領主の真の計画と託された運命…
さてさて…待ちわびた人はお待たせです!!
次の話!!
今回は前の話の続きですよ!!
今回は気合入れたので長くできました!!最後までお楽しみください!
「zzz……」
「アルジェさん!リンさん?…皆様!!起きてくださいな!」
「んぅ~……ふぁ~い…」
「にゃむ…は~い……?」
「…まだ、眠たい…」
「私としては…もう少し…寝たいけど…昨日の説教……疲れた…から…」
「…すぅ~……すぅ~…」
俺達は、いつの間にかお昼寝以上の眠りをしてしまっていたらしい……余りにも気持ち良くて…ってそういう事じゃなくて……もう外は真っ暗…夜だった……
「まだ夜でしたか…」
「アルジェ…まだ寝たかったの?「そりゃ、36時間寝てないとダメですから…「あんたの寝たい欲望が大きすぎるわよ!?「……もう夜、ですわ…それにしても…よく寝ますわね…」」」
始まった…アルジェのボケタイム……しかも、クズハという童女でもお構いなしに…
「えへへ、それほどでも…♪」
「褒めてませんわ!?あとどうして声だけ喜んで顔は真顔なんですの!?」
「吸血鬼の特技です」
「そ、そうなんですの…?きゅ、吸血鬼って凄いですわね…!?」
「アルジェさん…リュミからしても…「私たちも……「「「「嘘だとわかりますが……」」」」いいじゃないですか…ほら…相手が気付かなければ、事は済みますし…「…?何か、言いましたか?「「「「「あ、いえ…何も……」」」」」」
お前のせいで、俺達まで巻き込まれたわ!!これから嘘突き通さないといけねぇじゃねえか!?全くアルジェの奴は…!
「ん~……あふ…」
アルジェはいつものペースでのんびりと…しかも欠伸まで…あ、毛布が…
「アルジェさん!ま、前!前ですの!!」
「ふにゃ?…あぁ…失礼しました…すみません…」
ずり落ちる前にクズハが指摘したおかげだな…って…他の皆は当然として何も言わないし…大丈夫かこれ…?
…そんな細かい事は置いといて。
…俺も目が覚めてきたところださっそく、立とうとした時にふと目に映るものがあった…それは、皆の前に皿が置いてありその中に何かが入っていた……
皆も目が覚めてきたみたいで、おいていた皿に皆も注目した…
クズハ、ミズハ、コユキはそのお皿にあるものに一人は平然と…一人は、目を瞑り…もう一人はその皿から20メートル位遠ざかっておいていた……
アルジェはその中に在るものを、言葉にして言ってしまっていた…
「何ですか…?これ……?」
アルジェが言うとおり…俺も、何が皿の上に在るのかがさっぱりと見た目からは判断が難しかった……
皆も、首をかしげていたり……食べたくないと断固拒否していたり……更には、それを使ってからかって遊ぶ奴もいた……
アルジェと俺はほぼ同時に、皿の中に在るものの臭いを嗅いでいた……見た目も白く黄ばみ、臭いも酸っぱく嫌な不愉快すぎる匂いだった……
俺と同時に口を開いたのは、勿論の如くアルジェだった……
「腐っている…何かかな…?」
「多分…腐ったおかゆですかね…?」
俺と同じ意見を口にしたアルジェと俺は今さら、今言ったことを誰にも聞かれていないか見渡した……誰も聞いてなかったらしく、聞かれていればこっちを見ていたり…即答していたりするものだから…と安心した俺等はまだ気付かなかった…それに気付くアルジェは俺を小突き、アルジェの方向を見てみると、三人は今にも食べてしまいそうで…しかもその通りにそれ(腐った何か)に手を合わせていた…やばいと思ったのかアルジェは俺より先に行動に出していて…その皆の皿を取り上げていた……
最後にクズハ達三人が手を合わせ…
「いただきますわ」
「いただきます…」
「いただき…ます…」
「待って!食べないで!!」
「ナイスです。リンさん!」
殆ど反射的に俺がアルジェの代わりに取り上げた…アルジェは皆の説得をしていて手が回らなかった…なので俺しかいなかったのだ……結果的に俺のことを褒めてくれたのだ…
俺が皿を取り上げたのでその三人は皆クエスチョンマークがついていた…
「アルジェ…さん?」
「折角……食べるために手を合わせたのにぃ…どうして…」
「何か…問題でも……ありましたか…?」
俺等は三人が食べるところを邪魔したのだが…それで良かったと俺は思っている…なぜなら……
……さすがにこれは…いくら種族が違うからって…お腹壊すぞ…
こんな物を日常的に食べているとは思うけど……俺には信じがたい…この娘にはもっと新鮮で栄養がある食べ物を食べさせないと…しかも…こんな酷い事…さすがに親でもしないよな……いったい誰が…?
