モルゲンへ
言葉が通じない!
回復薬なさそうだから渡したけどすごい睨まれた!
えっ渡したら駄目だったか?でも舌付けたら直ぐに女の子にあげたからいいのかなー
あっ御者の人も瀕死だったし回復薬あげよう。
今度は喜んでるよかった―後は騎士さん達にあげようかな。
一瞬驚いた顔してたけど貰ってくれたよかったよかった。
いや今も背中に矢とか刺さってるけど元気だな。
まぁ初級回復薬なら捨てるほどあるからなー
ヒールとか使った方が回復量多いし久しぶりこれ出した気がする。
とっそれはいいとして、
この世界の言葉通じないしあの神!異世界言語スキルつけておいてくれよ!!ゲームの時自動翻訳されてたからメニュー項目にないし!言葉通じないと不便!!
向こうが回復薬飲んでる間に解析でもさせてもらいますかね。
騎士隊長?先程女の子に飲ませてた人が“リカルド”さん
その部下でガタイのいい方が“アルガス”さん金髪の眼鏡をかけているイケメンさんが“ランディ”さん
今すやすや寝ているのが“リリー・ブロム”……やっぱり貴族の方でした。
をっさっき投げ出された御者の人も無事だったみたいだ。
リカルドさん御者の人横にしたら……こっち来た。
あっどうしよう言葉通じないしここはどこか聞きたいけど…。
「――――――――」
一人であたふたしてたらリカルドさん頭下げてきた。
あれ?お礼かな?目潤んでるし…他の騎士二人もいつの間にか後ろで頭下げてるし!!
んんっここは営業の時のスキル活かしてまずは笑顔だ!
ニコッ
えっ!?後ろの二人顔引きつってる!?
えーこの身体に変わったけど普通のキャラメイクしたぞー?
それにさっき盗賊さん達に笑顔で言ったら顔引きつってたしそんな怖いかな?
寝起きは悪くないとは思うんだけどなー
ああっ!悪印象か!まずは頭下げよう!
ぺこっ
(じぶん、ことば、しゃべれない、きこえない、すみません。)
こういう時のジェスチャーってホントに助かる!……通じたかな?
うん!なんとか通じたみたい!コクッてしてくれた!
(じぶん、ここ、わからない、あなたたち、ついていっていい?)
あれ?顔見合わせてる。
「――――――――?」
……ごめんわからないので首を振る。
そういうとなにか三人で話してる…だめかな?
リカルドさん振り向いて頷いてくれた!!
よかった!これでひとまず案内役は確保!!
これで人里に行けるーーー!
――――――――――――――――――――――――――――――――
「隊長、こいつはこの辺りの奴ではないようですね。ここがどこかも知らないようですし言葉も通じない。……帝国の斥候かも知れないですよ?」
「いやそれはないだろう。帝国は国の反対側だ。それに言葉も分からなければ情報収集にもならないだろう。分からない振りをしているようには見えないしな。それにこの近くには帰らずの死の森“アークウッド大森林”とその先には飛龍が飛び交う“モルテ山”があるんだぞ。だれが好き好んでこの辺りに近づくっていうんだ」
「なんで奴はこんなところに……それにこの回復薬見たこともないですが……回復量が持ってきていた回復薬と比べても段違いですよ?何者なんですかね?」
「わからないな……まずは敵対するようでもないし今は友好的だ。リリー様を救っていただいた件もある。今は街まで一緒に行動してもいいのではないか?こちらから仕掛けていったところで全滅だ。まず私たちの任務はリリー様の護衛だ。それに戦力の方は期待できるしな」
「隊長がそのように判断されるようであればすぐに出発できるように準備を行います」
騎士三人でこの男との行動を確認し準備に取り掛かる。
馬車は壊れてしまったが馬は盗賊のも合わせて五頭いる。
意識が戻るのを待って出発しよう。
男には言葉が通じないので頷き肯定をしておく。
先程の笑顔は邪悪に見えたが今は普通の笑顔だ。
この男は今までどんな生活をしてきたのだろうか気になるところだ。
少し時間が経ちリリー様と御者の目が覚める。
起き上がって傷が見当たらないことに二人とも驚いている。
「リリー様。服が汚れてしまったので申し訳ございませんがこちらを掛けてください。…それと大変申し訳ございません!私が就いていながらリリー様にお怪我を!!責任を取りまして領主様に無事のご報告の際護衛の任を…」
「リカルド!この程度で済んだのはあなたのおかげなのよ!辞めるなんて言わないで!……だからありがとうと言わしてください」
「リリー様……ありがとうございます……ですが私達だけではリリー様をお救いできなかったでしょう。賊を蹴散らし、回復薬を頂いた者がおります」
「それがあそこにいらっしゃる方ですか?…荷物の類など拝見できませんが、是非助けていただいたお礼をしませんと!お名前など仰っておりましたか?」
「……じつはこちらの言葉が通じないみたいでして身振り手振りで会話を致しました。ここがどこか分からず街までの同行の意思を持っておりましたので、先程、仮と致しまして護衛の依頼で手を打ちました」
「それはっ!よかったです!街まで行けばしっかりとお礼もできますし!……言葉が通じないとなるとどちらからいらっしゃったのでしょうか?少し気になりますし……ふふっ」
リカルドは男の同行の旨を伝え終えたあと街に向かう。
私の後ろにリリー様、一頭毎にアルガス・ランディ・御者・男が乗っていく。
荷物も少なく馬だけであったので二日後の昼ごろには“モルゲン”の城門前に到着した。