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嘘をついたら、たらいが降ってくる  作者: 半空白
第3話 自称胡散臭い男、早場尋
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その4 自称胡散臭い男の告白

タイトル変えました。

理由は単純です。あのタイトルは好きじゃなかったからです。

 

 俺こと、柊木栄一は放課後の校舎の屋上にいた。


 一人、青春の縮図が垣間見える校庭を見下ろして黄昏ていたのだが、別に好き好んでここにいるわけではない。


 自称胡散臭い男、早場尋に呼び出されたのである。


 いくら、掃除に時間がかかるとはいえ、少し遅すぎないか?


 かれこれ二、三十分ただ屋上から見える代り映えのない風景を見て溜息をつくばかりである。


 生憎、俺には高校にいる間、スマホの電源をつけっぱなしにしておく度胸もないので、スマホをいじることはできない。


 言っておくが、俺は決して臆病者ではない。ただ、めんどくさいことを避けようとしているのだ。


 こういうときは本でもよんでおくべきだろうが、本と呼べるものは教科書しか持ってきていない。


 いくら、暇だからと言って、教科書を読むなんて苦行はしんどい。


 それに、もし誰かが屋上に来て鉢合わせしたとき、教科書を片手に持っていたら、そっと扉を閉められるに違いない。


「待ってましたか? 柊木さーん」


 相変わらず軽い男だ。どうせ、俺を待たせることなんて、女の子をナンパするのに比べたら、取るに足らないことなのだろう。


「随分と待たされた。ところで、その話は三分以内に終わるのか?」

「もうちょっとばっかし欲しいっすね」

「じゃあ、帰る」

「なんでですかー! 人がせっかく勇気を持って言おうとしていることがあるのに、柊木さんはまったく興味がないんですか! それでよく俺の友達でいられましたね!」


 いやいや、いきなり掴むなよ。気持ち悪いって。


「興味ないし、そもそも、友達だっけ?」

「ひどいっすよ! 俺は柊木さんのことはマブダチだと思っていたんすよ! なのに、どうしてこんなにそっけない態度を取るんすか!」

「いや、マジで赤の他人だと思っていたから」


 すると、突然、早場は俺から離れて、涙目になった。


「俺は柊木さんのことを親友だと思っていました。なのに、どうしてあなたはそんなひどいことが言えるんですか」

「いや、そもそも、俺とお前の間には特に何もないだろ?」

「じゃあ、休み時間の間の会話は何だって言うんですか!」

「ただの雑音」


 すると、早場はさらに俺から距離を取って、突然、泣き出した。


「すみません。このときほど人が嫌いになったことはありませんよ」

「もうそんな大げさな反応はいいからさっさと本題を話せよ」

「友達じゃないなら、話しません」

「おい。それだけのために俺の時間を使ったのか! 俺が何分待ったって言うんだ!」

「そんなのは関係ないっすよ。俺を友達だって認めない人なんて待たせていいんですよ」

「そんなことは関係ないだろ!」

「じゃあ、帰りますね。俺が数か月悩んでいたあの日々を返してほしい気もしますが、柊木さんに友達じゃないって言われてしまいましたからね。やっぱ言うのやめます」

「待て! 気になっていたから話せ!」

「そうっすか。なら、俺たち、友達ですよね」

「あぁ」

「マブダチっすよね」

「あぁ!」


 今、俺は感情を押し殺して、あいつのご機嫌を取りに行った。


 なぜ、取ろうとしたのかは分からない。たぶん、あいつのことが可哀そうだと思ったのだろう。


 まぁ、しょうがない。目の前で同い年の男に泣かれてもただただ困るだけだ。


「わっかりました! なら、話しましょう。俺の秘密。それは……」


 おい! 切り替え速いな!


「超能力者だったんすよ!」

「お前もその手のやつだったのか!」


 やっぱり、俺の三十分返せ! この野郎!


明日から「オーク」始まりますね。

この作品との兼ね合いで二日に一度の更新になると思います。

別にストックがないから毎日更新できないわけではありません。


どちらも読んでいただけるとありがたいですね。

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