そう俺が思っていると、さっきまで、首をかしげていたリュミ、食べたくないと断固拒否していたアリス、その腐った物でひたすらにアリスをからかっていたミラとそれに乗り切れないままぎこちなくミラに味方していたヘルが俺らの近くにいつの間にかいた…もうすでに状況は理解しているようだった…
そして、皿にあったものをブラッドボックスと言われる吸血鬼特有の技能で次々と腐った物をしまいにしまっていく……その後にクズハ達に尋ねた…
「……ごちそうさまでした…。このご飯は、領主さんが?」
「え、えぇ…アルジェさんが眠っているときに…「丁度に領主様がきましてぇ…その時に頂きましたぁ…「あ、あ、あのあの…とても美味しいとは言い難いもの……ですが…た、食べたんですか…?今の一瞬で……!?」」」
「はい。吸血鬼は手からご飯を食べられるんですよ?」
「そ、そうなんですの!?「この世界の吸血鬼は…違うのねぇ…「す、すごいです!!」」」
「そうなんですよ。肘からでも食べられますし…なんなら、足の裏からもいけます」
「す、凄いのですわね……!「この世界…出鱈目すぎるわぁ…「…凄すぎて…話す気力が起きません……!!」」」
アルジェの話に皆騙されているけど……これは、仕方ない気がする…本当の事言ったら…どうなるかわからないし…結果オーライとはこの事を言うんだな…
そして、アルジェは腐ったおかゆの代わりにブラッドボックスから以前にオズワルド君から頂いた果物や木の実を取り出した……まぁ、俺達は食糧には困らないしな…多分…
「食べちゃったお詫びです。どうぞ」
「……い、いいんですの…?「大丈夫なのぉ…貴女達…「本当に…申し訳ないです…」」」
「えぇ…お詫びですから」
「!!……ありがとうございます!「…久しぶりにおいしいのが食べられるわねぇ…「い、いつか…こちらもお礼をさせてください!本当にありがとうございます!!!」」」
この子たちの笑顔…守り抜かないとな……それにしても酷いよな…ろくに美味しい物が食べられず、さらにはその状況で魔物狩り…挙句の果てにはこのような腐ったおかゆを……いったいどんな奴なんだか…と、俺がそう思っているとアルジェがクズハにこんな質問を投げかけた…
「クズハちゃんは…今の扱いに満足なんですか?」
突然こんな質問されたクズハは疑問の表情と悲しい表情を浮かべてこう続けた…
「なにが…ですの…?」
「母親と離れて、ここに一人で居て、ご飯も今のような物で。…辛かったりしませんか?」
「…ッ。…母は立派に務めを果たしておりますわ。私が弱音を吐くわけには参りません…」
「そう…ですか…。寂しくは、無いのですか?」
「…ほんの少し…もう、何か月も、会っておりませんから…。いつも伝言という形に…。でも…望むなら……一目、母様に会って…私はよく頑張っていると…自分の言葉で…報告してみたいですわね…」
この話からだと…親も領主も酷いのか…それか…親もその領主に騙され利用されていて…領主自体が一番ひどいのか…わからない…俺はその領主に会って真相を確かめる…それがこの娘のためであるからな…と思い俺は立ち上がった…するとそれに続くかのように立ち上がり俺と同じように外に向かって歩き出した…最後にアルジェも立ち上がろうとしながらクズハに向けてこう言った…
「すみません…クズハちゃん。少し出てきますね…リンさん、アリスさん、ミラさん、リュミさん、…行きますか…?」
そういったそばからキラーパスのように此方にふってきた…しかし、アルジェも皆も、…勿論、俺も思いは同じだ…だから…!
