少木の日常
少木(名前です)はピンセットを手にとった。
次に蜘蛛の足をつまんだ。
すぐとなりには、
足がなくなってしまっている蜘蛛が、
麻酔で眠っている。
その蜘蛛の近くに足をおいた。
もう片方の手でピンセットをとり、
今度は糸をつまんだ。
糸を針に通した。
ピンセットで針をもって、
蜘蛛の足に針を刺した。
蜘蛛の胴体と縫い合わせていく、
やがて蜘蛛の足がすべてくっついたところで、
彼はピンセットを置いた。
時間がたつと、蜘蛛の麻酔がきれて、蜘蛛が
動き始めた。
蜘蛛は先ほど縫い付けた足を動かし、
元気に動き始めた。
よし、と呟いて、少木は蜘蛛を掌にのせ、
そのまま部屋から出た。
この部屋は少木の研究室である。
少木は広間に出た、それなりに広い。
階段を降りて広間に立ったら、
玄関に向かった。
蜘蛛が逃げようとするのでやさしく押さえる。
そして外に出ようとすると、
足音が聞こえた、母の足音だ。
少木は動きを止めた。
『義木』
少木は、少し動揺した。
母に名前を呼ばれたのは久しぶりだったから。
だがたいした意味はない。
少木は部屋に四六時中籠っている、母と会話するときは、母は
ねぇ、とかあのさ、とかそういう言葉で僕を呼ぶので、
本当に少しだけ動揺したのだ。
少木は外に飛び出した。
何か大事な話をされそうな予感がしたからだ。
その予感は実のところ当たっていた。
少木は面倒臭いことは嫌いなのだ。
切れ切れですが、
続きます。




