戦い
つい書いてしまった。
転校生の死神2
放課後、部活も終わり俺は帰ろうとした。時刻はすでに6時半ごろになり窓からはオレンジ色の綺麗な夕日の光が差し込んでいた。しかしその平和の中に違和感を覚えた。幽霊がいないのである。普段白いフワフワしたやつがそこら中にいるのだがその廊下は全く幽霊が見えなかった。こんなことは初めてだったため少し嫌な予感がした。何か起こっていることは確実だと思う。しかしそれがどこで起こっているのか分からない。危ないことが起こっていることがわかっていたが俺はそれが気になった。俺は目を閉じてどの方向で起こっているか直感で探すことにした。俺は目を閉じながらゆっくりと歩みを進めて階段を上った。そのまま二階に行き右に曲がった。そこにある部屋は倉庫室と言われていて校舎の一番北に位置する。倉庫室とは名ばかりで荷物は普段ちょうど真下にあるオアシスと呼ばれる倉庫と体育館倉庫の方に入っておりここはほとんど使われていない。開けることも滅多にないため幽霊が出るとかも言われている。見える俺には関係ないが。
そんな普段鍵もかかった倉庫室だが今日は
「……開いている」
鍵がかかっていなかった。そのままゆっくりと進んだ。
「あんた、こんなとこで何してんだ?」
そんな声が聞こえたので俺は近くにあったホワイトボードの後ろに隠れた。暗くてよく見えなかったので俺は聞き耳を立てて会話を聞き取ることにした。
「別におまえに関係ないだろ」
その声に少し聞き覚えがあった。その声は親友の澤田雅の声だった。あいつこんなとこで何してんだ?
「閻魔の野郎が怒ってたぜ」
雅の対話相手にも少し聞き覚えがあった。その声は……転校生の真淵深一だった。俺はそのまま彼らの様子をうかがった。
「別にアイツいつも怒ってるだろ」
「まぁそうなんだがそれとは別にアイツはおまえにお怒りだったぜ?」
「呼び出しするなら式神召喚すればいいだろ。アイツと契約した時俺ら死神はアイツの式神になったんだから」
死神?
「おまえそれ無視しただろ」
「まぁそうだが何か問題でも?」
「召喚無視した時契約書ぶっ壊れたんじゃないのか?」
「……」
「そうなんだな。おまえこのまま無視するなら人間に戻れないぜ?それでもいいのかよ」
「俺はそれ以外の方法で人間に戻る方法を探して実行する」
「ちなみに閻魔に会う気は?」
「ない」
「あーそうかい。俺はお前を殺すか生け捕りにするよう閻魔に命じられててな。だから」
「そっちがその気なら」
「「てめぇ/おまえと殺しあう!」」
その瞬間2人から朝感じた殺気よりはるかに高い殺気と圧力を感じた。それに思わず俺は目を閉じてしまった。その瞬間
「……なんだこれ?」
世界が変わっていた。形や置いているものは変わらなかったが部屋が広くなり世界少しだけ青くなったように感じた。そして2人フードを被った少年が戦っていた。1人は大きな真っ黒い鎌を持ちながらもう1人は真っ黒な双剣を持って戦っていた。鎌の方は隣に黒猫を使役しており双剣の方は烏を使役していた。
「死ねぇ!」
その声は深一の声だった。鎌は多分深一だろう。深一が高く飛び大きく振りかぶった。その鎌の色は少し紫色に発光して不気味な色をしていた。しかし双剣の方はスキをついて離れその攻撃を逃れることに成功した。そして深一が地面に激突した瞬間に双剣が近づき
「おまえが死ね」
と言い深一に斬りつけた。その声は雅のものだった。深一はそれを避けることができずまともに攻撃を食らってしまった。俺はその戦いを呆然と見てしまうことしかできなかった。深一は大きく吹っ飛んだが猫が一声なくと傷が癒えていった。
「まだ腕は鈍っていないようだな感情野郎」
「これでもいざという時の為にトレーニングはしてるもんでね」
一旦戦いが止まり会話が始まった。俺は止めるならこの瞬間しかないと思い勇気を振り絞り2人の前に出た。2人から感じられる殺気はとても怖かったがもうこれ以上2人が殺し合いするのを見たくなかった。
「おまえら何やってんだよ?」
俺はそう言って2人の前に出た。めっちゃ軽く話しかけてしまったが内心結構緊張していた。2人の反応は驚き
「なんでおまえがここにいるんだよ」
「人間なのになぜ結界内に……」
と、疑問に思っている感じに見えた。2人とも戦意は無くなったようだ。
「警告してやったのになんで来たんだよ」
深一が言った。隠すつもりだったけどこの際言っても構わないだろう。
「幽霊が見えなかったから異常だと思ってね」
「おまえ見えるやつだったのかよ。なぁ感情野郎、おまえは知ってたのか?」
「知ってたよ。というかおまえは気付かなかったのか?」
「もしかしたらって思ってたけど警告したから近づいてこないかと思ってた」
「なるほどね。今回はおまえの失態だな」
「フンっ」
「で、聞きたいんだけどお前ら何者?」
俺はそう聞いた。
感想、アドバイス、誤字報告などあればよろしくお願いします。