「ふふっ!そーだね!いつでもいいよー!!「まったく…アルジェったら…お人好し過ぎ!その意見賛成!!「やっぱり!アルジェはアルジェらしいよ!!異議なーし!♪「グルゥ♪」「アルジェさんの突拍子は読めないし、嫌な事だらけだけど…今回だけは…許すよ!早く行こうよ!!」」」」
皆も意見は同じ…クズハ達に幸せにしてほしいし、もしその領主が酷い奴だったらそいつは本人が処理するだろう…クズハ達に報告するために領主には手を出さない方針で…
しかし、クズハ達はその行動がちょっと不安なようでどこに行くのかを聞いてきた…
「どこに…行きますの…「クズハ姉様…多分…大丈夫ですよぉ…私が、いますからぁ……「は、はぃ…わた…もいます…だ…ら…、心配…ないでくださぃ…」」」「いいですね…親しまれてて…じゃあ…僕たちは行ってきますね…風当りに……眠かったら先に眠ってて構いません「わかりましたわ…行ってらっしゃい…ですわ…「はい…行ってきます…」」
俺等は、クズハちゃん達の送り出す姿を背に向け、領主がいると推測したアルジェを追いかけていく俺達だった…
アルジェは時折こちらに確認と指示を促し見つからないように村の領主の家を探していた…そしてアルジェは急に止まり俺達もとまざる得なかった…急に止まったアルジェのせいで、俺は何もないところで躓き、アリスはその躓いた時に出る音にビビって悲鳴をあげて、それをみたミラは、大声で笑う始末…一方のリュミは俺の事を気にかけながらも皆に注意をしていた…
それをやってしまったアルジェは謝罪と注意をした。
「すみません…皆さん…急に止まってしまい…でも、ちょっと騒ぎすぎです…こうなってしまった以上仕方ありません…この騒ぎで起きる者や何事かと来る人間もいるはずですから…囮役と親探し&確保及び撤退指示係に分担しましょう…よろしいですか?」
「そもそも…アンタでしょうに…!!こんな事なるくらいなら、前もって注意しなさいよね!…で私はとりあえず囮役で…「ごめん…みんな……じゃあ私は指示係で、この時位…役立ってみせるぞぉ~!「グルゥッ!!」「僕は親探しします。何事にも偵察第一ですから…「リンは、とりあえず…アルジェさんのお手伝いで確保係ぃ~♪「リュミは親探しして確保したと指示受けたら皆に撤退する声掛けするよ!頑張ろうね!!」」」」」
「じゃあ…作戦…開始よ!!私はここにいるから。アルジェ、リン、リュミ…頼んだわよ!!「私は空から指示するから!頑張ってください!!「…リュミはとりあえずアルジェについていくけど…中に入ったら見張らせてもらうよ…!絶対に…救い出してね!「…行きますよ!リンさん!!「わかった!リン…頑張る!!」」」」」
こうしてそれぞれの役割分担を決めた俺たちはアリスをその場において囮となった。ミラは相棒ヘルに乗り、空からの支援に回ってアリスの手助けと俺を見守っていてくれた。そして、リュミもアルジェが臭いを頼りに進みここが近いらしいので一部リュミの力で粉砕した。俺とアルジェはそのまま進み、臭いの要因のところへ急いだ…リュミは壁を粉砕した後、見張りをしながらも、アルジェ達が無事帰ってくるのを静かながら見守っていた…そして、現在…地下にいた……
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地下…
「ここ…じゃ…ないかなぁ……いかにもそれっぽ…っ!?」
「どうしましたか…何か…っ!?」
俺等は何故言葉を詰まらせのか……それは、目的の人物でもあり、絶対に在ってはいけない最悪の真実を目の当たりにしたからだ……
見たそのものは獣人だった…種族は妖狐であり、尻尾の数は九本…そして毛の色はクズハちゃんと同じ黄色だった…つまり、この目の前に吊り下げられている者は確実にクズハちゃんの母親で在り、そのクズハちゃんのお母さんがもうこの世にもういない存在を表しているのでもあった……
