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第124話 希少種を狩ってはいけません!


「お、おい、これ……!?」


「いやぁ、手こずったッスよ! これでみんな腹一杯食えますぜ!」



 ゲイリーに狩りを頼んではいたが、ちょっとした魚とか、よしんば鹿とか猪とかを捕まえて凝ればラッキーかななんて考えてた。その考えが甘かったことを思い知らされた。



「ど、ど、ど、ど、ど、ど、ドラゴンでヤンスぅ~!? 食べ切れな……キュウッ!?」


「ドラゴン……!? これを今から食料にするんですか? 勇者パーティーはスケールが違いますね……。僕にはこのクオリティは達成できそうにない……。はぁ……。」



 失神したタニシはともかく、ロッヒェンが何故か勘違いして、また、落ち込んでしまった。いつもこんな大物食ってるわけないじゃん。ドラゴンなんて、しょっちゅう見かけるものじゃないし。だいたい強いので労力に見合わない獲物だと思うが……。



「ムウ……これは!? 通常のドラゴンではないぞ! 中級種? いや上級種か? 見たことのない種類だ。」



 ただの大物というわけではなく、ドラゴンとしても大物かもしれない。昔、勇者になりたての頃に下級種とか上級種……ニセ竜帝を見たことがあるが、ソイツらとも何か違う感じがする。



「おおっ!? 凄いじゃん!? これドラゴンじゃん!? 初めて見た!」


「えぇ……!? コレをどうやって捕まえたのかしら? このドラゴンは他にない迫力があるのに……?」



 これだけ大騒ぎになっているので女子たちも合流してきた。ミヤコは初めて見たのか。サヨちゃんの真の姿も見たことないだろう。流石にエルは何か違和感を感じているようだ。ラヴァンもだが、魔術師からすると何かおかしいところがあるのかもしれない。



「なんか似たのを見たことがあるような気がするんだよなぁ。なんだろ?」


「もしかして……このドラゴンは古竜種なんじゃ……? 見覚えがあるとしたら、サヨさんなんじゃない?」



 う~ん? 言われてみればウロコの色とかは違うが、質感は似ているかも? もし仮にこのドラゴンが古竜種だったとしよう。だとすれば……コレはヤバいことをやらかしてしまったのでは……?



「これが古竜種だったとすれば大変なことになる! ただでさえ希少種を狩ることは禁止されているんだぞ!」


「ま、マジで……!?」



 ヤバい。マジヤバい! 古竜種狩るの禁止されてるなんて、初めて聞いた! バレたら捕まるじゃん! しかも古竜種だったら、サヨちゃんの身内だ! サヨちゃんに知られたら、何されるかわからない! 焼いたり、煮たり、蒸されたりして全身くまなく食い尽くされるかもしれない!



「さあーって! どうやって食べてやるかな?まずは解体っと!」


「コラーっ! やめろぉ! これ以上、罪を重ねるなぁ!」


「……せーのっ!」



 これほど必死に止めようと大声を張り上げているのに、ヤツは聞く耳持たなかった。まるで聞こえていない。まるで人語が通じないみたいになっている! このままではさっき想像していた最悪の事態に発展してしまう! もうダメだぁ……。



《いたた!? やめてください! まだ生きてます!》



 突然、頭の中に響き渡る思念波! 古竜種なら当然の様にできることだ。聞こえてくるということはまだ生きている! 良かった!



「チクショウ! 硬ってえな、コイツ! 体、鉄で出来てんじゃないか?」



 アイツには思念波は聞こえていないんだろうか? アイツ以外は……失神しているタニシを除けばみんな気付いている。



《こ、この方を止めて下さい! 私はクエレ・ブレです! サヨ様から言伝を持って参りました!》


「ええぇ!? クエレさん!?」



 意外な形での再会だった。でも最悪だ。弟子が粗相を働いてしまったのだ。バカゴリラをとっちめてから、クエレさんに全力で土下座して謝ることにしよう……。

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