第1話 いつもの朝
この度、この作品を書くことになりました、飛ケ谷隼人です。
書いていてとにかく楽しいです!
今回は1話なので長くなりましたが、次回からはサクッと読めるような作品になると思います!
拙い文章ではありますが、どうか、お楽しみください。
「……んー……」
部屋の窓から朝日が差し掛かり、寝息を立てていた少年はひっそりと目を開ける。
「ん……もうこんな時間か……」
気だるげに目覚まし時計を見て、現在の時間を見る。
「もうそろそろ起きないと…………ん?」
少年がのそのそとベッドの毛布から出ようとしたその時、
「むにゅ」とした感触が、少年の腕に触れた。
恐る恐る毛布を引き剥がすと、そこにはいた。大きな双丘を持つ彼女が。
「ちょっ、菊姉さん!///」
菊姉さんと叫ばれた彼女は、未だ目を閉じたままゆっくりと体を起こし始めた。
が、相変わらず少年の腕は彼女の胸と胸の間に挟まったままだった。
「菊姉さん! 何で毎回毎回起きたら俺のベッドで寝てるんですか!」
「ふぁ~~おはよぅ~春ちゃん」
春ちゃんと呼ばれた少年の名は、花ヶ丘春菊。
この家の長男で、ぱっとしないというのが第一印象だろう。
そして彼女、春菊の腕をまるで宝物のようにギュッと胸と胸の間大事に
抱きしめている彼女の名は、花ヶ丘菊乃。
この家の長女で、そびえたつ豊満な双丘がまず初対面で目に付くだろう。
「もぅ~どうかしたの?」
「どうかしたの、じゃないでしょう!? 何でいつも俺のベッドで寝てるんですか!?」
「えぇ~? だって、春ちゃんと一緒に寝ないと私寝れないんだもんっ」
「寝れないんだもんって……菊姉さんそれ将来絶対困りますよね……」
「ん? 大丈夫だよっ! だってこれからもずっ~と春ちゃんと一緒に寝るもん!」
「いやいや何が大丈夫か全くわかんないんだけど!?」
春菊が起きて早々睡眠打破するようなツッコミを入れるが、あいにく菊乃には効かぬようだ。
そうこうする間にも、時間は刻一刻と過ぎてゆき……
「お兄ちゃーん? そろそろ起きてくださーい?」
「ヤバッ、柚乃がそろそろ来る……!」
「うわぁ~大変だぁ~じゃあこういう時は一眠りしよっかぁ~」
「いや、それ何も解決してないよね!? 逆に状況悪化するよね!?」
「お兄ちゃん? 起きてるんですか?」
「ゆ、柚乃か? 悪い、もう起きてるから部屋に入らなくていいぞ」
「? どうかしたんですか?」
「それがどうかしてるんだよ、全く……」
「どうしたの~? 春ちゃん?」
「菊姉さんは少し黙っててください!」
「うぇ~ん、春ちゃんに叱られたよ~、うぇ~ん!」
「っ/// 菊姉さん胸を押し付けないでください!」
「ん?……お兄ちゃん、まさか”また”お姉さんと一緒に寝てたんですか?」
底冷えするような声に、春菊はぞっと背筋が伸びた。
「お兄ちゃん、開けますよ?」
「ま、待て柚乃! 早まるな! まだお前には選択の余地が……」
春菊の必死の明徴虚しく、春菊の部屋の扉は勢いよくバーンと開かれた。
「……は、ははは、柚乃さん? 今柚乃が見てるのはとても複雑で煩雑な事情があって……」
「ははは、お兄ちゃん、これのどこかが複雑で煩雑なんですか?
とても単純じゃありませんか……お兄ちゃんがただの変態鬼畜男なだけです!」
今柚乃が目の前にしてる光景。
それは春菊の腕が菊乃の両胸の中にすっぽりとおさまっており、
おかげに菊乃が全体的に春菊の胸の方に体を寄せている、そんな光景だった。
「お兄ちゃん、私が朝早くからお二人のために朝ごはんを作っていたというのに、
そのお二人は私の苦労も目に掛けず朝からこんな卑猥なことをしてたんですか!」
「卑猥って! 俺は朝起きたら最初からこんな状況だったんだ!」
「言い訳なんて聞きたくありません! もう、これだからお兄ちゃんは……」
「? なんか言ったか?」
「も、もう! なんでもありません! この変態鬼畜シスコン男!」
「なんか暴言が1個増えた!?」
「わぁ~柚乃ちゃんと春ちゃんは仲良しだね~私も混ぜて混ぜてぇ~!」
「菊姉さんはいいから黙ってて!」
花ヶ丘柚乃。
この家の次女で、凛とした茶髪のポニーテールが特徴的だ。
今日も慌ただしい朝がやって来て、だがしかし、これは彼らのいつもの朝であって。
そんな彼らが実は”本当のきょうだい”ではないのはもう彼らには分かっていて。
それだからこのきょうだいは世間一般のきょうだいとは違くて……
「お兄ちゃん! いいから早くお姉さんと離れてください!」
「何度も試みてるだろうが!」
「春ちゃんは私の春ちゃんだもんっ!」
「なっ……お兄ちゃんは……私のお兄ちゃんで……!」
「ん? なんだって?」
「……まったく、お兄ちゃんの……」
「大馬鹿者ーーーーーー!」
柚乃の怒号が響き渡り、またひと騒ぎが起きている最中……
ピンポーン
「…………う~ん、春くん、まだ起きてないのかな?」
学校の鞄を肩にかけ、また一人、もう一災難を起こしそうな元がドアのもとで立っていた。
弟が好きで大好きで大大好きでしかたない、長女、花ヶ丘菊乃。
素直になれないが兄のことは人一倍好きな、次女、花ヶ丘柚乃。
今もドアの前で幼馴染のことを待ち続ける、幼馴染、諏訪森碧。
そして、その三人の想い人でその想いに全く気付いていない、花ヶ丘春菊。
そんな彼らが紡ぐ熱くて萌えな物語が、今、始まる!