そして、その光景が真実でも嘘でもそれを本人の元へ返さなきゃいけない使命は俺たちはあったのだ。
その思いを背負いゆっくりと近づく二人…すると突然足元が狐色へと…足元の、既に亡くなっているクズハちゃんのお母さんのすぐ下の怪しげすぎる魔方陣が光りだす…
俺は罠かと思い焦るが、それをアルジェが冷静に受け止め解釈したようで落ち着かせに入る…
「…っ!?えっ!?…な、何っ!?この場所じゃ…到底…「…っ!リンさん。落ち着いて。これは罠じゃありませんから…「…だ、大…丈夫…なの…?「はい。僕を信用してください「…わかった。信じるよ」」
と、俺はアルジェを信用し取りあえず事の成り行きを見守った…先程の狐色の光が少しずつ強くなりそれは次第にある形へと姿を変えていった…
「…これって…!?「…もしくもしないですが…確実にクズハちゃんのお母さんでしょうね…」」
その姿は目の前の亡くなったお母さんそっくりだった…そして形となったクズハちゃんのお母さんはこちらを見向きもせず、独り言のように喋りだした…
まるでビデオレコーダー式の遺書のように…
「もしも、ここに人間以外のどなたかが訪れた際にこの記録を残していきますわ…「記録って遺せるものなの?」「私はこの屋敷の主に招かれましたの…『戦争を止める為に…その方法を一緒に模索してほしい』と……そういうお話でしたわ…」「…だめだ…全く話にならないよ…「多分…リンさんの思う通りだと思いますが…リンさんは分かった上で聞いてみたのですね…?『話をかけても録画しているものを再生しているに過ぎませんから…』こちらから聞いても『絶対に答えてくれない』のは知っていますよね…?「…まぁ…そ、そうだよね…あはは…リン…思わず知りたかったから…『この世界』にもビデオや写真みたいに過去のものを残す方法があるなら、訊きたかったけどね…「……」」」
やはり、こちらの事を見向きもしないからほぼ確実だとわかっていた事だったけど…そうなると、『この世界』に記録を残せる『あの世界』と同じ物がある事になってしまう…そうなると、俺からの結論は、『この世界はあの世界と共通していて…いったい何処の時代なのか…!?』という疑問や『もしかして…転生というのは嘘で実はあの世界を改変しまくって魔法あり剣あり、更にはあの世界の技術の入ったまさにカオスな世界に転生してしまった』とかそうなるだろうとは思うが若干その可能性を考えて聞けるなら聞こうと質問みたいな相槌打ったのに結果は前者でレコーダだから質問したって無駄だったということが改めて分かり、アルジェから逆に変な目で見られてしまった…恥ずかしい…っ!
そんな事をしているうちに目の前のビデオ式遺書が言葉を作っていく…
「『騙された』……その事は…今はもう…恨んではおりません…私の娘の事を思い…娘に『より良い世界で娘の行く末を幸せに生きて欲しい…』そう思っていた私の目の前のこの状況こそが…冷静に判断し損ねた結果の結末ですもの……私の娘のクズハには……あっ!写真、見ます?私のここっ…!ここに写っている…この娘がっ!この幼く笑っている…この娘こそが私の娘ですっ!!あの娘はホーントに純粋な娘で……っ!!あぁ…♪でもここが…!ここがまたすっごく可愛くって!!「……クズハちゃんのお母さん…今、写っている状況理解してないみたいに見えるけど…「…リンさん…それ、僕もそう思いました…「「このお母さん…親馬鹿すぎる…っ!?」」」
最初は落ち着いていたクズハちゃんのお母さんだったけど…クズハちゃんの話題になった途端、今の状況すら忘れたように…わかっていないように……娘の事を熱すぎるくらいに熱弁し始めた…このお母さん…どんだけ娘を想っているんだ…!?
