1 灰色猫のクリストファー
世界とは何か そう問いかけた
もちろん答えは返ってこない
そんなことわかっていた
答えとは何か そう問いかけた
やはり答えは返ってこない
答えられるはずもなかった
あの日の僕は間違っていた
そんなもの 人間に分かる筈もなかった
なら 誰に聞けば答えが得られるのか
ずっと そんなことを考えていた
そのまま何年も何年も時が過ぎ
気が付けば僕の体はどこかへ消え去っていた
何度も消えては生まれ 生まれては消えた
そしてそのいずれの僕も 同じことを考えた
無駄だとわかっていた
だけどやめられなかった
世界の答え それを求めて
僕は何度でも同じ時間を繰り返す
『力』があった
世界を変革するほどの力が
『欲求』があった
世界を食い潰すほどの欲求が
それらは止めどなく溢れ続ける
そして いつかそれも止まった
何のための無限の時間だったのかと
それが止まってから考えた
答えの出ないはずの問いをただひたすらに
求め 探求し続けてきた
しかしそれもできなくなる
『力』は使い果たされ 『欲求』は衰退した
それらは本来無限であるはずだった
そうでなくなったのには理由があった
僕を推し進めていた『未知への希望』は『既知の絶望』へと変わった
――知ってしまったのだ 世界のその 理を
そうして僕は決めた
この記憶を封印してしまおうと
――さあ始めよう 新たな歴史を
いつか見た美しい世界を 取り戻すために――
再構成されていく
世界が 運命が 時間が ……僕が
その瞬間を悲しいとは思わなかった
――この世界は もっと早くにこうなるべきだった
そう 思った
こんにちは。灰色猫のクリストファーです。
今回から開始しましたリレー小説プロジェクト。
相方の『琴音』さんが『何を書いてもいい』とおっしゃるので、いきなり暴走してみました。
さて、次のターン、琴音さんがどう受け取るか、見ものですね・・・