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嘘をついたら、たらいが降ってくる  作者: 半空白
第2話 桜澤理音は柊木栄一にご執心
13/27

その7 戦闘の後は

補足その2!


決闘の後ってどう処理しているのかっていう話です。


正直どうでもいい話なのですが、あの頃は気分が乗っていたので、書いてしまいました。

 

 老人と自爆魔こと、ポルガチェフが去った後、ボークレイは一人倒れたままだった。


 突然、頭を鈍器で殴られたような感覚がしたボークレイは目を覚ました。


 起き上がると、そこには巫女さんたちが路地裏の修復作業をしていた。


「ご機嫌様。今日も楽しく決闘をしていらっしゃったそうで何よりです」


 彼を殴ったと思われる巫女さんがボークレイに微笑みかけてきた。


 ただし、目は笑っていなかった。目はまったく微笑んでいない。


「これは一体なんだ?」

「皆さんが決闘した後はこうして私たちが修復しに来ているんですよ。皆さん、すぐにいろんなところ壊すから迷惑なんですけどね」

「それはすまない」


 謝る彼に対して、巫女さんはさらに冷たい声で語りかけた。

「言っておきますが、あなたはその中でも群を抜いてあちこち壊しまくっていますからね! 良い加減、少しは周りのことを考えてくれませんかね?!」

「そうか。それはすまない」

「別に構いませんよ。そんなことより修復の邪魔なんでさっさと帰ってくれませんかね」


 巫女さんは頬を膨らませて、不満げな顔をする。


「待ってくれ。聞きたいことがあるんだ」


 巫女さんはさらに嫌そうな顔をした。


「あなたがご執心の見えない何かを生み出す能力者は心当たりありませんよ」

「そのことではない」

「じゃあ、聞いてあげましょう」


 ボークレイは意を決してこう尋ねた。


「ずっと気になっていたのだが、決闘をする際は普通の人間には感知されるのか?」


 巫女さんは溜息混じりに答えた。


「んなわけないでしょ。感知されたら、私たちの存在がバレてしまうじゃないですか。超能力は自己の研鑽と超能力者同士の中での研究のみに用いられるという国際条約もありますしね」

「そんなものがあるのか?」

「常識中の常識ですよ。超能力者は徒党を組まないと、いつか権力者に脅されて、戦争に駆り出されかねませんからね。だから、国際的に手と手を結んでいるんですよ」


 彼女は付け加えるようにこう言った。


「もし、決闘をせずに皆さんが強くなれるのなら、私たちも物しか壊さない決闘なんて許可しませんよ」

「そうか。それは申し訳ない」

「謝るのはこんな馬鹿げた力を生み出した神や悪魔の方ですよ。それに、あなたが謝っても超能力は終わりませんからね」


 彼女の言葉を聞いたボークレイは目を丸くした。


「まさか、そんなことを言うなんて。この国の超能力者は神を信じないのか?」

「いえ、いると思いますよ。そもそも、この国の超能力者の多くは巫女、神官や山伏、陰陽師と言った神仏や超常現象に関連していますからね」


 私の着ている服なんてまさに宗教的なものですからねー、と続けてから彼女はこうぼやいた。


「ただ、私はその力を与えて、人が争うことを強要する神なんていらないと思うんですよねー」


 黙って何も言わないボークレイに彼女ははぐらかすようにこう言った。


「まぁ、所詮、人形の戯言です。気にしない方が身のためです」

「そういうものなのか?」

「そういうものですよ。では、今日もお家に帰っていただきましょうか」

「助かる」

「ほんと、私たちからすれば、迷惑以外の何者でもないのですがね」

「気をつける」

「次やらかしたら、国外追放ですよー!」

「それは困る」


 彼女は怪訝そうな顔をした。


「一応聞きますが、なぜ?」

「今、無職なんだ」

「ちょっとは働けや! このやろー!」


 彼女は彼の頭を扇子で叩いた。すると、彼は跡形もなく消え去った。


 彼を消した巫女さんはそんなことがなかったかのように気持ちを切り替えて、修復作業を続けるのであった。


そういえば、ボークレイがなぜ無職だったのに、金の延棒を持っていたかということについて語っておきましょう。


それは、日雇い護衛の際に、なぜかチップとして金の延べ棒を貰うからです。まぁ、金はどんなときでも安定資産らしいですからね。そんな意味も込めて渡されたのでしょう。


しかし、彼はその金を現金に換金する方法を知らず、持て余していたのでした。その結果、所持金156円のタンクトップドレッド野郎が誕生したのです。


******


これで2話もおしまい。


次回は明後日からスタートします。オークもいい加減ストックを貯めないといけませんからね。


次回、第3話 自称胡散臭い男、早場尋

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