…でも逆に考えれば、そのくらい娘の事を大事に思っているという事だ…だからこの館の主の虚言の『戦争を止める為』と言われてお母さんは『戦争止める=娘の為・幸せの為』と判断し、娘の為なら尚更冷静になれないのも分かる…ましてはこんな親だから…と言っては失礼だけど…娘の事を想い過ぎては冷静になれなくなる目の前の光景を見れば一目瞭然だ。
未だに娘の事関係の熱弁を話しているが…即ち素直な娘だけれど、それは親から引き継いだと言えるべき事だしクズハちゃんは馬鹿正直すぎる為か嘘言っても気付かずそのまま受け止めてしまう
…それは親も同じ事…多分…この屋敷の主はこの『馬鹿正直さ』を逆手取った。
まず、『戦争止める』と言えば疑わずに信じる…
そこに『一緒に考えて欲しいから今すぐこっちの屋敷へと来ないか?そうすれば、この戦争はその分早めに終わらせれる』みたいなこと言ってもそのまま信じるからそのままこちらへと誘い出し…屋敷へとついた後…
多分…サマカ―さんは客人にお茶をだし、もてなしながら一緒に話した…そこから推測すると…応接間みたいなところで一度ソファーに座らした後、自ら『お茶汲んでくるから待っててくれ』とか言って一度部屋を出る…
そしてお茶を汲み終わった後に自分が飲む方には何もいれずに反対に彼女が飲む方に毒とか何かしら仕込んでおく…
その後『すみません…お待たせしました…お茶汲みましたから…飲みながら先程の話をしましょう』といい、飲むのを促す…となれば…必ずと言っていいほど…待った分喉乾いているだろう…乾いてなくてもせっかく淹れてくれたんだから一口は飲まないと失礼になるからと、促した瞬間飲む…
その時はまだ何も起こらなかったとは思う…時間かけて話題を即興で作り、無くなりそうになれば話題を変えその仕組んだものを飲みきる事を待った…
そして飲みきったその時…その前から体の不調が大きくなっていたが他人には見せないように必死に隠しながら話をしていたに違いない…
しかし…その不調を隠しきることが限界に至ったのが飲みきった瞬間だと思う…
その場に倒れ…意識がなくなった…その瞬間に地下室へと連れこみ絶対に逃げられなくした上でこの魔方陣の何かしらで吸い取られ続けて…その最期だと思う…
その数十分くらいの限られた命をこのビデオ式の遺書に残したんだと…
その気持ちは俺にも分からないほど馬鹿じゃない…ただ…今の置かれていた戦時中…が今とは違い酷い状況だったと…そうなれば冷静で保てる人は少なくもないだろうし、この性格だからこそ気付けなかった…だとは俺はそう思う…こうやっているうちに娘の熱弁が終わったようで…
「…っと…私の娘の事はわかって頂けたとは思うので、話を戻しましょう…今の私が…今見ている者が来ている頃には……私は…もうこの世に居なくなった後…この場で亡くなった後でしょう…しかし…娘のクズハは私の子供で私とよく似て素直だから…未だに利用され続けているでしょう…私のクズハはこの事はまだ知らないでいるはずです…なので、今、見ている知らない誰かかは分かりませんが…私の…私のクズハの事を……っ。…私が成せなかった幸せを…っ!…我が子を幸せに……お願いします……!」
…そういい残し深くお辞儀をした…そのままの状態で狐色の粒子となり魔方陣の中へと消えていった…
その後…周りは先程来たように怪しげに薄く紫に光るだけとなった…言われるだけいい、去って行ってしまった…そのような気持ちで俺は呆然としていた…隣のアルジェも同じく。
