プロローグ
初投稿!オリジナル小説
「――なに?――――へっ?」
振り向いた先はどことも知れない森の中。辺りはうっそうと草木が生い茂り、
日の光が木の根元まで届かないほど高く、そして先程まで話していた後輩の姿など微塵もなかった。
―うわーすっごい森だなー……じゃなくて!
―いやいやいやいや!?はっ?なに?なにが起こったの!?
直後は頭の中で処理が遅れ、思考が戻る事十数秒。
フリーズから戻ってきてまず思ったことが祖父の家の近くにあった森の中でよく遊んだ少年時代の思い出。(秘密基地とか作って遊んでたっけー)若干現実逃避になりながらまた目の前の現実を突きつけられる。
「ふぅ…ふぅ…一旦落着け…落着け……。まずは状況整理だ。さっきまでは会社だった。っでもっていきなりこんなところに居るんだ。なんだ?誘拐?いや時計の時間は全く変わってないぞ?」
呼吸を整え一度頭を落ち着かせる。
そして現状確認を行いながらなぜこんなところに居るのか?思考の波に浸る。喋れているのだから猿轡を噛まされている訳でもないし手も足も動くから紐で縛られている訳でもないし、、、ふと視界に入った左手につけている昔からの相棒、、腕時計で時間を確認する。こちらも先程と同じ時間だ。
「ってことは夢か?…(ばしっ!)つっ!…いや痛いってマジで。あとは…まさか?…ははは…ありえねぇだろ…」
夢であってくれ!と願いも込めながら両頬を手のひらで挟み込むように叩く。
帰ってきたのはひりひりとした痛みだけ。これで夢でもなく誘拐でもなく妄想でもなく、、、、現実なんだと認識させられる。
そして、その後に段々と浮かび上がってくるのは日常生活じゃ絶対ありえない現象。
だが、いつもいつも夢に見ていた本や小説のなかの出来事。
「来ちまったか異世界?……」
いつもは独り言など心の中で留めておくが、こういきなり周りの状況がなにもかも変わってしまって、
心の整理もまだ十分にできない状態では、つぶやいてしまうのもしょうがないだろう。
その男―蒼井健人は、つぶやいて空があるであろう上を向き途方に暮れる。
時間は少し遡る。
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12月も暮れにさしかかり世の中は忘年会シーズン。
週末ともなれば会社毎の忘年会が市内の至る所で催され居酒屋・レストラン・ホール。
そして会社全体などで行うとすればもっとも使用するのはホテルの宴会場だろう。
蒼井はそんなホテルの宴会担当の営業マンだ。
早い所では一年前から営業を掛けなきゃいけない企業だってあるし12月の話が出るのが
ギリギリだったりする企業だってある。
そして一番開催されるのであればもちろん目標ノルマも一年間の中で最も高い予算だ。
蒼井は営業マンには珍しくまだ20代半ば、25歳の若手だ。
身長は百七十㎝ほどで体重もそれほどなく六十㎏。
ただ学生の頃、ラグビーをやったり水泳をやったり、野球をやったり、、体を動かすのが好きでいろんなことをしたおかげで肩幅が広く体格は良かった。
趣味と言えば学生時代に親しくしていた友人の影響でゲームと小説が好きになった。
小説は異世界ものとか恋愛ものとか、友人の影響でいつの間にかのめり込んでしまって
気づいたら暇さえあれば読んでいたほどだ。
ゲームは小説の影響もあってか
MMORPGの≪With Rest≫
というゲームを思う存分やりこんだほどだ。
意味としては、「―休息と共に―」。発売された直後は人気が出たがFPS系やバトル系のゲームが主流でなかなか人気が出なかった。
だがこのゲームのいいところは農業や畜産、釣りなどまったりできる要素を含みつつ。深くやりこめば先のバトル系のゲームにも引けを取らないほど戦闘のグラフィックが綺麗でかつ多岐にわたるプレイスタイルがあるオープンワールドのゲームだった。
スキルとしては戦闘も生産系も少ないが、各々でプレイスタイルを確立し自分の技を登録し使う。某デスゲームの主人公が使っていた剣技でも数をこなし、自分の技として使えるようになれば使えるしとてもやりこみ度のあるゲームだった。
だがなぜ人気が出ないのか?それは戦闘を行えるようになるまで結構な時間があるからだ。まず始める際に自分の領地がないことには始まらないからだ。
Q.えっ傭兵とか冒険者からとかってないの?
