際立て期
娘は、反抗期になっていない。
それは、良かった。
良かったのかな。
反抗期は、あった方が良かったのかも。
そんなことを、考えてしまった。
それは娘が、反抗期とは違う厄介なものに、なってしまったからだ。
それは、際立て期だ。
自分を、目立たせよう目立たせようとする。
そんな、時期のことだ。
数は少ないが、噂は聞いていた。
「パパ、買って欲しいものがあるんだけど」
「何でも言ってよ」
ここで、拒否すれば、もっと際立て欲が出てしまう。
そう聞いている。
「動画用のライトと、良いスマホと、お化粧品、あとは......」
「そうかそうか」
動画投稿サイトで、自分を際立て、目立たせようとしている。
これは、聞いていたけど、まさか本当にするとは。
「あとさ、アイドルのオーディションがあってさ」
「そうか」
それが出てしまえば、もう応援するしかない。
あんなに、恥ずかしがり屋だったのに。
今は、こんなに堂々としてる。
目がうるうるして、視界がボヤけてきた。うれしい。