そして、しばらく俺は考えた…もし、彼女が言ったことをそのまま受け取るとしたら…『お母さんの事はもういいから…伝えたいことは伝えたから…後の事はよろしくね…?』となる…つまり分かりやすくいえば…『この亡骸はもう終わったことだから気にせず立ち去って…そして我が子のクズハと共に幸せに暮らして欲しい…どうか…私の事はあの子に教えないで…私の事を忘れるくらいに幸せに生きて、元気に育って…』と言う意味になる…
………。
「はぁ……貴女との約束…ごめんなさい…流石に出来ないよ…」
「クズハちゃんのお母さんの頼みの約束……貴女らしいですが…そんな約束聞けません…」
そう…俺は何の為にここに来たのかを考えたのだった…本当はアルジェのお人好しで付き合っているだけだが…本元を辿れば、お母さんはなぜ『娘にこんなことさせるのか…?』や『そもそも、お母さんは今、どこに居るのか?』を探りたかった…ただそれだけだ…でもそこに一つ追加された…それはクズハちゃんの本心だ…『会いたくない…って言えば嘘になりますが…でも叶うのなら…もう一度…それも直接で私、自らが「私は、こんなに頑張ったから今の私は昔よりかなり成長しましたので、褒めてくださいですの!」って母様に自慢と評価をもらって母様からも元気でやっていてどこまで進んだのかを聞きたいですわね……』と顔を曇らせながらも涙一つ流さずそれでいて、若干…会えたら何してもらう事を言いながら笑っていた…それを見てしまったからには、『生きていても、死んでいても、必ずクズハちゃんの元へと返し真実を告げて、きっちりと本人にわかってもらわないと…これから生き続けるであろうクズハちゃんに』…埋めたいけどもう埋められないモヤモヤがが一生残ってしまう…そんな人生俺だったら嫌だ…疑問抱えたまま一生生きるのは辛い…いつかどこかで真実を知ってしまう…そんなことになったらクズハちゃんは人を信じることが出来ない…お母さんの子供なのに素直さがこの子から消えてしまう…それは、約束以上の問題だ…だから『お母さんは何が何でも連れて行く』事にした。
多分、アルジェも同じ気持ちだろう……
そう思う俺と、多分…『クズハちゃんの約束優先…死人の約束だから守る必要もない…』と完全に利益優先だとは思うが…そのアルジェと二人係で、吊るされていたクズハちゃんのお母さんを下し始めた。
しかし、二人係だとはいえ…どちらも背が低いから解くのに時間が掛かった…が、何とか下す事に成功する…
しかし、下したその瞬間にお母さんの真下…それに、アルジェと俺のいる謎の怪しすぎる魔方陣が先程の薄い紫色に光っていたのが急に濃く増して強く輝き始めた…その途端に俺達が入ってきた地下への入口からコツッ…コツッ…と誰かが下りてくる音がし始めた…それは、この屋敷に似合いそうな豪華すぎる着物を着て、足は見るからに下駄…そしてよく見ると、その着物はまるで魔同士が着ていそうなローブを中に着ていた…
あぁ…まさかの下ろすと侵入がバレるされる仕組みだったかもしれない…面倒事が増えたアルジェは今にも嫌そうな顔をしていた…そして…
「こんな夜更けに客が来るとはねぇ…今は外でも何か騒がしいから起きて見回りしてみれば…地下室から侵入者の警告が伝わるなんてなぁ…今日はなんて、こんなに騒がしすぎる日なんだろう…」
と独り言と俺達に向けての言葉を同時に使ってきた…誰に話しかけているんだろう…この人…と思った矢先…その人は…
「いらっしゃい…深夜にやってきて…なにを…ぶふぉおぉぉっ!??」
…その降りてきた人は、俺達に話しかけて来たかと思いきや…いきなり吹きやがった…コイツ…頭のネジ外れてんじゃね…?
そう思った…第一印象は、顔やスタイルが良くて普通でいればイケメンと言われるであろうかっこよかった…思い出し笑いが最初言いかけて吹いてから爆笑する…頭イ彼だ。
…先程の奴は忘れてくれ…何が『頭イ彼』だ…!アルジェの悪い癖が移ったんじゃないか!?これはっ!!
