プロローグ
初めましての方は初めまして。
更新スピードはゆっくりですが、楽しんでいって頂けると幸いです。
「魔物が来るぞ!! 女子供は家の中に隠せ! 軍が来るまでの辛抱だからな!」
男が叫ぶ。それと共に、村全体が騒がしく動き始める。
魔物とは、自然の中にある攻撃的な生命体のことである。しかし、ただの凶暴な動物というわけではない。魔物は他の生命体を殺すことでエネルギーを得る。そのエネルギーによって、進化が稀に行われるのだ。
進化した魔物はそれまでとは比べ物にならない力を得る。そしてその力を持って新たなる生命体を殺すのだ。それは人間も例外ではない。故に、人は魔物を警戒し、進化する前に排除するのだ。
もっとも、進化前と言えども非戦闘員ではなすすべが無いほど強い。故に軍を待つのは正解だと言える。
まぁ……。
「軍は来ないんだけどね」
この村はクーデターを試みている残念な村。故に彼らが待ち侘びている軍とは人差しの率いる正規軍ではなく反乱軍ということになるが、それは来ない。
裏切られた? いいや、違う。反乱軍は兵士を送るだろう。……村が魔物に襲われていることを知っているなら。まぁ、知らないんだけどね。
なぜ知らない? それは僕が伝令を殺したから。ダメだよ、一人だけしか伝令を送らないなんて。死んじゃったらどうするつもりだったんだろう。まぁ、魔物が来るから戦える人間は少しでも村に残しておきたかったんだろうけど。残念だったね。
え? 僕が誰かって? あんまり知られちゃいけないんだけどなぁ……まぁ、良いか。僕は人呼んで「小」。なんてこともない、ちっぽけな存在さ。
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