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第100話 ゴリ押し! 力こそパワー!!


「死ね、勇者! ランサ・ペネトレイション!!」


(ビッ!!!)



 二人組のデーモンの片方、小柄な方の指先から黒い光線が放たれる。光線のスピードは速いが軌道は真っ直ぐなので対処はしやすい。俺は難なく霽月八刃で相殺した。



「すまねえな、勇者。俺らが不甲斐ないばっかりに、こんなことになっちまってよ。」


「気にしないでくれ! 得意の戦法が奪われりゃ、誰だってそうなるさ!」



 遅れて駆けつけた俺はウネグと力士が二人組のデーモンと交戦している所へ出くわした。交戦前に馬を殺され、何とか凌いでいたらしいが、ウネグの矢が尽き、更に不利な状況に陥っていた。力士がウネグを庇って大怪我を負い、絶体絶命のタイミングで、勇者参上、となったわけだ。少しでも遅れていたら二人とも危なかっただろう。



「何をした!? ペネトレイションを相殺しただと!?」


「エンパ兄貴、どうやら真正面からは効かないみたいだぜ。俺が直接殴り合って戦うしかなさそうだ!」



 大柄な方のデーモンが指関節をポキポキ鳴らしながら俺の方へと近付いてきた。見るからに近接パワータイプといった感じだ。武器は持っていないので、素手で戦うつもりだろう。



「戦いは力が全てだ。小細工なんぞ、俺が叩き潰してやる!」


「八刃は小細工じゃないんだけど……。」



 弁明しても問答無用で殴りかかってきた。アレがイカサマとかに見えるんか、コイツは! それはそうとして、豪腕は暴風が吹き荒れるように凄まじい勢いで振るわれる。下手に受け流そうものなら、そのまま張り倒されそうなくらいのパワーだ。力こそパワーと言わんばかりの攻撃だった。



「ちょこまかと避けるな! 男なら正々堂々と殴られろ!」


「いやいや! 俺みたいなモヤシが殴られたら一撃で死ぬんですけど!」


「知らん! 貧弱なお前が悪い! 殴られてこそ男だ!」


「どういうルールなのソレ!」



 ダメだコイツ! 脳みそまで筋肉だ! どうして筋肉だるまはどいつもこいつも脳筋ばっかりなんだ! 言葉がまるっきり通じない! とにかく隙を見て反撃をせねば!


「空隙の陣!」


(ザシュッ!!)



 大振りの攻撃を誘い、回避し斬りつける。ようやくこちらも一手を打つことが出来た。だが……イマイチ効果が薄かった。腕を切り落とす勢いで斬り抜けたはずだが、少々の切り傷しか与えられていなかった。ここまで頑丈なヤツは久し振りだ。魔王並みじゃないか?



「また小細工! お前のようなヤツは息をするように小細工をする! どこまで卑怯な真似をするのか!」


「エェ……。」



 そっちだって息をするように筋肉で思考してるじゃないか! 技みたいなのは全部アウトなんですかねえ?



「もういい! お前がその気ならこちらも本気出す! トレス・ソンブラ!」



 魔法を使うような姿勢を取った後、ヤツの足元に影が三つ出現した。普通の影が存在するにも関わらずだ! その不自然な影はムクムクと起き上がり、本体と同じ大きさ体格になった。いわゆる影分身というヤツか!



「お前のようなヤツはゴリ押しで倒してやる!思い知れ!」



 見た目がゴリラだからってゴリ押しとか……、うまいこと言いやがって! あっ……でも、影だよな? あくまで本体ではない。魔力で作られた偽物のはず。そういうことなら、対処は決まっている!



「絶空八刃!!」


(ズボァァァァァッ!!)



 奴等のいる空間全てをまとめて斬った。集団とか広範囲を斬るならコレが効果的だ! 当然影はあっけなく消え去り、本体にも手傷を負わせた……はず? 何故か手応えが希薄だった。



「また卑怯なことを! 俺の渾身の大技を台無しにしてくれるとは!」



 あのゴリラの声が別の場所から聞こえてきた。その横で小さい方がニヤニヤ笑っている。さてはアイツが何かしやがったんだな!

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