そんな細かい事は置いておいて…先程の何故言いかけて吹いたのか…それをアルジェが問う…
「…?どうしたんですか?」
「な、ななな…何故…うちの地下室に痴女と幼女が…!?」
「……。僕は痴女じゃないですし…失礼ですね。好き好んで服を着ていない訳じゃないんですよ…?」
「ん~!!リンは見た目はそうかもだけど…もうこれで大人なの!!」
何でだと思ったら…それか…!まぁ…然程気にするようなことではないな…俺の方もすっかりとなれちゃったし…今更変えろと言われて変えたら逆に違和感あって無理だな…本心は心は男だが口調は女の子がいいって奴だな…そんな事はとりあえず関係ないので置いておいて…目の前の男はアルジェが抱きかかえているクズハちゃんのお母さんに指を差し言葉を作る…
「よ、よく分からないが……君の抱き上げているその女性は私の所有物でね…?今すぐ、戻して貰おうか…?」
「…騙した上にこの人を殺し、更には『人』ではなく『物』と扱う…そんな貴方がこの『人』を『自分の所有物』だと主張するのはおかしいんじゃないんですか…?」
「…だからこそだ。『狩り人』が『狩った』物はそいつのものだろう…?同じように…その『女狐』も『私』が『殺った』から…ルーツ・シヴァスの『物』と言う訳さ…!」
「それは『生きる為』…『仕方なく狩って』いるから…『狩り人』は『生きる為』に『必要最低限』の『狩り』で別に『狩り人』が『狩った』から『自分の物』じゃなくて、『生きる為』だからっ!!『自分用に仕方なく狩る』ならいいよ?情けがあるからね…!でも…貴方みたいに『狩り人』は『欲しい物』の為だけに『遠慮なく』それも『目的の為』だったら『無差別』に『狩り』続ける…そんなの…『狩り』じゃなく『殺り』だよっ!!もう…正当化しているだけで貴方は『狂人』だからっ!」
「フッ…何とでも言うがいい…私はこの為だけにここまで来たのだからな…」
と相手は何を言っても、無駄らしくその後腰に隠してたのだろう…狐色の杖みたいなのを取りだし、こちらに見せつけるように大仰に取り出したのだった…思わず、アルジェは疑問の言葉を漏らしていた…
「その杖は……?」
「フフッ…私は魔物やデミ…つまり言う所の亜人種…特にとても力を持つ奴の死体から溢れ出る魔力を利用した武器…魔具を造る研究をしていてね…!」
「…っ。それで…この人を…殺したんですか…?」
「馬鹿な狐を騙すの容易に…いや、簡単すぎた…『平和の為に力を貸してくれ』と言うだけでそのまま従い…おかげで毒をきれいさっぱりと飲み干してくれた…!…まぁ、暫くはしぶとく生きていたもんでね…集中して魔力を吸い取ってやったら数日で息絶えてくれたよ……!!」
「……………」
「哀れすぎ…貴方って…」
「私の事を恨んだってもう、遅いんだからねぇ…?…あ、そうそう…彼女には娘が居てね…まだ歳若いが…立派な研究材料に育ってくれるとも…!親にも似ているからねぇ…実に御しやすい事だしね…!」
「……リンさん…構えた方がいいですよ…というより…どうしますか…?僕が行きますか?…リンさん行きます…?「う~ん…リンは面倒だから…今回はアルジェちゃんお願い「…はっきり言ってめんどくさいのですが…まぁ…それだったらリンさん…お母さんの事…お願いします「うん。リンがしっかりと守るからね」「よし…それじゃ…そこまで話してくれるという事は戻した所で逃がしてはくれない感じですか?」
「ああ!そうだともっ!そして、準備は整った!丁度、試作魔具の試運転をしてみたかったんだが…実験台が居なかったからなぁ…今、ここでお前たちで実験してやろう!!」
そう言い放つと、彼は今まで以上に杖を大仰に空に掲げた…その杖の先から狐色の光が九本、それぞれの鎧に当たる…俺は感がいいので絶対に狐系統が使いそうな『分身』を模して『鎧が動き出す』と推測……そうなればまず中央にいる俺とお母さんが危ない。なので第一傷つけずお母さんを守る第一優先で動くことにする…そして、その後相手…ルーツは言葉を作る…
「試作魔具、九重舞台!さぁ、私の中で踊るがいい!!」
そう言い放した瞬間、先程崩れていた鎧達が一斉に命を突然入れられたかのように立ち上がった…アーティファクト名…『九重舞台』からして数えれば丁度九体…そして、ルーツは勝ち誇ったかのように笑いながら話す…
「…フフッ!素晴らしいだろう?九体ながら中は誰も入っておらずまさに不死の兵隊…ただ少し時間が掛かってしまうのは難点だが…これが大量生産された暁には帝国なんてあっという間に叩き潰せるさ…!」
「…はぁ…そうなんですか…」
「君からは高い魔力を感じる…吸血鬼か?魔人か?どちらでもよいが喜べ!お前も実験材料の一部にしてやろう!そして後ろの君もだ!」
と言い放つと真っ先に俺の方へと剣の突きと斬りが五分五分で降ってくる…そんな指示をしてくる…でも…そんな魔具じゃ…到底…リンには届かない…せっかくだからその突きと斬りをする前に質問してみよう…
「ねぇ…ルーツさん……本当に私達を、実験台にするの…?悪い事言わないから…諦めて。そしてそのまま見逃して…?そうすれば…貴方にまだ可能性があるはずだし…大切なものを私たちに奪われる前に…」
「君は、今更…そういわれても…結果は同じ…お前たちを実験体と実験台にしたあと娘の方もしてやるつもりだからねぇ…まずは弱そうな君からしてあげるよ…!」
やはり…だめか…この力は一定のステータスを極めて尚且つその武器に対しても極めてないと使えない…この力……アルジェにもない特別の力…でも、ここで思い知らせないと…あの人は…まぁ殺さない程度にはやるけど…ね!
