそんなんだろうか? というかあんなのが何時の時代にも存在していると想像しただけでも何かイヤだ。たしかに記憶に残るくらいインパクトはあるかな? あの濃いいキャラは。



「かなり過去の記憶ですので、思い出すのに時間がかかりそうです。一度この件は郷に持ち帰り、調査の上で報告させて頂きましょう。勇者殿にも調査をお願いする訳ですしね。」


「そうっすね。そうしてもらえると助かるっす。」



 互いに調査案件を抱えることになった。今後それは明らかになるのか? それともわからずじまいになるのかは不明瞭だ。内容が内容だけに。でも、互いの成果を信じて動くのは悪くないな。未来につながると信じて先に進もうじゃないか。

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