その2 3枚のチケット
最近、やる気をなくしています。
理由は簡潔。この小説を書くのに飽きてきたからです。
あぁ、まったく別の話が書きたい!
コメディなんかじゃなくて、シリアスなもの。特にSFとか書きたい!
さて、気を取り直してどうぞお読みください。
これは取るに足らないごくごく普通の昼休みこと。
「柊木さーん」
いつものように前の席に座る知人、早場尋に俺こと、柊木栄一は話しかけられた。
「なんだ。いきなり。言っておくが、宿題の答えは見せないぞ」
「いや、別に柊木さんの答えには興味ないんで結構です」
「じゃあ、二度と話しかけるな!」
「そんなこと言わないでくださいよ! そうだ! ねぇ、今週末とか暇っすか?」
「ゲームで忙しい」
「暇ってことでいいっすね」
「おい! 忙しいって言ったよな! 今、忙しいって言ったよね!」
「いやぁ、忙しいだなんて僕には聞こえませんでした。気のせいっすよね!」
「気のせいじゃないわ!」
いったいどうしたら、「忙しい」が「暇だ」って聞こえるんだ!
「ところで、今週末、ライブに行きませんか?」
「ジャンルによる。言っとくが、アイドル系はなしだぞ! 俺はあの手の音楽は音楽じゃないと思っている」
「アイドルの歌が音楽じゃないって決めつけるなんてひどいっすね。そういう音楽が心に響く人もいるんすよ」
「それは人それぞれだ! 俺は嫌いなんだ! もし、自分が嫌いな音楽を無理矢理聞かされて「どう? よかった?」って言われても俺は好きとは言わないぞ」
「それは嘘つけないからっすよね」
「それを言うな!」
「まぁ、ビジュアル系といえば、そうなんすけど……。この人は声で頑張っていますよ」
俺の怒りの声をスルーした早場は雑誌を見せてきた。そこにはイケメンの顔写真があった。
「何、このイケメン。このイケメン、本当に凄い歌手なの? ただ、顔だけで売れてるだけじゃないの?」
「ベルデンハイムって言います。最近、海外で人気らしいんすよね。あと、勝手にこの雑誌を破ろうとしないでください。借りものですから」
借り物ってなんだよ。お前には雑誌を貸してくれる友達がいるのか?
「ベルデンハイムねー。知らないわ。あれ? この顔、どこかで見覚えが……」
「よく分かりましたね。超能力者っすよ」
「なんで俺に紹介したんだよ!」
まさか、ベルデンハイムが雑誌を貸してくれた君の友達とか言わないよね? そんな友達紹介されても困るんですけど!
「実はこの度、この国にライブをしに来たらしいんすよ。で、チケット手に入れたんで見に行きません?」
「なんで俺が男とライブに行かなくてはならんのだ! 第一、超能力者のライブなんてどう考えても怪しいわ!」
ほら、こういうのってなんか人を集めて、まとめて負かしてオーラを徴収するんだろ? そんな手口になんか引っかかるもんか!
「ベルデンハイムのライブですか? なら、私も行きますわ」
「えっ! なんで桜澤さんまで!」
っていうか、なんで話しかけてくんの?!
僕たち、接点あの屋上とボークレイの一件だけよね! しかも、なんでベルデンハイムに反応しちゃってんの? 意味が分からないんだけど!
あと、早場。固まるのはやめてくれ。俺もこの人苦手だから。こら、勝手に一人逃げようとするんじゃない。
「実は私も持っていますの。そのチケット」
なんでそんなマイナーな歌手のチケット持ってんだよ! 俺の桜澤さんに対するイメージが崩れ去っていくよ! っていうか、自分が超能力者であることを隠さないんですね!
「き、奇遇っすね。って、俺の持っているチケットと座席が近いっすよ」
「あら? ホントだわ。ねぇ、柊木君も行かない? きっと彼のことが好きになると思うわ!」
「は、はい」
彼女の笑顔に圧された俺は頷くしかなかった。