「口渉決裂…だよね……しょうがない…アルジェちゃん。お母さんを頼んだよ?」
「…えっ?は、はい…それは構いませんが…リンさん…何を…?」
「この力は本来、神と呼ばれる…人間以上…チートとか桁外れでも敵わないとされる……武器…及び…魔具似て非なる存在の武器…あなた達で言う魔具を超えた武器…それは…神器……魔具とは違い…契約は一切必要なく誰でも使える…けど…使える者はその武器に見合っているステータスとその武器の系統を極めて極めて極め続けて神と呼ばれるくらいに使いこなした者にしか使えない…これはその内の一つ……全神皇不生命という神器…リンはこれを極めているからね…じゃあ、とりあえず…眠って?」
俺は、最初からこの神器という存在は知っていたがまさか、ここで力をふるうことになろうとは…
全神皇不生命という俺専用武器だが…こう見えて武器じゃない…力を使う時は腕輪が現れるその後求む力を『望めば』使える…つまりは、この神器は全ての武具の力を備えていて、尚且つ万能の神器ともいえよう…しかし…この力にはある弱点があり…『望む物』の強さが鍵となっていてたとえ『望んだとしてもその想いが弱ければ顕現しない』仕組みとなっているのだ…さらに、この神器は全ステータスがバランスよくなっており有一攻撃がダントツにずば抜けている者にしか扱えず…即ち…俺にしか扱えない…
と言う訳で、俺が『望んだ』のは『戦わずして殺さず逃げたいだ』なのでこの思いが強かったためか、この後すぐに…
「なっ!?目の前が…くら………」
といいのこしその場で寝始めた…しかし、これは一時的…すぐ切れて目覚めてしまう…その前に…!
「アルジェちゃん!今の内!!」
「…わかりました!それではっ。この置き土産も忘れずにっと!」
と言うとブラッドボックスから腐ったお粥をルーツのポケットやらに次々と入れて…汚した……アルジェも相当にイライラしていたんだと理解できる
「なにやっているんですか?早くしましょう!リュミちゃんも待ってますし!」
「……う、うん…わかった…」
といいその場を後にしたそして俺達が来るまで待っていたリュミは…
「遅いよ~!!用がすんだら、もう行かなきゃね!クズハちゃんも待っているから!さぁ早く!リンお姉ちゃん!アルジェさん!!」
「うん!「了解!!」」
「ほら~二人とも~もう助け出したみたいだし~もうてっしゅーだよぉ~!!」
「えっ!?もう終わり!?…まぁ良いきはらし出来たしっ!「あれぇ~さっきまでまだなのっ!アルジェ達は!!って言っていたくせにぃ~!「はぁ!?そんなこというはずないでしょ!!「あらあら…照れちゃって…♪「照れてないし!!「早くしないと…リュミ怒るよぉ~♪「わ、わかったわよ!「素直に従います…」」」
またこうやっていつもの感じに…まぁ無事お母さん送れるし…後は結果はどうとかな…?
どうでしたか?
若干気合入りすぎた感じですが、次の話も面白おかしくでも少しシリアスにする予定ですので楽しみに!!