A.こちらのゲームはのんびりとして頂きながら楽しんで頂く事を主眼に置いており、戦闘のみでのプレイスタイルを行っておりません。(Q&Aコーナーより)
だ、そうだ。
開拓から始まり資材集め、人集め、集まらないなら自分で調達し村おこし、流通、農業、畜産、漁業、、etc。など、、、だったら初めから戦闘を行える方がいい!と思うプレイヤーがすっごい多かった。そして生産系が好きな方々は戦闘を行わず。牧場物語みたくまったりと過ごしている。
そりゃあ一応両方できる!って思っても両方を好きじゃなきゃやり込めないよね、、。
っとそんな訳であまり戦闘職の方々が少ないので未開拓地、未発見場所など数多くある。
まぁこんなゲームで戦闘職をやっているので、やり始めてからもう5年は経っている。その間に他のプレイヤーがいけないような場所やアイテムなどを多く手にしてきた。
まぁそんなこんなでインドア・アウトドアのハイブリットができてしまった!
いわゆる広く浅くの気持ちをモットーにやっております。
仕事に戻りまして十二月の第四木曜日。
その日担当を持っていた宴会も終わり、後片付けをしながら次の日の準備をはじめる。
「蒼井さーん!、忘れ物ありましたよー!」
作業の手を止めつつ振り返る。
うわっかばん忘れてるよ、、、
相当酔っていたんだなぁ、、
絶対これ直ぐに届けなきゃいけないよな。
「ありがと。ちょっと幹事さんに連絡してくるからあとお願いね」
そういうと鞄を渡してきた後輩―坂上茜にお礼を言う。
この子はバイトの子で二十歳の学生だ。髪はショートカットにしており目はくりっとしており笑顔がまぶしい。体格は陸上部だそうで細身の引き締まったラインと相まって見ているこっちが元気になる。―あぁ若いっていいなぁこの子見てると元気もらえるんだよなー
心の中で思いつつ電話を掛けながら会場を後にする。
良かった、間に合って。
まさか泥酔して二次会とか大丈夫かよ。
でもこれで今日も大丈夫だな。あと明日で終わりだ!!
荷物も届けて他に忘れ物もないか確認をし終えた俺は帰り支度をして事務所を出る。
「っとそういえば、、、」
会場にまだスタッフいるかなとふと思い足を向ける。
案の定会場の中で幾人かは残って作業していた。近くの自販機でジュースを買って行きその中に先程鞄を持ってきた坂上もいたのでお礼を言っておく。
「坂上ー荷物ちゃんと渡せたぞーありがとな!あと、お疲れ様!飲物飲みたい奴やるぞー」
そういうと坂上を含めた四人が寄ってくる。
一人目は、神崎光輝。まだまだ二十歳のザ・イケメンだ。いわゆる容姿端麗、頭もよく成績優秀らしい、そしてスポーツ万能だとっ、、、くっ勝てる要素が見当たらない!!歳だけ食ってしまったよ俺は!!彼女もいなかったことはないとキョトンとした顔で言うのだからカッコよさの中にかわいさもあってぐっときてしまったよ!
二人目は近藤勇。おいおいどこぞの新○組かよって思っておりました。、、はい過去形です。歳は神崎の二つ上の二十二歳。体格は柔道、合気道などの護身術とあとボクシングも噛んでいるというのでしっかりとガッチリしてます。初めて会ったときは年上かなっ?と思ったけど年下で話してみるとはにかむ笑顔が渋くて、、、いや年上だよね!?と何度も言った事もあります。やっぱり根は真っ直ぐで素直なやつで可愛いんです。
そして、坂上と一緒に来るのが三人目、神宮司澪 歳は二十一歳。髪は艶がありホントは腰までの長さがあるが今は後ろでまとめている。目はキリッとしておりメガネ掛けさせたら絶対似合う!名前の通り神宮の家系で、所作を学びたいからってホテルに勤めてるんだって。武芸は弓道、茶道など大和撫子みたいな感じでお姉さんポジション。いつも若い子たちの面倒を見てくれています。
「ありがとうございます!炭酸あります?」
「すいません蒼井さん。俺は余ったのでいいので」
「いーえー!渡せてよかったですよー!あっ甘いのがいいです!」
「申し訳ございません。あら?お茶も買ってきて頂いたのですね」
各々好きに渡し喉を潤してもらう。
こっちはこっちでこういう時間に若い子たちと話せるんだから十分に幸せだよ!
心の中でウキウキしながら顔はにっこりに留める。
「じゃあ今日もお疲れ様!明日もよろしくね!」
お礼を言い出口へと向かう。
みんなでワイワイ話していた中でふと気付いた神宮司が声を掛けてくる。
「あっ蒼井さん!今日はもうお帰りになるんですか?」
その言葉に内心
―えっ!飲み?呑みかな?いやー是非!!とか期待一杯にしながらいたのだ。
―だって独り身寂しんだよ!呑みたいに決まってんじゃん!
すげーテンションも上がって、平静を装って振り向く。
「帰るだけだよーなに?、、、、へっ?」
振り向いた先はどこともしれない森の中。
むむっこれでも5,000文字いかないのか、、、
一回の投稿で10,000文字いく人の凄さを改めて感じた( ゜ ω ゜ ) ! !
二話目の投稿を頑張って明日する予定です。