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鬱々散々  作者: 伊東椎名
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ストレス社会ってなんだ。日常に対する味付けってなんだ。どうして人は変わるんだ。

「3時間待ってこれかよ。」ラジオアプリを閉じて時間を返せと呪った。好きなバンド。メジャーデビューしたもののアニメのタイアップ以降パッとしない。今夜は新曲をラジオで流すというから、明日の仕事のことは考えないで午前1時からただいま午前3時49分までラジオを聞いていた。ボーカルが聴いてほしいという旨をつぶやいていたから、どんないい曲なんだろうと思いを馳せたのにイマイチぱっとしない。なんだあの曲。目を閉じるも足元の間接照明のオレンジをとかしたような明かりがまぶた越しにちらつく。消したいけど面倒くさい。自然に消えないかななんて無理なお願いをしていたら意識とさようならしたみたいだ。けたたましい目覚まし。AM6:00こんなに早くおきなくても良かったけれど提出しなければ行けないプリントを意地でもやりたくなかった昨日の夜と対価に早起きを支払う。仕事、行きたくない。行ってしまえば、折り合いもついて、ピンクのユニフォームか、はたまた白いユニフォームかに着替えて、ロングヘアを無造作にくくって束ねて、それらしく一つにまとめる。靴下は白。雪を踏んだような白だった4月の靴下はさすがに一年が経とうとしているとおつかれだ。更衣室は嫌い。いつから敷いてあるか分からないカーペットも、人の家みたいな匂いのぶつかった空気感も、同じ病棟に働く人と会うかもしれないおぞましさも、その全てが嫌い。帰りの更衣室はややましだ。帰ることができるから。これからいさむは戦場。自分の心をヒットポイントにして今日もいく。ヒールプレイスはない。強いて言うなら心を許してくれる患者の病室かトイレにこもった時。あぁ夜更かしなんてするもんじゃないな。23歳の体は少々の無理がきいてくれるのは遊びの時だけみたいだ。「おはようございます。よろしくお願いします。」私より早くきているドクターがさっと会釈してまたカルテを見つめる。30秒爪の間までしっかり手を洗えというポスターが貼ってある手洗い場でそそくさと手を洗い、本屋の時のアルバイトと全く同じじゃないかと思うタイムカードを切ってカルテを開く。今日もハードそうな受け持ちの振り方で。若い子には旅をさせよって、甘々の実祖母しか言っちゃいけないセリフだわ。辞めたい、という念が入ったため息が漏れて受け持ち患者の多さに辟易とする。

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