その3 胡散臭い男vs.嘘をつけない男
気づいたら、5月ももうすぐ終わり、6月が始まりますね。
「オーク」の進捗状況は3話で止まっています。
胡散臭い男、早場尋は桜澤理音の命令に従い、柊木と接触を試みた。
案の定、柊木はやけに早場を警戒していた。
早場は超能力者であることがバレたのかと思ったが、それは一瞬にして、否定された。
彼はあっさり早場の術にかかって、いろんなことをぶちまけたのだ。
いくら、オーラが強いとは言え、早場の能力を使えば、口は少し、いや、大分軽くなるようだ。
残念ながら、オーラの圧倒的な差によって柊木の行動まで操ることは出来なかったが、彼の遍歴を聞き出せた。それは早場にとって良いことであった。
少なくとも、桜澤による社会的抹殺は一時的に防げることに成功した。
ところで、なぜ柊木の口を軽くすることに成功したのか、早場は疑問に思っていた。
それはすぐに分かった。
柊木は超能力というものを一切信じていなかったのだ。そのため、この手の力には無抵抗であり、防ぐことすらできなかったのだ。
超能力を信じないものだから、ボークレイやレインコートに襲われたこともただのカツアゲのようなものとしか思っていなかったことに早場は驚愕した。
それ以上に早場は柊木から語られる悪夢の一年間に起こった出来事の数々に恐怖した。もし、自分がそんな目にあったら、命がいくつあっても足りないと思った。
何がともあれ、彼は数多くの情報を柊木から引き摺り出すことに成功した。だが、早場には一つ納得していないことがある。
それは、柊木の能力であった。
柊木は正直に、嘘をついたらたらいが落ちると語った。
だが、早場にはそんな能力があるなんてとても信じられなかったのである。
嘘をついたら、たらいが落ちるなんて能力なんてあってたまるか!
そもそも、そんな小さい能力でボークレイやレインコートに勝てるものか!
彼は何度も何度も柊木の真の能力をなんとか引き出そうと試みたが、残念ながらたらい以外の情報は何も出てこなかった。
だが、毎日のように柊木に絡むようになってから、彼は柊木との話を楽しく思うようになってきた。
たしかに、あの悪夢の一年間に自分が巻き込まれたら、死んでしまうかもしれない。
だが、早場はとても幸運なことに関係者でもなんでもなかったので、次第に彼の話を面白い物語のように感じるようになったのである。
次第に、柊木の話に茶々を入れたりして、それなりに友達のような会話を楽しめたのである。
元々のオーラの差によって柊木の口を軽くすることしかできなかったが、それはそれで良かったと彼は思うようになってきた。
ただ、放課後になる度にRAINには彼との会話に対する報告を求める桜澤のトークが何十件にも達しているのに気づいて、その応対に苦労させられることだけはやめてほしいと思う早場であった。




